関東自立就労支援センターでのひきこもりの面接
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関東自立就労支援センターでのひきこもりの面接

2016年03月22日(火)8:34 AM

わたしが関東自立就労支援センターで実際に関わったひきこもりのケースを書いてみようと思います。

 

 

 

 

長期的に自分の部屋でひきこもりを続けている息子国男さん(仮名)の母親が、あるときの面接で子どもからこういわれたと語りました。

 

 

 

 

ちなみに、ひきこもって以来、子どもから話をしてくるということはめったにない状態が続いていました。

 

 

 

 

母親は専業主婦なので、通常は家にいます。しかし彼と毎日二人きりでいると、y互いに煮詰まってくるので、あるときから母親は自分がカルチャーセンターに行くようにしていました。

 

 

 

 

でも数ヶ月たったころ、彼に「母さん、家にいてくれないか」と言われました。たぶん彼は淋しいのだろうと母親は思い、そのときからカルチャーセンターを休んで家にいるようにしました。

 

 

 

 

とはいえ、ただ家にいるだけで何をするでもなく、彼から話があるわけでもありません。

 

 

 

 

何となく、手持ち無沙汰な日々が続きました。彼はそういうことを頼んだことに対して、母親にすまないと思ってのでしょう。

 

 

 

 

あるとき彼は再び母親に「僕のせいでカルチャーセンターに行けなくて、いやじゃない?」と聞いてきました。

 

 

 

 

それに対して母親は即座に、「平気よ」と言いました。この会話はこれ以上続くことはなく、そこで終わりました。

 

 

 

 

母親はわたしに「なぜ、あの子はそういったのでしょうか?」と尋ねてきました。このときわたしは、母親に二つのことを尋ねました。

 

 

 

 

「どうしてお母さんは、ご本人に問うのではなく、わたしに聞かれるのでしょうか?まずは、そのこと自体がおかしいことだと思います。

 

 

 

 

次に、お母さんは本当に平気なのでしょうか?もちろん彼にとって、自分が家にいるほうがよいのなら、そうしてあげたいと思ったから、家にいることにしたのでしょう。(母親はうなずきます)

 

 

 

 

でも、その一方で、自分が何のために家にいさせられているのか、それはわからない状態です。

 

 

 

 

カルチャーセンターでせっかく勉強しているのに続けられないことを残念に思う気持ちもゼロではないのではないでしょうか。(母親はうなずきます)

 

 

 

 

たとえば(うん、カルチャーセンターに行けなくて、残念な気持ちはゼロではないの。でも、あなたにとって今、お母さんが家にいることがよいということなら、カルチャーセンターのほうはいつでも再開できるのだから、待つことは構わないの)、あるいは(実はお母さんが家にいることがよいのは、どういうことなのかしらと尋ねてみたい気持ちはあるの、それを聞いてもいいのかしら?

 

 

 

 

あるいはまだ、あなたのなかではっきり言葉にはならないけれどもいるほうがいい、と考えているのかしら?・・・・・もしそうだとすると、今なぜと問うことは、かえってあなたを苦しめることになり、もう少し待ったほうがいいのかしらと思ったり・・・・・」等々、本人を前にいろいろ心の中で思っているだろうことを、できるだけ細かく正確に言葉にしてみるとよいのです。

 

 

 

 

大事なのは彼との間に、できるだけ合意なり了解がとれることです。もしも先の提案をしても、何も言ってくれなければ、まだ言葉にするのには早いのだと納得するのではないでしょうか。

 

 

 

 

イライラしながらやっていても、そのイライラのほうが正確に相手に伝わってしまい、結局お互いに欲求不満に陥ってしまうでしょう。

 

 

 

 

また同様に、なぜ彼がそういったのかということも、彼自身に単刀直入にではなく、尋ねる言葉を工夫して聞いたらよいと思うのです」

 

 

 

 

わたしたちの心のなかには、さまざまな思いが雑居しています。ひと言で自分の思いをいい表そうとすれば、その複雑な心境が伝わるはずはありません。

 

 

 

 

互いの思いのズレは、このようなかたちでも起こってきます。忙しい日々を送るなかで、わたしたちはできるだけ短く、要点だけ伝えるようなコミュニケーションをするようになっています。

 

 

 

 

そして、それが「よいことである」と思い込んでいます。このときお母さんは、「そうなのです。よくよく考えると、わたしは先生の思うようなことを考えていたと思うのです。

 

 

 

 

でも先生に言葉にしてもらったから自分はそう思っていたんだってわかったんです。

 

 

 

 

最初からそこまで自覚してはいませんでした」とおっしました。自分の考えていることをつかむ、そしてそれを言葉にする、ということは、それほどに難しいことなのです。

 

 

 

 

ですから子どもに「何を考えているのか、言ってみなさい」と問う前に、わたしたちおとなのほうが、自分が何を感じたのか、思ったのかをできるだけきめ細やかに想起し、伝えようとすることがまずは必要であり、さらには子どもの分も、その気持ちをたくさん推測して考えていこうとすることが、子どもが自分の考えをつかんでいくことを助けるだろう、と思います。

 

 

 

 

わたしがたくさんの推測を親との面接のなかでしているのは、そのモデルを提示しようとしているということのようにも思います。

 

 

 

 

ひきこもっている子どもたちを、対話する関係の世界にいざなっていくことができるのは、その子どもが別の集団に行って練習できるなら別ですが、わたしはまずは親とのやりとりであると思っています。

 

 

 

 

いずれにせよ、体験学習がそこには不可欠であり、そのためにはまず、親が自分のしているコミュニケーションのパターンをよくよく考えてみることが必要でしょう。



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