ひきこもりと父親
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ひきこもりと父親

2016年03月26日(土)1:59 PM

ある長期的なひきこもりをしていた娘のA子さんのことで、母親が関東自立就労支援センターに相談に来ていました。

 

 

 

 

経過は省略しますが、数年経った後、彼女は社会へと戻っていきました。その嵐のような数年の間、父親は一度だけ相談に訪れ、自分の方針を点検し、日常の現実的なことは一切口をださずに母親に任せ、自分ははるか後ろにひいたまま、何年もという長い時間を、じっと守り続けたのでした。

 

 

 

 

決して表にはでてこないのだけれども、子どものことを真剣に考え、後ろに大きな守りとして控えているということが、わたしにもその子にも伝わっていました。

 

 

 

父親と比べて母親は、かなりの心配性です。子どものためには骨身を惜しまずなんでもしよう、という気持ちは強いものの、必要以上に保護的になったり、先走ったり、不安のあまり子ども以上に混乱してしまうところのある方でした。

 

 

 

 

その子どもがひきこもりを抜け出し、社会に出られるようになった背景には、母親の日々の関わりとこのような父親の毅然とした、そしてあたたかい後ろ盾という両方が大きな支えになっていました。

 

 

 

 

家庭のなかでの父親と母親が分担する機能や役割は、それぞれでしょう。子どもを守るとか援助とかいうと、すぐにどのように具体的に手をかすか、ということばかりが論じられます。

 

 

 

 

しかし先にも述べたように、「心をかけて手をかけず」という支え方もあるのです。

 

 

 

 

黙って見守るよりも、口を出すほうが簡単です。いうまでもないことですが、黙って見守るのと無視、あるいは無関心とは違います。

 

 

 

 

そこには、いざというときには出て行くけれども、ぎりぎりのところまで子どもを信じ、手出しを極力控えようとする覚悟が感じられます。

 

 

 

 

このような父親のまなざしと姿ほど、心強いものはないでしょう。よく父親不在ということがいわれますが、このケースの場合、父親は実際には何もしていません。

 

 

 

 

しかしその子どもの心のなかに、強い父親のイメージがしっかりとありました。

 

 

 

 

もちろんそういう父親は、ときには畏怖の対象にもなりますが、全体としては大きな支えになるのです。

 

 

 

 

わたしたちはよく、「現実の父親が実際に何をするか」ということで父親の存在意義を考えがちですが、現実には何もしなくても、子どもの心のなかにイメージとしての父親がいれば、父親不在ではありません。

 

 

 

 

そう考えていくと、イメージのなかで子どもを支える父親が少ない、ということが今日の問題といえるのかもしれません。



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