人は人を求めている~22歳女性のケース~
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人は人を求めている~22歳女性のケース~

2016年10月21日(金)5:41 PM

PPU_shibahutokage_TP_V1「わたし、人が信じられないんです。両親はいつまで過去のことにこだわっているんだ、そんな気持ちでいたら自分が損じゃないかと苦虫を噛み潰したような顔で言いますが、わたしだって望んでこんな心になったわけじゃないんです。

 

 

 

 

誰もわたしの気持ちをわかってくれません。何も悪いことをしていないわたしが、どうしてこんなにむごい仕打ちを受けなければならないのでしょうか」

 

 

 

 

級友、先生、いや、通り過ぎたすべての人からいじめの標的にされたことで、対人不安を起こし、家から一歩も外出できないA子さん(22歳)は、家庭訪問するわたしに悔恨の日々を語ってくれました。

 

 

 

 

A子さんは、小さい頃から自分の体型に敏感でした。小学校に入学したころ、近所のおばさんからも、「あなたは肥満児だから」とおやつを制限されました。

 

 

 

 

姉と親戚の家に行って叔母に会うと、決まって、姉は「かわいい」と言われ、A子さんは「体格がいい」と笑われたと言います。

 

 

 

 

このことから、いつの間にかA子さんは他人の評価を気にする子になっていきました。

 

 

 

 

小5になると級友で友達選びが始まり、リーダー格のかわいらしい女の子のグループに入っていましたが、思わぬ比較の目にさらされていました。

 

 

 

 

内気でやさしいA子さんの性格は裏目に出て、「デブ」のからかいに抵抗せず、勉強で口止めしようとしました。

 

 

 

 

そして母親の忠告(しつけ)を守って、いじめられても、「わたし、気にしてないよ」と笑い飛ばすことにしました。

 

 

 

 

そして「いい子」ができあがっていきました。小6でバスケット部に入りました。

 

 

 

 

顧問の男性教師にも、天真爛漫な彼女は「ケツデカ」「足が太い」と軽く言われましたが、母親の忠告をかたく守りました。

 

 

 

 

でも「心の中は、傷ついて傷ついて泣いていた」といいます。「怒れば冗談のわからないやつ、と思われるだけなので、表面は傷ついていないよ、と笑顔を振りまいていましたが、心の中まで傷つかないようにすることはできませんでした」と振り返ります。

 

 

 

 

中1の秋の球技大会でのことです。バスケット競技は、A子さんのフリースローが入れば同点という大きなチャンスが巡ってきました。

 

 

 

 

そのとき精神統一するA子さんに相手側の観客席から突然に、「デーブ!デーブ!」のデブコールが連呼されました。

 

 

 

 

試合は負けて、みんなで泣きました。試合終了後、相手チームの女生徒がA子さんに謝りに飛んできました。

 

 

 

 

「平気よ。わたし、気にしてないよ」強張る笑顔をA子さんは両手で隠しました。

 

 

 

 

A子さんの涙は、これまでしてきた母親の忠告を守る自分への惨めさでした。

 

 

 

 

「弱いかもしれない。思いあがりかもしれない。でももう何も感じないでいたいのです。

 

 

 

 

みんな、幸せになってください。さようなら」

 

 

 

 

メモを残し、薬を飲み、手首を切りましたが、危険を察知した母親の介入でA子さんは入院しました。

 

 

 

 

「わたしには、死ぬことさえも許されなかった」と、両親と担任へ手紙を出すと、不登校になりました。

 

 

 

 

2年半の欠席は、高校進学への淡い夢も消しました。人を拒絶し、憎むことでやっと今日まで生きてこられました。

 

 

 

 

「裏切られても信じて生きたいって、バカみたいだね」最近書いた詩の最後の一フレーズです。

 

 

 

 

今、A子さんは網目の帽子を顎まで引いて、面接に出かけてこられるまでになっています。

 

 

 

 

孤独をさまよいながらも、やはり人は人を求めています。

 

 



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