非行~中学二年生男性のケース~
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非行~中学二年生男性のケース~

2016年11月07日(月)3:28 PM

NS525_midorinonakade_TP_V校内や地域のあちこちで、仲間と連れだって飛行をくりかえす中学二年生A君の相談が、学校からありました。

 

 

 

 

そこで、両親に会えるように学校から段取りをと依頼しました。

 

 

 

 

ところが何度電話しても訪問しても、母親にも父親にも会えないというのです。

 

 

 

 

親がいないのならいざ知らず、居るなら必ず会えるはずです。

 

 

 

 

「先生を避けてるんですかね、まさか先生が親の居ない時間を選んで訪問してらっしゃることはないでしょうけど・・・・・・」

などと、軽口のひとつも言ってみたくなりました。

 

 

 

 

困難はあったのですが、とにかく母親と会うことができました。

 

 

 

 

父親は長距離トラックの運転手、母親は駅の売店勤務、姉は高校二年生、弟が小学三年生。

 

 

 

 

そしてA君の五人家族です。

 

 

 

 

やってきた母親は彼の問題行動に恐縮し、ペコペコ謝ってばかりいます。

 

 

 

 

「彼が私に迷惑をかけているわけではないのですから、謝っていただく必要はありません」

と言ってもペコペコでした。

 

 

 

 

父親の勤務はかなりハードなもので、ほとんど家族と顔をあわせる時間がありません。

 

 

 

 

たまに在宅しても眠っているために、家族はかえって窮屈だといいます。

 

 

 

 

家のローン返済のためにはこれくらい働かないと仕方がないのだそうです。

 

 

 

 

母親の仕事もまた変則的でした。

 

 

 

 

交替勤務らしく、午後から出かけて帰宅は夜の九時頃。

 

 

 

 

夕食の準備は姉がしているのだろうかと思って聞いてみると、アルバイトに出かけていると言います。

 

 

 

 

夕食は母親が帰宅してから用意するのです。

 

 

 

 

そんな時刻まで小学生の弟はどうしているのだろうと思いました。

 

 

 

 

また、A君が友人の家から、夕食時になっても帰らなかったり、ゲームセンターをうろうろしてるのも分かるような気がしました。

 

 

 

 

性格の細々した事を聞いているうちに明らかになってきたのは、こんなに両親が頑張っているのに、子どもたちは何も協力していないことでした。

 

 

 

 

なんだかんだと言って小遣いをせしめているだけです。

 

 

 

 

こうバラバラでは仕方がないと思ったので、家族全員での面接を提案しました。

 

 

 

 

ところが母親からは、「そんな時間は、とてもありません!」と即座に拒否されてしまいました。

 

 

 

 

来たくないというより、家族が揃って面接室に集まることなど本当にできないようでした。

 

 

 

 

そこで両親の仕事と子ども達の学校の予定を集めて、私達の面接スケジュールと突き合わせました。

 

 

 

 

なかなか一致する時間がありません。

 

 

 

 

やっと見つかった日程にも、母親ははじめから期待薄の印象でした。

 

 

 

 

それを励まして、帰宅してみんなに打診してくれるように依頼しました。

 

 

 

 

返事はすぐありました。

 

 

 

 

父親がそんな時間はないと言ったとのことでした。

 

 

 

 

そこで父親の職場にこちらから直接連絡してもいいかと母親に尋ね、了解の下に電話をしました。

 

 

 

 

すると、仕事の都合がつけば寄らせてもらうという返事でした。

 

 

 

 

そこで父親の来談可能な時間に、母親の勤務時間と姉のアルバイト時間を調整してくれるよう依頼しました。

 

 

 

 

しばらくかかったのですが、ある日、五人が家族面談室に揃いました。

 

 

 

 

駐車場には大きなトラックが停まっています。

 

 

 

 

長距離を今戻ってきたところだといいます。

 

 

 

 

実はこの時点で、A君の行動はずいぶん落ち着いてきていました。

 

 

 

 

そんなこともあって、面接場面の雰囲気はなかなか良いものでした。

 

 

 

 

さらに聞いて驚いたのは、家族の生活の大きな変化でした。

 

 

 

 

先ず母親は減収を覚悟して上司に申し出て、勤務時間帯を変えてもらっていました。

 

 

 

 

今は夕方六時には帰宅しているといいます。

 

 

 

 

また姉はアルバイトをやめていました。

 

 

 

 

そして母親の夕飯の準備を手伝っているそうです。

 

 

 

 

そんな家庭内の変化をA君は、「べつに・・・・・・」と言っていましたが、弟は「前よりも、今のほうがいい。家にお母さんがいるから嬉しい」と言いました。

 

 

 

 

以前の生活にはそれなりの切実な事情がありました。

 

 

 

 

やむを得ないことだったと思います。

 

 

 

 

しかしやむを得ないといっても、それによって諦めたものや、失っているものは存在するのです。

 

 

 

 

手にしたことのない人は、何が欲しいのか自分でも分かりません。

 

 

 

 

しかし手に入った時、「あっ、これが欲しかったんだ!」と分かるものです。

 

 

 

 

弟が「嬉しい」と言ったことこそ、子ども達みんなが欲しいと気づかずにきたものだったのではないかと思いました。



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