ひきこもりは日本だけか
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ひきこもりは日本だけか

2015年08月07日(金)6:14 PM

 

 

 

 

よく、ひきこもりは日本に特有の問題であると誤解されています。

 

 

 

 

しかし、ひきこもりが多いのは日本ばかりではありません。実は韓国や中国でも急増中だといわれています。

 

 

 

 

ちなみに韓国語では「ウェットリ(ひとりぼっち)」と呼ぶそうです。

 

 

 

 

日本と韓国に共通するのは、まずなによりも「急速に近代化された儒教文化圏」ということです。

 

 

 

 

ただし儒教文化圏といっても、かなる形骸化した儒教文化です。儒教というものの規範として、大事なものは親孝行、忠と孝です。そして、忠と孝をどっちかとれといったら孝をとるのが儒教文化圏です。

 

 

 

 

親に対して尽くすこと、親の面倒を見ること、これが最高の美徳とされる価値判断が以外に残っていて、その名残が、子どもが成人後も親と同居し続けることに対する抵抗の無さにつながっていると、わたしは考えています。

 

 

 

 

逆にいうと、そういう伝統がない社会では、子どもというのはどちらかといえば部外者ですから、成人まで育ったら後は出て行くしかありません。

 

 

 

 

日本や韓国でそうならないのは、子どもは家の中に留まって、大きくなったら親孝行するのが当たり前と考えられているからです。

 

 

 

 

ですから、ある精神分析家は日本においては、自立のもっともまずい形が家出であり、もっとも望ましい形は親孝行であるという名言を残しています。

 

 

 

 

その意味では、子どもが家から出るということは、かなりの緊急事態なのです。

 

 

 

 

「出家」なんていう言葉は、ほとんど世を捨てるような行為を意味するわけですから。

 

 

 

 

ともあれ、家にとどまって親孝行するのがもっとも理想的な成熟形態という価値判断は、いまだに根強いものがあるとわたしには思えます。

 

 

 

親孝行してもらうかどうかは別として、家の中に大人になった子どもが同居していることに対して、別に何の違和感もないという感覚は、日本人にとっては当たり前のものです。

 

 

 

 

そういう感覚があると、いつの間にか子どもが大人になっても、まだかわいいわが子という感覚がなかなか抜けきらないので、「うちの子は」みたいな言い方をついしてしまいます。

 

 

 

 

そういう文化圏がないところからみると、異様なほどの親子の密着関係にみえても不思議ではありません。

 

 

 

 

これは近代的なインフラの上に、あえていえば前近代的な人間関係が温存されているという図式なわけで、この点も韓国と日本に共通しています。

 

 

 

 

こういう言い方をすると、わたしは日本の家族関係を非難しているようにとらわれるかもしれません。

 

 

 

 

しかしわたしは、これらは功罪相半ばするか、むしろ功のほうが大きかった部分もあると考えています。

 

 

 

 

親子同居、大人になった子どもが家にいることを容認する家族が多いということは、何を意味するのでしょうか。

 

 

 

 

ひとつは、そういう関係の中で適応に失敗すると、不登校やひきこもりがおこりやすいということです。

 

 

 

 

でも、これは当たり前です。しかし見方を変えると、これは適応に失敗した若者にも居場所があるということでもあります。

 

 

 

 

若者はドロップアウトしても、家族が暖かく支えてくれるという言い方もできるわけです。

 

 

 

 

こういう支えは欧米ではほとんど期待できません。(イタリアなどは多少あるようですが)。

 

 

 

 

一般に欧米では成人した子は家から出されてしまうため、しばしば若いホームレスと呼ばれる存在になりやすいのです。

 

 

 

 

20代からもう家のない状態で、薬物中毒になったりとか、犯罪に走ったりとか、一部はそういうホームレスの生活に入っていくわけです。

 

 

 

 

日本はまだ、若いホームレスの数はそれほど多くありません。理由のひとつは、適応できないと家にひきこもってしまうからです。

 

 

 

 

そういう家の存在はメリットかデメリットかといえば、わたしは明らかにメリットのほうが大きいと思います。

 

 

 

 

家の外にだされて、就労などの社会適応に失敗した若者は、部分的には犯罪や薬物依存といった反社会的行動に走る可能性が高くなります。

 

 

 

 

中高年のホームレスにはそこまでのエネルギーはありませんが、若いホームレスや若いドロップアウト組というのは、自分を追い出した社会に攻撃性を向けてくる可能性があります。

 

 

 

 

それゆえ社会防衛的な視点に立つと、ドロップアウトした若者を過程で支えてくれる社会というのはそう悪くありません。

 

 

 

 

それぞれの家庭が支えてくれますから、社会的コストもたいしてかかりません。

 

 

 

 

政府が若者の反社会的行動対策に当てる予算を節約できるという意味ではメリットもある、ということです。

 

 

 

 

これは皮肉でもなんでもなく、わたしは本気でそう考えています。

 

 

 

 

ただ、この伝統も、これからだんだん廃れていく可能性が高いでしょう。

 

 

 

 

今、40歳くらいの、ちょうど30年前に思春期だった子どもたちが大人になって、その次の世代が成熟し始めます。

 

 

 

 

このあたりから、成人した子どもを親が支える伝統は、どんどん希薄化していくと思います。

 

 

 

 

ひとつの理由は、現在40歳代の親たちは、かつての親たちと違い、かなり自己中心的に振る舞う傾向があるためです。

 

 

 

 

もはや、何があっても自分の生活を犠牲にしてわが子を支えるという時代ではなくなりつつあります。

 

 

 

 

親の世代交代が進めば、若者たちもまた、新しい問題を抱えることになるのかもしれません。



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