不登校の児童と生徒について(3)
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不登校の児童と生徒について(3)

2016年06月11日(土)11:42 AM

昇(仮名、一五歳。中学三年生。YG検査でC類のタイプ)は小学校から帰ってくる子ども達の声で目覚めました。

 

 

 

 

時計は午後四時半を指していました。閉めっぱなしにしてある遮光カーテンの隙間から秋の夕日が漏れていました。

 

 

 

 

寝たまま腕を精一杯伸ばし、パソコンに電源を入れます。パソコンが完全に立ち上がるまでにベッドから出ればよいです。

 

 

 

 

小学校六年生の夏から学校には行ってないから、不登校を始めてもう三年が過ぎました。

 

 

 

 

小学生時代からの友達にメールで誘われれば遊びにも出かけます。

 

 

 

 

友達がパソコンやインターネットのことで困れば、その子の家に出かけてパソコンの調子を整えてあげます。

 

 

 

 

ネットゲームをする時間も充分にあり友達もいます。ネットゲームで知り合った仲間も大勢います。

 

 

 

 

今、困ってることは何もないです。わからないことがあればインターネットで検索して調べればほとんどのことはわかります。

 

 

 


中学校で習う漢字は書けないが、読むことで苦労したことはほとんどありません。

 

 

 

 

文書を書く必要がある場合は、ワードで入力しプリントアウトすれば済むことなので何にも困ることはありません。

 

 

 

 

昇にとって学校生活は魅力を感じられません。ときどき、父親から将来はどうするのかと聞かれます。

 

 

 

 

黙っていると説教やら小言ともとれる話がいつまでも続き、話の最後は会社の愚痴になり自分の老後の心配で終わります。

 

 

 

 

その話を最後まで聞くのが嫌だから、最後は適当に「高卒検を取って、情報処理の勉強をするために大学に行く」と答えます。

 

 

 

 

そうすると父親は「これからの社会はパソコンと英語は大切だ。しっかり勉強しなさい」で終わります。

 

 

 


その後、父親は母親相手に会社や仕事の愚痴をこぼします。母親が生返事をすると「お前は何もわかっていない。俺が働かなければこの家はどうなるのだ。一家、野垂れ死にだ」と口癖のようにぼやきます。

 

 

 

 

「父親の会社は長引く不景気のせいで危ないらしい。上司や同僚がリストラされているらしい。お父さんもいつそうなるかわからないから不安なのでしょう」

 

 

 

 

「お父さんがリストラされたら家はどうなるの?」

 

 

 

 

「まだお父さんは若いから、今までのプライドを捨てて仕事を選ばなければ、収入は少なくなるけどまだ働けますよ。それにお母さんだって、今、パートでお父さんの収入の半分くらいは稼いでいるからすぐには心配ないのよ」と答えます。

 

 

 


父親は有名大学の工学部を卒業して、大会社に就職したが、数年で設計開発担当から営業に回されました。全国各地の営業所で働き、本社に戻ってからは営業の管理部門で仕事をしています。

 

 

 

 

有名大学の工学部を出ても、自分がやりたかったことを何一つできず、中年になればリストラの心配をしながら家族のために頑張ってきた父親に感謝の気持ちはあるが、父親のようなああいう人生はやりたくないと、昇は思っています。

 

 

 

 

でも、本当は自分が何をしたいのかわからないです。救いは、大学卒業の二二歳までは親は待って面倒を見てくれることであります。

 

 

 

 

それまでに大学を卒業して職種を決めればよいと言われているし、自分でもそう思っています。猶予期間中は何をやってもかまわないです。

 

 

 

 

最近昇はいつもこう思っています。通信制高校に一応籍は置いて単位は高卒検で取ろう。そして、どこか入れる大学に入ろう。

 

 

 


受験勉強はしたくないし、好きでもない教科の単位を取るために勉強なんてしたくはない。受験勉強は中学入試でコリゴリした。意味がわからないことを無理やり覚えさせられ、問題を早く正確に解く単純作業を繰り返す、これが勉強なんてどこか狂っている。

 

 

 

 


そこには好奇心を満足させることも、考えるという人間ができる創造的な行為もないような気がする。

 

 

 

 

受験塾に行かされた時、自分がブロイラーのニワトリになった気分がした。今でもその時のことを思い出すと、死ぬほど嫌な感情が湧いてくる。

 

 

 

 

あの受験勉強がなかったら、僕は不登校になっていなかったかもしれない。塾をさぼり、街に出て時間を潰しているのを母親に見つかり、父親に怒鳴られてから学校も行けなくなりました。

 

 

 

 

最初は親に対する反抗だったのかもしれないが、朝起きないで学校を休んでいると、母親に、「昇は疲れてしまったのね、お母さん気が付かなくてごめんね。元気が出るまで、休んでもいいよ」と言われました。

 

 

 

 

妙に優しい顔になってしまいました。ああいう態度をとられると、どうしていいかわからなくなって、いつの間にか楽な方に流されてしまいました。

 

 

 

 

退屈な日々が続き、私立中学入試も終わり、近くの公立中学に通うつもりだったが、なんとなくタイミングを外してしまい、中学生になっても休み続けました。

 

 

 

 

そのうち学校なんてどうでもよくなってしまいました。雑誌で知ったネットゲームをやり始めてから今まであった退屈な気持ちはなくなってしまい時間が飛ぶように過ぎていきました……。



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