ひきこもりとフロイト
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ひきこもりとフロイト

2016年03月25日(金)10:19 PM

S・フロイトの有名な症例のひとつに、ドーラの症例というのがあります。これはかつてフロイトの患者だったドーラという十八歳の女性の父親が、多彩な神経症的症状を呈した自分の娘をフロイトに治療してもらうために連れて行ったことで、精神分析治療が開始されたというケースです。

 

 

 

 

フロイトは熱心に治療を進めるのですが、ドーラはわずか三ヶ月でその治療を中断してしまいます。

 

 

 

 

その中断理由をフロイトはさまざまに考えていき、感情転換というメカニズムを認識するようになるのですが、下坂幸三氏はこの中断理由のひとつとして、フロイトが「ドーラ家とある関係のある家との乱脈な人間関係(それがドーラの発症と関係している)を不問に付したままにして、娘ひとりを落ち着かせてほしい」という、父親の身勝手な要求に迎合しながら治療を開始したことにあるのではないか、と分析しています。

 

 

 

 

ひきこもりのケースは、本人が最初から来るということは少なく、多くの場合、まず親が援助機関を訪れます。

 

 

 

 

そこで子どもの状態だけでなく、親側ののっぴきらない苦しさやつらさも語られます。

 

 

 

 

先に書いたケース同様、「一刻も無駄にできない、一分一秒でも早く子どもに立ち直ってほしい」と考え、そのためなら骨身を惜しまないと訴える親御さんがいます。

 

 

 

 

なかには、必死に子どもをその援助専門家のもとに連れていこうと、「先生から手紙を書いてください」、あるいは「電話をかけてください」、また「訪問してくださいませんか」と訴えられる親御さんもたくさんいます。

 

 

 

 

その姿に「何とか協力したい」と心が動かないはずはありません。でも、そこに中途半端に同情し、援助専門家がまきこまれていくと、かつてのフロイトと同様に、親の都合に迎合したかたちで子どもを何とかする、ということが起こりかねません。

 

 

 

 

つまり、親の熱意にほだされて、親を助けるために援助専門家が子どもを何とかしようと対応してしまう、ということが起こるのです。

 

 

 

 

それは熱意のもつ罠にはまることです。これは、ひきこもりの治療のひとつの大きな落とし穴である、といってもよいかもしれません。

 

 

 

 

わたしたちは親の側にいるのではなく、子どもの側にいるのでもありません。わたしたちは両者の間にいて、互いにみえなくなっている両者をつなぎなおしていく役割を担っているのです。



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