家庭内における決定の独占と回避
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家庭内における決定の独占と回避

2016年11月06日(日)9:01 AM

N112_zassougahaetaboroboronoishigaki_TP_V1生活に関するあらゆる判断と決定を、いつも特定の人が行っている家庭があります。

 

 

 

 

そこでは常に二つのことが同時に進んでいます。一つは決定権の独占です。その結果に家族が不満のない場合は、ますますこれが強化されていきます。

 

 

 

 

一方、他の人たちは、決断を自分の責任で行わなくてもよくなっています。その結果、決定する人はますますその機会と責任が増加し、しない人はますますそんな責任から逃げるようになります。

 

 

 

 

中学一年生のA君が学校で荒れています。授業妨害をしたりエスケープしたり、気に入らないことがあると教師に反抗し、物を床に叩きつけたりします。

 

 

 

 

事件のたびに家庭に連絡があり、母親が学校に出向いていきます。校長室で担任や生徒指導の先生の話を聞いている間も、A君が窓の外を徘徊しているのが見えます。

 

 

 

 

そんなことがたびたびあって、母親は弱りきっていました。幼児期からのしつけがなっていなかったのだと言う教師もいました。

 

 

 

 

しかし母親の目から見ると、A君は家庭ではごく普通の中学一年生で、特に問題になるようなことはありません。

 

 

 

 

姉とも仲はよく、姉弟喧嘩くらいはありますが、どこといって問題点など心当たりがありません。

 

 

 

 

近所の同級生の母親や、昔からの知り合いの親たちに聞いてみても、特別変わった感じもしません。

 

 

 

 

要するに中学校で落ち着かないのでした。そんなときにたまたま出会った昔なじみの教育関係者から、ある合宿治療法の話を聞きました。

 

 

 

 

とても良いと思ったので、さっそくA君に勧めたのですが、「絶対嫌だ!」と言います。それなら仕方がないと、母親一人で一週間の合宿に出かけることにしたそうです。

 

 

 

 

その後、「合宿は自分にとっては有益で、いろいろ反省するところもあったけれども、息子の状態には変化がないので・・・・」と関東自立就労支援センターに相談に見えました。

 

 

 

 

学校の勧めで来談したのですが、A君は来ていません。本人の状態の報告は学校からも入ってきており、母親の言い分との間に食い違いもないことから、次回は両親の力で本人を連れてきてほしいと言いました。

 

 

 

 

三週間後、両親が来ました。しかしA君を連れてくることはできませんでした。

 

 

 

 

このような状況でしたが、夫婦はお互いを批判的に見たりしておらず、むしろお互い弱点を持ちながら頼りあっている印象を、わたしは持ちました。

 

 

 

 

二人で話し合ってもらった結果、今後はこちらが示す提案は必ず実行するということで合意に至りました。

 

 

 

 

具体的には、次回の面接に両親が協力して、二人の子供たちを同行させるのです。

 

 

 

 

ひと月後、面接には姉が一緒に来ました。しかしA君は来ませんでした。子供たちを連れて来る、両親はそう合意したはずです。

 

 

 

 

だから姉にも本人にもその事は伝わっています。しかし、姉は来たけれども、弟は来ませんでした。

 

 

 

 

親の指示を子供が聞き入れようとしないとき、両親はどのような対応をしたのでしょうか。

 

 

 

 

ここに決定から実行に移す時のこの家族のパターンを見つけることができます。

 

 

 

 

そういえば先月、母親が合宿治療に出かけたことは、どのように決まったのでしょう。

 

 

 

 

これを姉に聞いてみました。答えにくそうにしているので、「お母さんから、いつその話を聞きましたか?」と尋ねると、「出発前日の夜に聞きました」と言います。

 

 

 

 

父親にも同じ質問をすると、「わたしも同じ、前日にです」と言います。

 

 

 

 

ふつうに考えて、理由の如何はともかく、家庭の主婦が一週間も家を空けるとなると家族はたいへんなはずです。

 

 

 

 

準備もいろいろあったはずです。しかしここでは、事前に一切相談はなく、母親の決意イコール家族の決定です。

 

 

 

 

そこで父親に、「お宅では、大事な事はどんなふうに決まるのですか?」と聞きました。

 

 

 

 

「大切なことは話し合って決めますが、細かいことはだいたい家内が・・・・」父親が答えている最中に、母親が、「運転免許を取るのも自分で決めてやってしまったし、調理師の資格を取るための学校の入学も、申し込んでからパパに言ったわ」と言います。

 

 

 

 

ともに相当の費用や時間のかかる事だと思いますが、すべて母親の一存で、父親は事後承諾だとのことです。

 

 

 

 

「これまで、奥さんが決められたことで反対された事が何かありますか?」と父親に問うと、「ありませんね」と答えました。

 

 

 

 

この一家に起こっていることはなんだろうかと考えてみました。家族はこれまで、とても上手く仲良く暮らしてきました。

 

 

 

 

降りかかってきた問題もことごとく解決してきました。しかしそれはすべて、母親が一人で達成してきたことでした。

 

 

 

 

今回のA君の問題は、そのやり方では解決できない初めての事のようでした。

 

 

 

 

だとすれば、この事態は家族への大切な問題提起だとも言えるのではないかと思いました。

 

 

 

 

母親一人でうまくやれることはそれでかまいませんが、今回のような困難にぶつかったときには、父親にも一仕事してもらおうと考えました。

 

 

 

 

そこで、「次回の面接にはA君を、お父さんの力で連れてきてください」と言いました。

 

 

 

 

ぜひ、お父さん一人の力でやってもらいたいと思ったのです。ふつう、物事を決定するとは、何を決定するかという内容のことを指しています。

 

 

 

 

しかしここで決定といっているのは、誰が決定して、どのように実行するかのことです。

 

 

 

 

いつも母親の役割になってしまっていた事を、たまにはお父さんにしていただけませんかと要請しました。

 

 

 

 

これによって母親以外の決定者(支援者のわたしです)と、母親以外の実行者という二つの変化が生まれることになりました。

 

 

 

 

ここからA君の家は、大きく動き始めました。

 

 



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