引きこもり・ニートと仲間
20世紀において人生の中心的位置を占めたのが仕事であるなら、21世紀を生きる人々のよりどころになるのは何でしょうか・・・。
これは言い換えるなら、お子さんたちが幸せになるにはどうしたらいいかという問いです。
わたしたちが長年にわたり若者たちの自立支援に取り組むなかで見出した答えは、「仲間」「仕事」「役立ち」の3つの世界でした。
ぜひ、親御さんもこの3つの世界でお子さんの幸せ支援を考えて欲しいと思っています。
第一の仲間は、孤立せずに自立するために必要不可欠な存在です。
家にこもっている間は、自立とは誰からの助けもなしに生きていくことと考えがちですが、関東自立就労支援センターの寮で共同生活を送る若者たちは、仲間とつながることを自然と身に着けていきます。
関東自立就労支援センターに来る若者たちは、適度な距離感のある、ゆるいネットワークを自然と築き、やわらかく機能させています。
そうやって少しずつ仲間とつながる力を養っていくのです。
親御さんは仲間というと肩を組み、「ともに成功を目指そう」と雄たけびを上げるイメージを持つかもしれませんが、21世紀における仲間はそうではありません。
縛りの強い、強制力のあるようなつながりではありません。
メンバーがしっかりと決まっているわけでもなく、それぞれが常に結びついた状態が固定しているのでもないネットワークです。
それはまるで必要なときだけシナプスで情報を伝達する細胞同士のようなイメージです。
普段は点と点で存在していて、必要に応じて情報が流れると、線として、そして面として目に見えるネットワークの形が浮かび上がるのです。
次の「働き」とは、いうまでもなく仕事に就くことですが、わたしは日頃から次のような呼びかけをしています。
「最初は嫌ではない仕事をして、食いぶちくらいを稼ぎなさい」こういう言い方をすることで、仕事を何より優先する20世紀の価値観から離れ、仕事そのものの必然性を下げることができます。
仕事中心の人生を前提とした「働け」という脅迫からの解放です。
「一番嫌ではない仕事」とハードルを下げることで、就労率は格段に上がりました。
厚労省の「基金訓練」などの就労支援の合宿型プログラムで、関東自立就労支援センターはこの3年間で約150人の若者たちを卒業させています。
訓練終了後の就労率は9割を越えました。
「単に食いぶちを稼ぐため」と割り切ると、無理せずに働けるアルバイト先を選びやすくなり、働きやすくなったようです。
もちろん、この就労率の高さは、どんな仕事に就くかという提案の仕方のみによるものではありません。
「仲間」とのゆるいつながり、そして3つ目の「役立ち」とも密にかかわっています。
3つめの「役立ち」とは、ずばり人の役に立つことです。家から出ないわが子のことで悩んでいる親御さんには意外におもわれるかもしれませんが、21世紀を生きる若者の間では「人の役に立ちたい」という願望が強く認められます。
「自分のこともままならないのに・・・・」とあきれるかもしれませんが、事実そうなのです。
内閣府が行った2008年の「国民性調査」でも、「自分のために生きるよりも、他人に役立つ人生を送りたい」と答えた率は、20代で43%、30代で52%にものぼっていました。
半分くらいの若者は、他人を押しのけても勝者になる生き方ではなく、他者に貢献する生き方を望んでいるのです。
2011年の東日本大震災のあと、、関東自立就労支援センターの若者たちは、自主的にボランテイア活動を始めました。
団塊の世代のようにがむしゃらにがんばって、かき乱したりしない、まるでマイナスイオンのような働きなのでしょうか、被災地の人々の評判はわるくありませんでした。
震災ボランテイアを経験した関東自立就労支援センターの若者たちは、そこである種の充足感を得ました。
彼らは仕事で自己実現をする必要はない、働くことで社会や他者に貢献しなくてもよいと学び取ったのです。
すると、アルバイトの面接でも妙に緊張したり、力んだりすることが格段に減少しました。
ボランテイア体験の話などをおりまぜて、落ち着いて自己紹介ができるようになり、合格率が跳ね上がったのです。
一方では、「働き」と「役立ち」を直結させる人もいます。
「8割りは生活のために働いていますが、2割は社会の役に立っているという意識があります。この2割の実感がないと、残りの8割を支えられません」
そんなふうに表現して、デイ・サービス施設で元気に働いている関東自立就労支援センターの卒業生もいます。
社会への役立ちが感じられない仕事では、働く意味が見出せないというのです。
この「仲間、働き、役立ち」で幸せな人生を支援するアプローチは、確実に実を結んでいます。
3つが折り合いながら、相乗効果を生んでいます。
わたしは、「仲間」に結婚も含めています。結婚は、他者と「役立ち」合う場でもあり、「働き」を支える場にもなるからです。
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