父親が子どもの悩みに気づくまで
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父親が子どもの悩みに気づくまで

2016年09月12日(月)5:36 PM

D157_sudori-jyoubokujyou_TP_V1会社でも居場所がだんだんなくなってくる50歳近くになると、気持ちの中では自分の老いと出会うようになります。

 

 

 

 

忙しいときは、朝、歯を磨いていても、ろくに鏡など見たこともありません。しかし、暇になると、そういうことをゆっくりとやるようになります。

 

 

 

 

すると、髪に白いものが混じっていたり、薄くなっていたりします。シワもシミも目立つようになってきます。

 

 

 

 

以前はエレベーターを待つのももどかしく階段を駆け上がったものでしたが、今ではすぐに息切れしてしまいます。

 

 

 

 

会社の運動会で走っても、足がもつれて転んでしまいます。それも三日後あたりから腰がいたくなります。

 

 

 

 

「俺も老いたなあ」とつくづく思うようになります。自分の老いの面倒を見てもらいたいのは妻ですが、その妻も自立できない息子と一体化してしまっています。

 

 

 

 

そこで、息子に対し、ある種の嫉妬心がわいてきます。こういうとき、父親は息子に、励ますつもりで逆に傷つけてしまうような言葉を吐いてしまうものです。

 

 

 

 

いい年をして、いつまでもブラブラしていないで、いいかげんに仕事でも見つけて働いたらどうなんだ」

 

 

 

 

しかし、「働け」と言われただけで、子どもはなんとなくおびえた様子です。不登校なら理解できますが、学校に行く必要がなくなってもまだ家にひきこもっていることが、父親にはどうしても理解できません。

 

 

 

 

不登校の子どもに対して、「登校刺激」をしてはならないという戒めは、父親も本で読んで承知しています。

 

 

 

 

それで、さんざん待ってきたのですから・・・・・。

 

 

 

 

しかし、ニートや就職拒否というのは世の中では認知されていないし、「不登校その後」という言葉も耳にしたことがありません。

 

 

 

 

「就職刺激をするな」とは聞いていません。不登校の年齢を過ぎてもなおくすぶっているのはわが子だけだと思っているから、当然、不安を募らせています。

 

 

 

 

そこで、どうしても、「働け、働け」とけしかけることになってしまうのです。

 

 

 

 

不登校の子どもに対して登校刺激が禁物なのは、「すくみ反応」の問題があるからです。

 

 

 

 

ところが、ニートや就職拒否についてはそういう説明がどこにもありません。だから、父親は「甘えではないか」「ただ気が弱いだけなのではないか」と思って、しきりにけしかけてしまいます。

 

 

 

 

そこで、子どもはアルバイトニュースかなにかで仕事を探しに行くけれども、一ヶ月くらいで行かなくなってしまいます。

 

 

 

 

そして、再就職のために電話をかけるけれども、相手が出たとたんに自分から電話を切ってしまいます。

 

 

 

 

そんなことを延々と繰り返しています。そんな光景に、父親はますます、うちの息子はよほど気が弱いに違いないと思ってしまいます。

 

 

 

 

父親は、世に中には「社会」という川が流れていて、「会社」という船がやってきたら、こっちからちょっと背中を押してやればその船に乗って、あとはなんとかやっていくのではないかと思っています。

 

 

 

 

そこで、父親としては子どもを励ますつもりで、「この穀つぶし」とか、「根性なし」とか、「そんな気が弱くてどうするんだ」とか、いろいろなことを言います。

 

 

 

 

しかも、子供は甘えていると思っているから、言い方も厳しいものになります。

 

 

 

 

すると、子どもはますます怯えた様子を見せますが、それが父親にはよくわからないので、無理やり仕事の場に行かせようとします。

 

 

 

 

しかし、子どもは、「あの職場は僕の性格に合わない」とか、「上司と相性が悪い」とか言って、すぐにまた行かなくなってしまいます。

 

 

 

 

父親は、「俺だって女房とは性格がまったく合わないけれども、もう二十年もがまんして連れ添っているんだ」と思っているから、それが子どもの甘えと映り、ますます追い詰めることになります。

 

 

 

 

すると子どもは、「人間関係がつらい」「人間関係がわからない」「人が信じられない」、ほぼこの三つの言葉を口にします。

 

 

 

 

しかし、自分だって会社の人間関係では苦労してきているし、人間関係がつらいのは当たり前だと思っているから、父親にはこれも理解不能ということになります。

 

 

 

 

人間関係はわからないし、人は信じられないけれども、父親はずっとそういう環境の中で働いてきました。

 

 

 

 

だから、子どもがろくに働きもしないでそういうことを言うのが、とうてい許せません。

 

 

 

 

父親もまだ給料をもらっているうちは余裕があります。これが年金生活になっている人は、ほんとうにたいへんです。

 

 

 

 

自分が年金生活になっても、なお子どもが働かなかったら、励ましの言葉も言い方が変わってきます。

 

 

 

 

子どもにこんな言葉をぶつけた父親もいました。「おまえはいつまで親の命を食いちぎるつもりなんだ」

 

 

 

 

こういうきつい言葉を子どもに向けて言えば言うほど、子どもは目の下に隈をつくり、ブルブル震えて、チック(顔面筋のけいれん)を起こしたりします。

 

 

 

 

子どもに心理的な抑圧が起きます。そのうち、父親も母親もわかってくれないと思って、口を閉ざし、心を閉ざし、部屋にこもり始めます。

 

 

 

 

雨戸を開けなくなります。夏でも冬のカーテンのままです。なかには、黒いビニール袋を使って、ガムテープで目張りしたりする子もいます。

 

 

 

 

こうして、さらに人を避けるようになります。それがますますエスカレートすると、親もいよいよこれは病気ではないかと思うようになり、精神科のクリニックや保健所に連絡をします。

 

 

 

 

そういうことすら思いつかずに、孤立して不安の中をさまよっている親も珍しくありません。

 

 

 

 

やがて、親も、人間関係が辛い、わからない、信じられないという子どもの言葉を、なんとか理解しようと努力するようになります。

 

 

 

 

そうしないと関係が改善しないからです。すると、子どもは「僕は他人と人間関係を取り結ぶことができないで悩んでいたんだ」などといい始めます。ここで父親も母親もハッとします。

 

 

 

 

自分ひとりなら問題ありません。でも、他人とかかわるときとか、仲間集団の中ではどう漂っていったらいいかがわかりません。

 

 

 

 

どうやって人と付き合っていったらいいか、どうやって自分の悩みを人に伝えたらいいかがわからない・・・・・

 

 

 

 

つまり、「不登校やニートや就職拒否が問題なのではなく、この子は人と触れ合えない悩みを抱えていたんだ」と、子どもの本質的な悩みが人間関係であったことにはじめて気がつくのです。

 

 

 

 

ようするに、人を求めながらも、人の中にはいっていくことができなかったという悩みです。

 

 

 

 

このことに気がつくまでに、なんと長い年月がかかったことでしょう。

 

 

 



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