一般的なニート
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一般的なニート

2016年05月20日(金)9:10 PM

「一般的なニート」は、就労経験が少ない若者から生まれます。「就労の非ベテラン」から生まれるニートをなぜ「一般的」と名づけたかといえば、彼らが就職活動と就労経験をすでに持つ、一人前の大人としてごく一般的な姿だからです。

 

 

 

 

またこの「一般的なニート」の当人が、元正社員や就労派の元フリーター、元契約社員や元派遣社員など、いまどきの若者らしい就職活動や就労経験を持ったあとに陥るニートであることも、「一般的なニート」と名づけた理由です。

 

 

 

 

わたしがそのような彼らを、豊富な就労経験を持つ「中高年ニート」と区別したのは、それぞれが抱える問題を混同しないためです。

 

 

 

 

ではさっそく、「一般的なニート」の事例を紹介していきたいと思います。この事例は、就職活動に成功し、就労を始めたものの、すぐに就労不能になってしまった「一般的なニート」です。

 

 

 

 

R君が大学を卒業し、自動車販売会社に入ったのは、3年前の春でした。彼が人生最初の仕事を自動車のセールスマンにしたのは、第一志望保険会社と第二志望の信用金庫の試験に落ちたからですが、同時に「就職して働き始めないとニートになる」といういまどきの若者らしい危機感もありました。

 

 

 

 

新人研修を経て彼が配属されたのは、彼が生まれ育った街に近い営業所でした。上司から営業部の名刺をもらったR君は、はじめのうちは、先輩に車の売り方を教えてもらい、時期がくれば一人立ちして立派な営業マンになれるものだと思っていました。

 

 

 

 

ですが、現実は違いました。最初の半年はアルバイトのフリーターと一緒に客の車の洗車や整備工場の掃除ばかりをやらされました。

 

 

 

 

そして入社半年後からは、毎朝、客の車を運転して車検場に行き、そこで車検をとっては会社に戻り、昼食も食べずにふたたび車検場に別の車を持ち込み、そこでまた車検をとって大急ぎで会社に戻ってくる・・・このような作業ばかりをほぼ1年もやらされました。

 

 

 

 

そんなある日、営業所長から呼ばれたR君は、思いもかけないものを所長から渡されました。

 

 

 

 

転属の辞令です。「本社総務部勤務を命ず」と書かれてありました。「なんで俺が総務なんだ」と思ったR君は、辞令をもらった翌日、仮病で欠勤し、自分はなぜ営業マンになれないのかと考え込みました。

 

 

 

 

若いR君の決断は早かったです。わずか2年とはいえ、自動車ディーラーにいたのだから、ほかの車メーカーで働けば、自分も営業マンとして活躍できると考えたのです。

 

 

 

 

かくしてR君は、人生最初の職場に辞表を提出し、入社直前の春休みを会社の新人研修でつぶされた穴埋めに、しばらく自由気ままに暮らしてみることにしました。

 

 

 

 

ロングバケーションは楽しかったようです。ですが、自分で決めた骨休み期間が終わり、いざ働こうとすると、なぜか働く意欲が以前ほどわいてきません。

 

 

 

 

明日こそハローワークへ行こう、週末こそ新聞の求人欄を読むぞと決めても、そのときになるとどうしても避けてしまいます。

 

 

 

 

このようにしてR君は、働き始めてわずか2年、骨休み期間を加えるとわずか2年半で、「一般的なニート」になってしまいました。

 

 

 

 

R君が「一般的なニート」になった原因は、彼が離職後に再就職活動をおこなわなかったことにあります。

 

 

 

 

つまり、すぐにおこなうべき再就職活動をおこなわなかったことが、彼のニートを生み出したのです。

 

 

 

 

彼から相談を受けたわたしは、なにがなんでも再就職活動をおこなうこと、再就職活動をおこなえるようになるためには、まず態勢をたてなおさなければならないことの2点をアドバイスしました。

 

 

 

 

とはいうものの、ひとたび無為に陥った若者の日常は、かなりだらしなくなっています。

 

 

 

 

そこでわたしは、大まかな「ニート脱出スケジュール」をつくり、彼の怠惰な生活に区切りをつけさせることにしました。

 

 

 

 

まず、遠方に住む彼に毎朝モーニングコールをかけました。これで彼をたたき起こします。

 

 

 

 

そして洗顔・歯磨き・朝食が終わると、今度は彼が報告の電話をかけてきます。洗顔から朝食までに許した時間は1時間だけでした。

 

 

 

 

朝食を終えた彼は、今度は新聞3紙を1時間かけて読みます。そしてその証拠として、わたしに各誌のトップニュースの内容を電話で報告します。

 

 

 

 

その後、その日の記事の中から興味をもったものをわたしにファックスし、それに対する自分の考えをまとめ、10時の締め切りまでに送信します。

 

 

 

 

彼からのファックスを受け取ったわたしは、電話で彼の作文を添削し、実社会に対する観察眼が養えるようにアドバイスを重ねました。

 

 

 

 

わたしからのモーニングコールは、約1ヶ月で必要なくなりました。早寝早起きの習慣が戻ったからです。

 

 

 

 

わたしは彼に上京を促し、事前に協力を依頼しておいたさまざまな会社を見学させました。

 

 

 

 

彼が興味を示したのは、やはり自動車販売会社でした。ですが、それは国産車を販売する会社ではなく、長い間外車を売ってきた会社でした。

 

 

 

 

見学を終えた彼は、「やっぱり同じ車を売るなら、パリッとしたスーツを着込んで、あんな外国の車をスマートに売ってみたいですよ」と目を輝かせました。

 

 

 

 

わたしは長い間つきあいを続けてきた何社かの外車販売店の知り合いに、営業職の欠員がないかをさっそく教えてもらいました。

 

 

 

 

幸いなことに、ヨーロッパ車を長年販売してきた老舗ディーラーに欠員があり、彼を受け入れてくれました。

 

 

 

 

彼がその会社に近い賃貸マンションに引っ越したのは、わたしと出会ってから3ヵ月半後のことでした。

 

 

 

 

わたしは彼のために1年間、自動車の専門紙が宅配されるように手配し、彼に贈呈しました。

 

 

 

 

彼は、会社にいけばその新聞を読むことはできます。ですが、先手必勝がセールスマンの掟です。

 

 

 

 

彼はその後、着実に販売台数を伸ばし、現在は会社で主任という立場になっています。

 

 

 

 

R君から相談を受けたわたしは、彼が離職した自動車販売会社に連絡をとっていました。

 

 

 

 

彼が総務部に転属になった真の理由を知りたかったからです。理由は、わたしが彼とはじめてあったときに感じたように、彼には見込みがあったからでした。

 

 

 

 

新卒の彼を採用し、研修期間から見守っていた会社や上司は、彼の丁寧な人との接し方に好感をもっていたのです。

 

 

 

 

ですが、会社としては好人物であるだけでは不充分なのです。そこで彼の粘りや根気を調べるために、会社は彼に同期の者とは違う、下働き的な仕事をさせたのです。

 

 

 

 

会社はフリーターとも仲良く仕事をこなすR君の素質をさらに確かめるため、彼に新たな試練を与えました。

 

 

 

 

それが、顧客からの大切な預かりものである車を車検場に持ち込み、車検を取って会社に持ち帰る作業でした。

 

 

 

 

R君はこれでも及第点をとっていました。R君が本社にある総務部への転属命令を受けたのは、会社が彼を将来の幹部候補とみなしたからでした。

 

 

 

 

ですから、財務や人事などもひと通り学ばせてから営業部に再配属しても遅くないと考えていたようです。

 

 

 

 

それを若いR君は、会社に見限られたと勘違いしてしまったのです。これほど左様に、働きはじめて間もない若者には、社会や会社の仕組みがわかっておらず、学校を出たての若者たちの離職率は驚くほど高いのが現状です。

 

 

 

 

理由を調べてみますと、ほとんどの離職者が、「仕事や会社がつまらない」「自分がやりたい仕事をさせてくれない」などをあげます。

 

 

 

 

ですが冷たい言い方になるかもしれませんが、会社や職場は仲良しクラブではありません。

 

 

 

 

また、右も左もわからない新米にやりがいのある仕事を一任する会社などありません。

 

 

 

 

そうした常識を若者が知らなすぎるから、実際に働きはじめると不平不満をうっ積させ、簡単に離職してしまいます。

 

 

 

 

それにしても彼らはなぜ、ちょっとした不満を抱えただけで、せっかく入った会社をあっさり辞めてしまうのでしょうか。

 

 

 

 

その理由は、晴れて就労者になれた彼らでさえ、「子どもの領域」にいる者と同じような考え方をもっているからです。

 

 

 

 

「子どもの領域」にいる不登校・ひきこもり・ニートの当人は、先に説明したように、自分が今、停滞の真っ只中にいて、「本来おこなうべきことをまったくおこなっていない」にもかかわらず、時間がたてば自然に自分が望むような人間になれると思い込んでいます。

 

 

 

 

自動的に一人前の大人になれるはずだ、と。これとほぼ同じ考えをもったまま、「働く領域」に入り込み、就労者になったのがR君のような若者なのです。

 

 

 

 

だから彼らは、会社に入れば自分の好む部署で働けるものだと思い込んでしまいます。

 

 

 

 

そしてすぐに下働きや見習いから解放され、一人前の勤め人になって、周囲もそれを認めてくれると思ってしまいます。

 

 

 

 

しかし、当たり前ですが現実はそうではありません。若者が「一般的なニート」になる背景には、当人が選んだ「離職」という進路が直接の引き金になっていることはまちがいありませんが、その奥には、「外なる社会」の仕組み、あり様をわが子に教えてこなかった親や、社会人に求められる協調性や社会性を養ってこなかった家庭という、環境因子も明らかに関与しています。

 

 

 

 

わたしがR君の社会復帰に多くの支持を組み入れたのは、彼が社会に復帰できるよう、徹底的に「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」を叩き込むためでもありました。

 

 

 

 

じつはこの「ホウレンソウ」ができるかできないかは、当人がまっとうな社会人であるか否か、また、そうなれるか否かを見きわめるバロメーターになります。

 

 

 

 

すでに「一般的なニート」になっている方は、自分がこれから働き始めるための指針が「ホウレンソウ」にあることをぜひ覚え、再就職活動をはじめるときからそれを意識するようにしてもらいたいと思います。

 

 

 

 

それだけであなたの再就職活動の成果は格段に向上するはずです。

 

 

 

 

 



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