アスペルガー症候群と自閉症の子ども達
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アスペルガー症候群と自閉症の子ども達

2016年06月02日(木)12:20 PM

 

 

 

 

アスペルガー症候群や自閉症の子どもたちは、ささいな音にも気が散って集中することができず、不安になったり、耳をふさいで外界の刺激を遮断してしまうことがあります。

 

 

 

 

また、聞こえないわけでも言葉が理解できないわけでもないのに、なぜか言葉で指示が伝わらないことがあります。敏感なようでいて、鈍感なところがあるのはなぜでしょうか。

 

 

 

 

通常、私たちは、さまざまな情報にさらされて生活していますが、不必要な情報に対してはバリアを張りめぐらせることによって、必要な情報だけを入力させています。

 

 

 

 

すごく騒がしい駅や電車のなかでも、いっしょにいる人の話が聞きとれるのは、駅のアナウンス、雑踏の声、足音、電車の振動音などを、脳のなかで切り捨てて、意識しないようにしているからです。

 

 

 

 

アスペルガー症候群や自閉症の子どもたちは、脳の機能障害があるので、外界からの情報に対しての反応が一定ではないのです。

 

 

 

 

小さな音にも耳をふさいで防御したり、耳元で大声で叫んでも聞こえないことがあるのは、このためと考えられます。

 

 

 

 

奇声を上げたり、自傷行為をするのも、ほかからきわだった、特有のわかりやすい刺激を自分でつくり出しているのかもしれません。

 

 

 

 

こうした子どもたちは、同年代の子どもたちが四十人もひしめき、がやがやとおしゃべりしたり、机やいすをガタガタさせ、教師は黒板にカツカツと音を立てながら文字を書き、何かを話している教室に、突然、ひとりで放り込まれたらどんな状態になるでしょうか。

 

 

 

 

しかも音だけではありません。教室内には、子どもたちが描い絵やポスター、テレビや花瓶など目から入るさまざまな情報があります。

 

 

 

 

さらに、隣の教室で話す教師の声が聞こえてきたり、学校の外から車の走る音なども聞こえてくるかもしれません。

 

 

 

 

そんなときに、発達障害のある子どもたちに対して「必要な情報はこれですよ」と示してあげるために、要らない情報にはバリアを張ってしまうのが「構造化」なのです。

 

 

 

 

情報を整理し、安心できる環境を整えてやることです。たとえば、学習に集中できない子どもには、ついたてを立てて仕切り、余分なものはみえないようにします。

 

 

 

 

言葉で伝わらない場合には、絵や文字を書いて、視覚情報として与えます。アスペルガー症候群や自閉症の子どもたちは、聴覚情報よりも視覚情報のほうが上回っていることが多いからです。

 

 

 

 

空間も構造化します。この場所は学習するところ、この場所は食事をするところ・・・というように、場所と目的を結びつけて、なにをすべきところかを明確にしておくことです。

 

 

 

 

アスペルガー症候群や自閉症の子どもは、ここでやっていた作業を、向こうでつづけなさいと言われると非常に混乱するということは、先に述べました。

 

 

 

 

また、学習の場面では、どんな内容の課題を、どれだけの時間をかけてやるのか具体的に示し、小さな課題を一つひとつおこないながら、やり終えたらそのつど、やり終えた課題がどれだけ蓄積したかを確認するという方法をとるのも、学習の構造化です。

 

 

 

 

こうした構造化の理念に基づいて、子どもたちの能力や個性に合わせながら、彼らの不得意なところを補ってあげると、学習や生活指導、社会への対応の練習などがスムーズにできやすくなるのです。

 

 

 

 

ところが、構造化の理念を理解せず、かたちから入ると間違うことがあります。自閉症の子どもだからといって、なんでも周囲をついたてで囲んでしまうと、まるでゲートインした競走馬のような状態になってしまいます。

 

 

 

 

ティーチプログラムは構造化の理念をもとにして、子どもたちへの対応をこと細かに示したいわばマニュアルです。ハンバーガー店もそうですが、アメリカ人はシステムとして体系化し、マニュアル化するのが上手です。

 

 

 

 

マニュアル化されると、だれでもとり入れやすいので、あっという間に広がります。日本の教師も、こうしたものがなければなかなかティーチプログラムをとり入れられなかったでしょう。

 

 

 

 

しかし、マニュアル化の欠点は、ただのものまねに終わってしまう危険性があることです。ハンバーガー店の店員は、客が来たら「いらっしゃいませ」と言いますが、こころがこもっていなくてもかまいません。

 

 

 

 

ある喫茶店では、注文したものをもってくる際、「大丈夫ですか」と客に確認することになっているようです。

 

 

 

 

「ご注文された品は全部そろいましたか」とか「よろしいですか」と言えばいいのに、「大丈夫ですか」というのは非常に不思議な日本語です。それを考えず、ただ上から言われたことをまねし、疑問さえもちません。

 

 

 

 

ティーチプログラムも、ショプラーがなぜこの理論を考え出したのかを理解し、ときに疑問ももちながらおこなわなければ、ただのものまねに終わってしまうでしょう。

 

 

 

 

それ以上に私が問題だと思うのは、アスペルガー症候群や自閉症の子ども自身をマニュアル化してしまうということです。彼らはもともとマニュアル化しやすい特徴があるので、ワンパターン化したプログラムでやることが、本当に治療になるのかということです。

 

 

 

 

アスペルガー症候群や自閉症は、生物学的な要因が中心だといわれていますが、少なくともティーチプログラムはその原因に迫るような治療プログラムではありません。

 

 

 

 

このような発言をすると、ティーチプログラムを実践している人たちからは、「実践していない人は口を出さないでほしい」というような反感をかってしまうことがあります。

 

 

 

 

しかし、ティーチプログラムの理念を実践しているアメリカの研究者からは「そんなふうに考えるのは当然です。私たちも原因療法に近づけたいと思って、専門家を育て、研究をスタートさせたところです」という答えが返ってきます。

 

 

 

 

なにより、開発したショプラー自身が「ティーチプログラムに本当に効果があったのか、なかったのか、今、有効性を議論し始めている」と語っています。

 

 

 

 

どんな治療法も、突き詰めれば原因療法ではありません。ウイルスに感染したときに発症する人としない人がいるのはなぜかということは科学的にまだ解明されていません。すべては議論の域です。

 

 

 

 

まして発達障害の原因は、ほとんど解明されておらず、原因に迫治療法が登場するのはまだ先のことになるでしょう。だからこそ、療育や教育の方法を試行錯誤することが大事なのです。

 

 

 

 

 



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