ひきこもりを抱える母親との面接
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ひきこもりを抱える母親との面接

2016年03月25日(金)8:22 AM

ひきこもりの状態になってから一年がたち、新学期がはじまってもなお、一向に動きを見せようとしない息子の純一さんに対し、焦る気持ちが母親のなかにしだいに強まっていました。

 

 

 

 

母親が関東自立就労支援センターに面接に通い始めた当初、子どもは誰ともまったく話をしようとしませんでしたが、そのころには内奥の苦しみをポツリポツリと語るようになっていました。

 

 

 

 

そんなある日の面接でのことです。「あの子はひきこもりを続けているので、どんどん社会に出にくくなってきているのではないかと思うのです。

 

 

 

 

行かない時間が長くなればなるほど・・・・。誰か話したり遊んだりする友達がほしいのではないでしょうか。

 

 

 

 

あるいはどこか、たとえばフリースクールに行くとか、他の学校に変わる、あるいは同学年での転学が難しいのであれば、一学年落として受験するとか・・・・。

 

 

 

 

とにかく、親として何かやれることはないでしょうか」わたしはその話を聞いていて、「何か違うのではないか」という感覚にとらわれ、母親に次のように問うてみました。

 

 

 

 

「確かに長期間ひきこもっていると、外に出にくくなるでしょう。それは確かです。

 

 

 

 

でも息子さんは今、友だちを欲しているのでしょうか?」そう聞いたのは、つい最近の面接で、彼は「僕は自分のことを今、自分で考えているんです。

 

 

 

 

でも、なかなかいいアイデアが浮かばないの・・・・。だから、もうちょっと待って」と母親に語ったというエピソードを思い出したからです。

 

 

 

 

「純一さんの言葉から、わたしは今、彼が真剣に何かを考えているように思えます。

 

 

 

 

今、彼の頭のなかを占めていることはこれからどうするのかということではなくて、それ以前のどうしてこうなっちゃったんだろう?何がまずかったのだろう?ということなのではないでしょうか。

 

 

 

 

それは何かを変えないと。このままじゃだめだ。このままだとこの先も同じことが起こってしまうだろうしというメッセージのように聞こえます。

 

 

 

 

外の行動を変化させる前に、あるいはそのためには、それ以前の自分の内側をじっくりと点検しなければ、一歩も先へは進めないということなのではないでしょうか。

 

 

 

 

でも、お母さんの目は外に向いています。友人との関係や新しい学校という選択を考えるのは、今の彼からは遠い目標でしかありません。

 

 

 

 

お母さんは先を急いでいます。もちろん、それは彼のためです。でも、そこにズレが起こっています。

 

 

 

 

酷な言い方になりますが、わたしたしはもっと、彼が自分の人生を賭けてひきこもっていることの意味を真剣に考えることが、必要なのではないでしょうか。

 

 

 

 

外からはそう見えなくても、いちばん焦っているのはお母さんではなく、本人のはずです。

 

 

 

 

その本人がふみとどまらざるを得ない、と思っているのであれば、まずはそこに一緒に踏みとどまることが彼に対する最大の助けになるのではないか、とわたしは思うのです・・・・。

 

 

 

 

わたしには彼が今、親の敷いたレールから降りようとしているのではないか、と思えるのですが・・・・」と伝えました。

 

 

 

 

そしてところ、彼女は、「確かにあの子は今、友だちを欲してはいません。ひとりでいることがいいみたい。

 

 

 

 

勉強が遅れたら学校に戻りたくなったときに戻りにくいだろうからと思い、せめて勉強だけでもやってほしい、と何度も話し合ったのですが、あの子はそれにものってきません。

 

 

 

 

やっても三日坊主です。ということは、ただ怠けているのではなく、わたしのいっていることがあの子のペースとズレている、ということなのだと思います・・・・。

 

 

 

 

これまでわたしはあの子の人生のレールをずっと敷いてきました。今、行かなくなっている学校も、親が決めて受験させました。

 

 

 

 

それをあの子は嫌だったと、こうなってはじめて言ってきました。親が敷いたレールからあの子は降りようとしている・・・・そうなのかもしれません。

 

 

 

 

それなのにわたしはまた、先走って安全なレールをあの子のために敷こうとしているんですね」と語りました。

 

 

 

 

「親が子どものためによかれと思ってレールを敷く、それは悪いことではありません。

 

 

 

 

最初のうちは必要です。でも、いつかどこかで子どもは、自分で人生のレールを敷かなければなりません。

 

 

 

 

それは親の手から子どもの手に舵取りを切り替える、ということです。でも、それはとてつもなく怖いことだし、迷うことです。

 

 

 

 

なぜって、子どもは自分でやったことがないのだから・・・。しかも、どの道を歩むといちばんよいのか、という正解はありません。

 

 

 

 

やってみながら考えるしかないのです。だからそこでとどまり、迷うのは当たり前のことだと思います」とわたしは言いました。



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