アダルト・チルドレンの娘と母親
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アダルト・チルドレンの娘と母親

2016年09月04日(日)6:37 PM

ELL92_midorinoniwa20131224_TP_V1三十路を前にした既婚女性が、母親をともなって関東自立就労支援センターに来所しました。

 

 

 

 

彼女は「恋愛経験も乏しく、男性を見る目がないから」との理由で、顔の広い母親の知人に相手探しを頼み、その結果、ある男性を紹介されました。

 

 

 

 

「おばさんが勧める人だからと信じておつきあいを重ねているうちに、相手から一方的にプロポーズされ、困ったけど、おばさんもお母さんもいい人だからと言うので、結婚することにしたんです」

 

 

 

 

そして、そのおばさんに仲人をお願いしました。ところが、結婚して数ヶ月、彼女は「生活感覚の不一致があまりにも大きすぎて、いっしょにいることに数秒たりとも堪えられない」と、別居してしまいました。

 

 

 

 

彼女は、自分の人生の破綻を生んだのは仲人したおばさんの責任で、「傷つけられたわたしに謝ってほしい」と真顔で言います。

 

 

 

 

しかも、その仲人役を迫られた母親が、おばさんからお詫びの言葉をもらってきたのです。

 

 

 

 

ところが彼女は、「どのように悪いと思っているのかわからない」と言って母親に詰め寄りました。

 

 

 

 

娘の訴えとおばさんとの間に板ばさみになってしまった母親は、せつない心情を語りだしました。

 

 

 

 

「でも、彼のことをいい人だと思ったのはあなたでしょう。自分で決めたことなんだから、これ以上のことをお母さんはおばさんに言えないよ」

 

 

 

 

「わたしはおばさんを信じたのよ。なぜ信じたわたしがお母さんから叱られなければならないの」

 

 

 

 

「別に叱ってなんかいないのよ。ただ、彼に対しても、おばさんに対しても、謝ってほしいと思うなら、どうして自分で言わないの」

 

 

 

 

「お母さん、わたしが言える子だと思ってるの。ずっとお母さんに抑えつけられて育った子よ。

 

 

 

 

言って、言い返されたら、またわたしが傷つくじゃない。わたしはアダルト・チルドレンなのよ」

 

 

 

 

この娘さんは自分をアダルト・チルドレン、すなわち、幼児期に心的外傷を受け、感情表出ができない人間と決めつけていますが、このケースをトラブルを起こした部下を注意する上司との関係に置き換えて、「そんな叱り方をしたら、プライドが傷つけられて仕事をする気がなくなります。

 

 

 

 

意欲をなくさせるような叱りかたをした責任を取ってください」と言われたらどうでしょうか。

 

 

 

 

本人が「退職します」と言わないかぎり、「退職したら」とも迫りにくいです。

 

 

 

 

コミュニケーションをしているようで、彼女は母親やおばさんの気持ちを汲みとろうとはしていません。

 

 

 

 

分かり合うためのコミュニケーションにならないから、互いに疲れてしまいます。

 

 

 

 

彼女は、相手の気持ちを受け入れ、折り合うというコミュニケーションに慣れていないのかもしれません。

 

 

 

 

そこでわたしは言いました。

 

 

 

 

「君もくやしいだろうけど、仲人をしてくれたおばさんだって、お母さんだって、信じあって努力してきたんじゃないか。

 

 

 

 

お互いに傷ついていることだってあるよ」彼女はわたしの言葉に失望したのか、急に押し黙ってしまいました。

 

 

 

 

このような若者の面接場面を通して感じるのは、相手の気持ちを掘り起こし、耕そうとするコミュニケーションの営みが見えないことです。

 

 

 

 

双方向のコミュニケーションになっていないのです。人は無縁な存在ではないはずなのに、どこかで孤立感が漂ってきます。

 

 

 

 

そして、人との対立をひどく恐れているわりには、ワンウェイ・コミュニケーションゆえに言葉がとげとげしくなって衝突しています。

 

 

 

 

そのうっとうしさに堪えきれず、人間関係を回避するように押し黙ってしまいます。

 

 

 

 

面接の場、講演先、家庭訪問等で出会う若者たちは、よく「人が気になる」と言います。

 

 

 

 

人の目が気になるのは、自己評価の低さゆえなのです。

 

 

 

 

人は人とふれあい、向き合うとき、相互の気持ちを交し合うことなくしては、自分の存在を心の底から認めることはできません。

 

 

 

 

良し悪しは関係なく、人と絡み合いながら自分の感情や気持ちを小出しにしつつ、相手の感情も引き出していくコミュニケーション・ワークが大切なのです。

 

 

 

 

人情味のある人間関係は、現代っ子にとっては、「ムカつき、キレる」ほど難儀なことなのです。

 

 



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団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
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住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援