同世代を気にするひきこもり
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同世代を気にするひきこもり

2016年09月17日(土)11:35 AM

DSCF0425_TP_V1面接のとき、ある母親が「わたし、とてもうれしいんです」と言いました。何がそんなにうれしいのかと聞いたら、「うちの子が外でおそばを食べたんです。それもズルズルやって」と言うのです。

 

 

 

 

そばをズルズル食べていいのか、音をたてずに食べるのか、よくわかりません。また、そういうとまどいを、他の人から「なんてズレたやつなんだ」と思われるのではないかと心配でたまりません。

 

 

 

 

だから、この男性は今まで外でそばを食べることができなかったのです。

 

 

 

 

そば屋では、ズルズルと音をたてて食べている人もいれば、あまり音をたてないで食べている人もいます。

 

 

 

 

しかも、他人の食べ方なんか、ほとんど誰も気にしていません。そういうことは、普段人とふれあってみればすぐにわかることです。

 

 

 

 

ある日、意をけっしてそば屋に入ったところ、この男性はそれがわかったのです。

 

 

 

 

人とふれあって自信がついてくると、「自分はズレているのではないか」という意識がだんだんと消えてくるので、ズルズルッと安心して食べることができるようになります。

 

 

 

 

人と食事をしても楽になります。だから、ひきこもっている子を連れ出して外食させるのも重要なことなのです。

 

 

 

 

ひきこもりだからといって、人のことに無関心なわけではありません。他人とふれあいたいのにふれあえないのですから、むしろ、普通の人より余計に気にしています。

 

 

 

 

とくに同世代がどうなのかということが気になります。たとえば、他のみんなは高校を卒業して大学に入学しました。

 

 

 

 

自分はその間、家にいます。一日は長いけれども、一年は意外と短く感じます。そこで、自分だけ無駄な人生を過ごしているのではないかと思うようになります。

 

 

 

 

十四歳で不登校になったある子は、二十歳になっても、「僕の人生は十四歳で止まったままだ」と言います。

 

 

 

 

つまり、あとの六年間は無駄な時間を過ごしてきたのではないかと思っています。

 

 

 

 

だけど、みんなのところに戻る(同世代復帰する)ときには、「まわり道をしたけれど、俺だってちゃんとやっていたんだ。

 

 

 

 

無駄な人生ではなかったんだ」と言いたいのです。そこで、人間関係からの安全地帯を勉強のほうに求めなかった子は、たとえばプロレスラーのポスターを部屋中に貼って、筋力トレーニングをやって体を鍛えようとしたりします。

 

 

 

 

中学一年から六年間ひきこもっていた男の子がはじめて相談室に来たときのことです。

 

 

 

 

一見したところ、かっこいいジャンパーをビシッと着込んで、すごく体格がいいのです。寒い日でしたが、部屋の中は暖かいので、ジャンパーを脱いだらどうかと勧めたところ、「いえ、だめです」

 

 

 

 

「どうして?」

 

 

 

 

「中に綿が入っているんです」

 

 

 

 

実は彼はとてもやせていました。ところが、相談室に入るとき、やせこけた体だと、「君は六年間、何をしていたんだ」と言われるのではないかと思い、体を大きく見せるために「肉布団」を着込んでいたというわけです。

 

 

 

 

これが夏だったら、彼はどうしていたのでしょうか。

 

 

 

 

要するに、「僕はズレてなんかいない。僕だって無駄に生きてきたわけじゃないんだ」と言いたいのです。

 

 

 

 

そういう形で同世代と再会したいのです。彼らが同窓会の案内状が来ても行きたがらないのは、こういう心理からなのです。

 

 

 

 

自分では無駄に生きてきたとは思いたくないし、そうではないように自分なりに努力もしてきたけれど、人からは無駄に生きてきたと思われるのではないかと恐れています。

 

 

 

 

だから、同窓会に出席するのは非常に怖いのです。でも、いつかは必ず堂々と行きたいと思っています。

 

 

 

 

二十二歳のある青年は、中学二年で不登校になったときの同窓会を開くのが自分の夢だと言っていました。

 

 

 

 

その日、みんなに名刺をばらまいて、「俺だって無駄に生きてきたわけではない。人とズレてなんかいないんだ」と言いたいわけです。

 

 

 

 

中学二年のとき、いじめから不登校になった十七歳の女の子がいます。彼女は感想文を書くことが好きでした。

 

 

 

 

その前から養護教諭とのかかわりがあって、励まされるままに、テレビ番組を見た感想を書いて新聞社に投書しました。

 

 

 

 

そうしたところ、その感想文が採用されて、テレビ番組欄の下のほうに載りました。

 

 

 

 

テレビ欄とはいえ、全国紙です。そこに自分が書いた感想文が掲載され、「千葉県K市、十七歳、〇〇」と名前まで出ています。

 

 

 

 

載ったと同時に、彼女は同世代復帰を果たしてしまいました。この出来事によって、自分は社会からズレてなんかないという自信と確信を持つことができたからです。



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