ひきこもりの不安定な心と身体的不調
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ひきこもりの不安定な心と身体的不調

2016年06月24日(金)7:19 PM

 

 

 

 

ひきこもりには、精神医学的な対応が不要なケースも有ることは確かですが、期間が長引くにつれて、神経症的な葛藤や憂鬱が出入りしたり、人格の偏りや無感動化が進むケースは多く存在します。

 

 

 

 

ひきこもり外来を訪れた8割に何らかの診断がつきました。

 

 

 

 

多い診断名は次のようになります。

 

 

 

 

1・社会不安障害

人前に出る緊張が強くて、回避してしまう障害。以前の対人恐怖とほぼ同じ。

 

 

 

 

2・強迫性障害

手洗いなどを繰り返したり、不合理な考えで頭が一杯になる障害。

 

 

 

 

3・PTSD

過去の恐怖体験が蘇って苦しめられる障害。「心的外傷後ストレス障害」の略。

 

 

 

 

4・パニック障害

今にも死にそうな気分と不安定な身体症状に襲われる障害。

 

 

 

 

5・うつ状態・うつ病

気持ちが沈み込む「抑うつ状態」などは高頻度で見受けられる。ひきこもりの抑うつは、普通の社会生活を営む場合のうつ病と違った症状を呈し、「非定型うつ」と呼ばれる。

 

 

 

 

6・過食嘔吐を中心とした「摂食障害」

過食によって頭が真っ白になり、嘔吐によってスッキリする食行動の障害。

 

 

 

 

7・孤独を癒すための飲酒が進んだ「アルコール依存症」

手の震えや、酒乱、失禁、せん妄などをきたす。

 

 

 

 

8・睡眠障害

寝付きが悪い、中途で目が覚める。昼夜逆転もこの一種。

 

 

 

 

9・パーソナリティ障害

当事者も周囲も困るような人格の偏り。ひきこもりに多いパーソナリティ障害は次の通り。

 

 

 

 

a・ボーダーライン(境界性パーソナリティ障害、境界例)

感情の起伏が激しく、過剰な活動に荒れる時期とひきこもりの時期を繰り返す。

 

 

 

 

b・自己愛性パーソナリティ障害

傷つくことを恐れて引きこもる時期と、慢心して多動となる時期を繰り返す。

 

 

 

 

c・シゾイドパーソナリティ障害

他人や異性に興味を持たず、孤独でいることが平気な障害。

 

 

 

 

d・回避性パーソナリティ障害

人前での緊張から、回避が進み、日常生活が成り立たなくなる。治療可能のうちは、社会性不安障害といえる。

 

 

 

 

e・未熟型パーソナリティ障害

わがままによって周囲を支配し、周囲も受け入れるために社会性が育たず、未熟な段階のまま固定化する。一方的な自己主張しか出来ない。

 

 

 

 

f・妄想性パーソナリティ障害

何事にも猜疑心を向ける障害。

 

 

 

 

パーソナリティ障害には完全主義の傾向が強いために、家族や支援者も悩まされる事が多いのが現状です。

 

 

 

 

サポートする場合は、専門家の見立てを得ておくことが、効率的な活動のために欠かせないといえます。

 

 

 

 

医療とNPO、支援者などの間に連携があること、特にひきこもりに理解のある心療内科医、精神科医、臨床心理士などとの連携が望まれるところです。

 

 

 

 

社会不安障害、うつ病、摂食障害、強迫性障害、パニック障害などを中心に、薬物療法の有効性が知られています。

 

 

 

 

パーソナリティ障害も、薬物を組み合わせて使用することで症状の軽減がはかられます。

 

 

 

 

ひきこもりの対社会不安、対人不安、抑うつ状態には、マイナー指導と呼ばれる軽い安定剤が即効性を示しますが、乱用や依存におちいらないためには医師の指導を受けることが必要です。

 

 

 

 

抗うつ剤の主流であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、欧米から遅れること10年、2000年前後には日本に登場しました。

 

 

 

 

SSRIは、前出の疾患などに幅広い適応をとっています。

 

 

 

 

しかし、ひきこもり家族は、安定剤や睡眠剤、抗うつ剤などに対する偏見が強いといえます。

 

 

 

 

依存性物質(類麻薬)であるアルコールに対する無防備差に比較して、薬物や精神医療に対する偏見は、先進国とは思えないほどなのです。

 

 

 

 

中産階級の上昇体験が親の自己愛(ナルシズム)に変身したのでしょうか。

 

 

 

 

SSRIなどの薬物療法に合わせて、動機付け療法、認知行動療法、さらに、居場所、親の会、家庭教室などの集団療法を複合的に行うことで、治療効果が飛躍的に高まることは、ひきこもり外来の実践で示されています。

 

 

 

 

当事者が身体的不調を訴えるときは、親にとっては当事者を医療に連れて行く絶好のタイミングです。

 

 

 

 

ひきこもりによく見られる疾患は、虫歯、アトピーなどの皮膚病、下痢・腹痛、痔、脊椎の変形などですが、ひきこもりとばかり家族が思い込んできた青年が、筋ジストロフィーなどの難病を発症していたケースもあります。

 

 

 

 

痔の痛みを親が理解してくれないと暴れだしたケースでは、手術が必要になりました。

 

 

 

 

運動不足からの筋力低下・筋萎縮などは、決して珍しくない現象です。

 

 

 

 

ここで取り上げた身体疾患のケースは、男性に多いという点が特徴的です。

 

 

 

 

ある女性の長期化ケースは、強迫的に家を仕切って父親の脳梗塞を招きましたが、自身の身体的な健康は保たれていました。

 

 

 

 

また別の女性は家中を強迫的に掃除し続けることで身体の健康を保っていました。

 

 

 

 

「家」が女性にとってより親和性があることがうかがわれます。

 

 

 

 

激痛をきたしても周囲に知らせないこともあります。

 

 

 

 

脊椎の圧迫骨折をきたした男性は、ある時突然に襲った激痛を誰にも告げないまま耐え抜きました。

 

 

 

 

身体が使用されなくなったことから生じる「廃用性障害」が多いのですが、年齢からは想像できないほどの事態といえます。

 

 

 

 

他にも、運動不足と偏食から30代で脳萎縮をきたしたケース、アルコール乱用から脳萎縮と幻覚妄想にいたったケースなども存在します。

 

 

 

 

ひきこもり期間が15~20年と長引く場合に、心身の様々な疾患が進行していることを、周囲は考えるべきです。

 

 

 

 

いったん身体障害化した場合には、学習能力や労働能力が失われて、非可逆的に固定化することもあるからです。



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