実録・家庭内暴力
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実録・家庭内暴力

2016年03月29日(火)8:51 AM

長期化によって、取り返しのつかないところまで家庭内暴力が悪化してしまった若者の例をひとつご紹介しましょう。

 

 

 

 

俊彦さんという31歳の男性がいます。彼は、ひきこもりになってから16年という長期にわたって社会から離れてしまっている男性です。

 

 

 

 

元は裕福な家庭だったようですが、俊彦さんが15歳のときに父親が事業に失敗してしまいました。

 

 

 

 

バブルがはじけた時期とも重なり、それ以降は、それまでとは180度違う生活になりました。

 

 

 

 

父親が夜逃げ同然で家を出たため、彼と母親は、その後二人でアパート暮らしを余儀なくされたのです。

 

 

 

 

かつて専業主婦だった母親は、俊彦さんのいちばんの話し相手でした。それが、息子との生活を支えるために、昼も夜も働きづめになりました。

 

 

 

 

これによって、俊彦さんとゆっくり話す時間もなくなってしまいました。当時、中学3年生だった俊彦さんは、そんな生活の変化についていけませんでした。

 

 

 

 

唯一の相談相手である母親は、朝から晩まで働いているため話もろくにできません。それで進路も決められないまま、家にひきこもるようになったのです。

 

 

 

 

やがてひとり部屋にこもる俊彦さんは、外に出られない苛立ちを母親にぶつけるようになっていきました。

 

 

 

 

「ひざまずけ!俺の言うことを聞け!」全身にあざができるほど母親を殴り、けり倒した俊彦さん。

 

 

 

 

それは、ひどいものだったようです。いったん暴れだすと、もう手がつけられません。

 

 

 

 

母親は、息子の激しい暴力に右往左往して、逃げ回るばかりです。そんな生活をしばらく続けた母親は、ある日突然、息子に内緒で自分だけ別のアパートに引越ししてしまいました。

 

 

 

 

息子の暴力を恐れるあまり、逃げ出してしまったのです。しかし、それも長くは続きません。

 

 

 

 

というのも、俊彦さんは手を尽くして母親を見つけ出すと、そこに住み着いてしまうのです。

 

 

 

 

しばらくすると、また暴力に耐えられなくなった母親が逃げ出しますが、息子はまた探し出して、同じ場所に住み着きます。

 

 

 

 

そんなことを続けるうちに、俊彦さんの暴力はどんどんエスカレートしていきました。

 

 

 

 

包丁をつきつけたり、「殺してやる」と脅すようになっていったのです。母親は彼が暴れるたびに保健所に通報して、病院の精神科に強制入院させるといったことを繰り返してきました。

 

 

 

 

母親が、友人に紹介されてひきこもり自立支援センターに来たときには、暴力が始まってから、すでに16年が過ぎていました。

 

 

 

 

これではさすがに、もう遅すぎるのです。ひきこもり自立支援センターのスタッフが病院に俊彦さんを訪問したのですが、一目見て、彼が精神的にかなりやられてしまっているのがわかったといいます。

 

 

 

 

薬による副作用なのか目はうつろで、スタッフの質問にもまともに答えられない状態でした。

 

 

 

 

この状態では、ひきこもり自立支援センターの基本的な活動である、共同生活や仕事体験をしていくには無理があります。

 

 

 

 

ですから残念ながら、受け入れられないと判断しました。俊彦さんは、1年経った現在も、入院中です。

 

 

 

 

俊彦さんの場合、親がもっと早くに対応していたら、ここまで深刻な状態にはならなかったと思います。

 

 

 

 

15歳で生活が激変してから、彼にはずっと居場所が見つからなかったのでしょう。

 

 

 

 

母親への激しい暴力は、それを訴えていたのだと思います。しかし母親は、俊彦さんの新しい居場所を探すのではなく、暴力から逃げることばかりに必死になっていました。

 

 

 

 

もっと早く適切な場所に、SOSを発信していたら・・・・そう思うと残念でなりません。

 

 

 

 

面接の終わりに、俊彦さんの母親が悔やんでも悔やみきれないといった表情でつぶやいた言葉を、わたしは今でもわすれることができません。

 

 

 

 

「もっと早く、このような息子の再出発のための場所に出会えていたら・・・・息子を救ってあげることができたのに・・・・」



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