不当干渉
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不当干渉

2016年11月08日(火)3:59 PM

14121440_TP_V1S子さんの相談は不思議な点が多いものでした。訴えは、身体が大きくならないというものです。

 

 

 

 

当然、医療機関とのかかわりもすでにありました。こんな話を聞くとすぐ、児童虐待を連想したりするのですが、そんな雰囲気とはかけ離れていました。

 

 

 

 

兄と弟に挟まれて、本当に小柄な中学二年生のS子さんがやってきたのは、まもなく三年生になる春休みのことでした。

 

 

 

 

父親は三つ揃いの背広姿で、わたしが面接室に入るやいなや、立ち上がって大企業名の刷り込まれた名刺を出し、とても丁寧な挨拶をされました。

 

 

 

 

母親と子供たちは椅子に座ったままでした。スーパーへ買い物に出たついでに立ち寄ったかのようないでたちの母親と、オフィス街そのままでここに座っている地著親とのギャップがとても印象的でした。

 

 

 

 

話し始めていかほども経たないのに、父親がいきなり、「家内は料理が下手で、子供たちにもろくなものを食べさせない」と言い出したのには驚きました。

 

 

 

 

しかし長男は、「僕は食べている。あまりおいしくはないけれど」と繕うような発言をしました。

 

 

 

 

家族の日常生活のさまざまな場面のことを聞きました。するとこの家族独特のルールが見えてきました。

 

 

 

 

この家庭ではなにもかも仕切っているのは父親です。母親は高卒、父親は国立大学だからだそうです。

 

 

 

 

金銭管理のみならず、掃除の分担から、冷蔵庫の残り物を考えた献立まで、何もかもが父親によって差配されます。

 

 

 

 

わたしはこの話を聞いて驚いたのですが、母親はそれほど特別なこととは思わないと言います。なんでもしてもらえるのだから楽で、不満もないそうです。

 

 

 

 

ところが後日、父親が欠席した面接で食事の話が出たときのことです。そこで聞いた話もまた奇妙なものでした。

 

 

 

 

子供たちは三人とも、ご飯のおかわりはしません。食べることが最初から話題になることの多い家庭でしたので、どういうことだろうと思いました。

 

 

 

 

父親の帰宅が遅いこともあって、夕食は母親と子どもたち三人で食べることが多いようです。

 

 

 

 

そのとき、子供たちそれぞれが食べるご飯の量を母親が決めているのです。これは父親がいないときだけの決まりごとです。

 

 

 

 

もう少し説明するとこうです。子供たちは食卓に用意されたものは残さず食べます。

 

 

 

 

これはよくしつけられていると言っていいと思います。しかしそれで終わりなのです。

 

 

 

 

普通、おかずはある程度決まっていますが、ご飯の量は各人の空腹時によって自分で決めているのではないでしょうか。

 

 

 

 

家庭の食事と食堂の定食は違うはずですが、そうなっていません。

 

 

 

 

子供たちもそういうものだと納得していて、おかしいとは思っていないのです。父親のいる日といない日で、食事のルールが異なる食卓です。

 

 

 

 

そうしている母親も、二通りの対応を身につけている子供たちも不思議でした。

 

 

 

 

気になるS子さん一家でしたが、この後すぐ、住宅を購入するとのことで他県への転居が決まっていました。

 

 

 

 

関わりはこれまでかと思っていました。ところが半年あまり後、近県の養護学校教員から面談の打診を受けました。

 

 

 

 

S子さんの担任をしているというのです。いろいろ問題があって、母親と話しあっているうちにそちらでの相談経過を聞かされた、母親の了解も得てあるので、経過や意見をうかがいたいと言うのです。

 

 

 

 

わざわざ出向いてこられたので、お目にかかってお話ししました。半年の間には新たな事態も起きていたようで、過去の経過や見立てもとても参考になるとのことでした。

 

 

 

 

しかしその後の経過は一切報告がありませんでした。転出してしまっていて、こちらの相談は終結しているので当然と言えばそうでした。

 

 

 

 

したがってその後、S子さんがどうなったのかはわかりません。各家庭に独自のルールがあるのはけっして悪いことではありません。

 

 

 

 

しかし一方、そのルールの根底には、暮らしや子育ての普遍性がなければなりません。

 

 

 

 

あまりに特殊なルールは、それを決めた人の独善や見通しのなさを感じさせます。

 

 

 

 

それにしたがって育てられた子どもが、予想もつかない影響を受けている可能性も否定できません。

 

 

 

 

働きかける親にも、反応する子供にも、一般性のある常識的行動が求められています。

 

 



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