10年ひきこもっている30歳の息子
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10年ひきこもっている30歳の息子

2016年03月03日(木)3:25 PM

あるとき、10年間ひきこもりを続け、30歳に手が届くような年齢になった息子を心配したお父さんが関東自立就労支援センターを訪ねてきました。

 

 

 

 

その青年はこの10年の間、夜にコンビ二エンス・ストアに雑誌や食べ物を買いに行く以外、ほとんど外出することはないようだとのことです。

 

 

 

 

両親が共働きのために、昼間、彼が何をしているのかよくわからないということですが、夜中に起きていることから考えると、たぶん昼すぎまでは寝ているのでしょう。

 

 

 

 

親が作ったものや買い置きしておいたものには手をつけません。食事はコンビ二で買って食べている様子です。

 

 

 

 

部屋にはもう何年も入ったことがないので、どうなっているのかまったくわかりません。

 

 

 

 

掃除も洗濯もどうやっているのかわかりません。でも、そんなに異臭が漂ってくるわけではないので、何とかやっているのだろうと思う・・・・と。

 

 

 

 

いったい自分たち親が彼の声を聞かなくなって、何年になるのだろう?ひきこもりはじめて1、2年たったころ、「いったいお前は何を考えているんだ!」「いつまでそんなことをやっているんだ!」

 

 

 

 

と思い余って彼の部屋の戸をあけて怒鳴ったとき、おびえるような、すさまじい射るような目で父親を見、うおーっと叫び声をあげて壁を思い切り叩き、穴を開けた息子・・・・その異様な様子に、あわてて戸を閉めた父親・・・・。

 

 

 

 

その事件をきっかけとして、彼は親や他の兄弟など、家族が家のなかにいるときは、部屋から出てこなくなったのでした。

 

 

 

 

戸を外側から開けられないように、内側につっかえ棒をするようになったのも、このころからです。

 

 

 

 

だからもう7、8年、誰も彼の声を聞いていません。そのときの彼の顔の凄絶さに圧倒されて、父親も母親も彼に関わらなくなりました。

 

 

 

 

いや、正確に言うと、そのとき父親は、「こいつはおかしくなってしまった、もうだめだ」と思ったということでした。

 

 

 

 

いっぽう、母親のほうは、ひとりで何箇所か相談機関を訪ねたりしました。あるところでは「もう少し本人の好きにさせて様子を見たほうが良い」と言われ、あるところでは「本人が来ないとわからない」と言われ、「親の育て方のせいでしょう」といわれたこともあり・・・・それぞれ何回か通ったのだけれども、すぐにどうにかなるものでもなさそうで、先が見えてこない、そのうちどこも自然消滅してしまいました。

 

 

 

 

お金も最初ののうちは本人に渡さないでいたということでしたが、家の食べ物に手をつけないということを、そのとき相談していたカウンセラーに言ったところ、「いくらか定期的に渡したほうが良い」との助言を受け、母親が毎月おこづかいというかたちでダイニング・テーブルの上に置き、それを彼が使うというようになったとのことでした。

 

 

 

 

そうして気づいたら長い年月が経ち、いまや彼は30歳を迎えようとしています。当時若かった自分(父親)も今では退職まであと何年もありません。

 

 

 

 

いつまでも親が養ってやれるわけではないし、自分たちが死んだあとはどうなるのだろう・・・きょうだいに面倒を頼むわけにはいかないし、彼らの結婚にも支障がでてくるかもしれません。

 

 

 

 

そう考え、ことの深刻さに愕然となり、このままいつか解決する、というものでもなさそうだと気づき、はじめて相談機関を訪れたのでした。

 

 

 

 

このとき父親は、「まさか、こんなに長い間ひきこもるなんて、当時考えてもいませんでした。

 

 

 

 

いつか、そのうちなんとかなるだろう、と思っていたのです。あの子をもうだめだ、と思ったのも、そうでも思わなければ仕事に行く気力がわいてこなかったからなのです。

 

 

 

 

いってみれば、自分のあの子への期待を断ち切るために、そう思うことにしたのです。

 

 

 

 

あの子は小さいころから利発な子で、勉強もよくできました。よく気のつく子で・・・ただ、線の細いのがちょっと気になっていましたが。

 

 

 

 

でも、気づいたらこんなに時間がたってしまっていました。頭のどこかでは気にしながらも、そのうち、・・・・・と考えることで逃げていたのです。」と苦しそうに語っていました。



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団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援