ニートについて
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ニートについて

2016年05月06日(金)3:32 PM

ニートに関しては、対人関係を結ぶことに困難を抱えている場合が多いと指摘されているし、それは少なからず事実です。

 

 

 

 

しかしそうだとしても、コミュニケーション能力にかかわる問題は、現代の若者の生来的資質の問題というよりも、幼少期から青年期にかけて広い範囲の人びととの交流が限定的となった社会環境の帰結であったりします。

 

 

 

 

さらに対人関係が困難になったのは、職場の過酷な労働条件から心身のバランスを崩したことがきっかけになったからというニートも少なくありません。

 

 

 

 

それらの背景を無視して、単に若者の意識低下や対人関係能力の弱さといった、個人の内面だけにニートの原因を求めるのは、妥当性を欠いています。

 

 

 

 

わたしに限らず、ニート問題にかかわってきた研究者や現場支援者の多くは、ニートとは単なる若者の意識、意欲、さらには能力の低下といった問題なのではなく、社会の構造上の問題であるという視点を、ほぼブレることなく、共通かつ一貫して維持してきたように思います。

 

 

 

 

そんな関係者の尽力もあってか、一時にくらべれば、ニートは無気力で怠惰な若者であるという社会的な認識は少し弱まったように思えますが、どうでしょうか。

 

 

 

 

ただし、ニートはすべて若者の意識の問題だという認識は、まったく消失したかといえば、もちろんそんなことはありません。

 

 

 

 

政府による若者自立挑戦プランのなかで設置された「若者の人間力を高める国民会議」も、その設置目標を、若者の働く意欲を高め、能力を育むため、経済界・労働界・地域社会が一体となって取り組み、その基本方針を策定することとしています。

 

 

 

 

そこでは若者の「職業意識を高める」「働く意欲を向上させる」といった表現が、当然のように使われたりすることに当惑しています。

 

 

 

 

ニートやひきこもりに限らず、働く意欲が低いといわれて「はい、では働きます」という若者は、どこにもいません。

 

 

 

 

ましてや、労働力不足が深刻化したり、社会保障制度が維持できなくなるので、ニートやひきこもりには働いてもらわないと困ると言われて、突然「じゃあ、働きましょう」という若者が、果たして存在するのでしょうか。

 

 

 

 

就業によって、結果的に人手不足の解消や年金制度の安定に寄与することになるのは望ましいことですが、それがニートの就業支援を行う目的でが断じてありません。

 

 

 

 

ニートは、怠惰な若者どころか、よい意味でも悪い意味でも、きわめてまじめな性格を有することが多いです。

 

 

 

 

たとえば、働く意味を深く考えており、むしろ意味や自分の可能性などを考えすぎる結果として、働くことが困難になったりしている場合のほうが圧倒的に多いのです。

 

 

 

 

働く意欲が弱いどころか、働く意欲が潜在的には強すぎるほどあったりします。

 

 

 

 

ですから、わたしがニートは働いたほうがいいだろうと考えているのも、表面的には、「別に無理して働かなくてもいい」といっていても、その多くはほぼ間違いなく意識の根底で働いて親から自立することを強く望んでいると確信しているからなのです。

 

 

 

 

しかし、自立を個人の自助努力や家族の支援だけで実現するのには限界があります。

 

 

 

 

他者からの積極的な支援を必要とし、またそれによって働けない状態から脱却できる可能性が残されているからこそ、真の社会的共生としてその自立支援を行うべきだとわたしは考えます。

 

 

 

さらに、見えない敵とは、そんな社会的なニートに対する認識、もしくは誤解だけではありません。

 

 

 

 

むしろ、表現に語弊があるかもしれませんが、見えない最大の敵とは、実は一部のニート本人であり、またニートを抱える家族そのものだったりします。

 

 

 

 

今ではニートに関する書物も多く刊行され、取材や記事のなかで、ニート本人や元ニートの発言を目や耳にする機会も少なくありません。

 

 

 

 

しかし、それだけを受けて、ニートのすべての実像と考えるべきではありません。ニートの中には、まったく社会の表面に出てこない層もあります。

 

 

 

 

社会を拒絶し、社会と交わることに絶望した若者は、どんな支援現場の窓口にも現れてこないし、取材の対象になることもありません。

 

 

 

 

ニートはすべてがひきこもりではなく、おそらくその多くが行き場もなくさまよっているか、漫画喫茶、ゲームセンターで、目的もなくただ時間を費やしています。

 

 

 

 

社会から深く孤立したそんな若者たちの真の声をすべて受け止めることは、ひきこもり同様、ニートについてもきわめて困難です。

 

 

 

 

さらにはニート本人だけでなく、その周囲の家族についても同じです。ニートやひきこもりの親の会が開催されると、そこには切実な子どもの状況を何とかしたいと、数多くの親が集まり、熱心な態度で話を聞いてお帰りになります。

 

 

 

 

しかし一方で、子どもにかかわることを放棄した親や家族が存在するのも、否定しがたい事実なのです。

 

 

 

 

特に経済的、社会的に恵まれない状況にある家族ほど、そのような親による関与を一切放棄する現実が存在します。

 

 

 

 

そんな親にはどんなメッセージも届きません。学校や支援団体、自治体などによる子どものための相談会に当然姿を現すことはありません。

 

 

 

 

社会的共生という視点から自立支援策を検討、実施しようとしても、子どもへのかかわりを放棄した親と、その子どもには届かない現実があります。

 

 

 

 

そこに、ニート問題を解決することの最大の困難があります。



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活動内容
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