パラダイム・シフトが生む引きこもり
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パラダイム・シフトが生む引きこもり

2020年10月18日(日)8:30 PM

 

 

 

最近行われたある調査によりますと、およそ65%の人々が今の社会の変化についていけないと感じ、60%の人々がストレスを感じているという調査結果が報告されました。

 

 

どのような場所でもっともストレスを感じるかという質問には、「職場や学校にいる時(51%)」が最高で、以下「家にいる時(32%)」「人混みの中にいる時(24%)」「電車やバスなどに乗っている時(13%)」という結果であったということです。

 

 

また、「自分が普段、心にゆとりを持って生活していると思うか」という質問には、「そう思う」(「どちらかといえば」を含む)と答えた人たちが54%にとどまり、「そうは思わない」「(どちらかといえば」を含め46%)と答えた人たちをわずかしか上回りませんでした。

 

 

変革の時代と言われて久しい現代、既存のパラダイム(枠組み)はどんどん崩されて、新しいパラダイムが次々と構築されています。これが「パラダイム・シフト」と呼ばれているものです。

 

 

IT(情報技術)革命を代表する高度情報化がますます進んでいくのに伴って、私たちの生活のテンポは急速に早くなっていきました。仕事や生活場面の至る所でスピードが要求される現代において、この急激な変化についていくことに、苦痛を感じている人たちも増加しているようです。

 

 

もちろん、利便性を追求することによって発達した情報化社会にも美点はあります。インターネットなどの通信網が発達したことによって、自宅にいながら世界中の情報機関に自由にアクセスでき、人と直接会わなくとも商品などを自由に受け渡しできるようになりました。

 

 

また、在宅でビジネスを始めたり通信教育を受けるなど、自分の好きな時間に好きなスタイルでさまざまな活動を楽しむことができるようにもなりました。

 

 

しかし、そのようなライフスタイルの変化によって、人と人との交流のかたちにも変化が起こってきています。人と面と向かってコミュニケーションをとるような対人場面は明らかに減少しましたが、それに入れ替わるように、電子メールでのやりとりやチャットなど、パソコンや携帯電話の画面を使った文字によるコミュニケーションが頻繁に行われるようになりました。

 

 

テクノストレスという言葉があるように、コンピュータ・テクノロジーの飛躍的な進歩にうまく適応できない人たちが、心身の不調を訴えるという現象はしばしば見受けられるようになり、また一方では、過度にコンピュータにのめり込んでしまい、人とのコミュニケーションに支障をきたすようになってしまうという現象も指摘されています。

 

 

「変革には苦痛が伴う」という誰かのセリフではありませんが、現代人は激動の時代の中でまさに産みの苦しみとも言えるさまざまなストレスを被っているのです。

 

 

カナダのストレス研究所所長であるR・アールは、私たちの予測を超える大きな時代の変化を「ハイパーチェンジ」(超変化)と呼び、天災や事故などと同様のストレスを私たちにもたらし、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の原因にもなりうると警告しています。

 

 

ストレスは食物と並ぶ、人間の根源的なエネルギー源である。適度な変化は私たちの気分を引き立てやる気を起こさせるが、予測もつかないような大きな変化が突然身近に迫ると、それはショックになる。「ハイパーチェンジ」は、現在天災や事故などと同様に、PTSDの原因になってきている。これがフューチャーショック・トラウマだ。(サイエンティフィックライブ・サピエンス第十回講演録)

 

 

アールは、このフューチャーショック・トラウマの症状として、疲労や心労、うつ状態、感情障害などの問題をあげています。

 

 

アールのこのコメントは、現代社会のストレスレベルは、私たちに不可逆的な障害を残すほどまでに深刻なものになっているということでしょう。

 

 

そのような時代性からでしょうか、WHO(世界保健機関)の発表によれば、東アジアを含む西太平洋諸国(東アジア、オセアニア、太平洋諸島の三十七ヵ国)において自殺率が急激に上昇し、深刻な問題になっているということです。

 

 

これらの地域では、一日の自殺件数が一千件を超えてしまっているそうです。WHOの見解では、その原因は「社会の急激な変化によるストレス」であり、具体的には、従来から指摘されている受験戦争によるストレスや、世界的な経済の停滞、失業によるストレスが当てはまるということです。

 

 

社会経済の目まぐるしい変化や核家族化による家族間の絆の希薄化といった傾向は、今後も続くとみられることから、WHOでは自殺率は将来的にさらに上昇するだろうと予測しています。

 

 

よく言われることですが、私たちが生きていく上である程度のストレスは必要なものです。しかし、私たちの許容範囲を超えたストレスは、心身両面に多大な悪影響を及ぼします。社会全体に起きているパラダイム・シフト、人と人とのコミュニケーションスタイルにも変革が起こっていること、これらの変化が私たちに多大なストレスを与えているものと考えられ、継続的に与えられるストレスは心理面、身体面共に、私たちに悪影響を及ぼしてしまいます。

 

 

疲労や心労はもちろんですが、自律神経失調症や不安神経症や抑うつ神経症、退却神経症、うつ病といった精神疾患(これらの精神疾患は引きこもりの原因になりうる)に陥りかねません。

 

 

また、頭痛や胃潰瘍、喘息などのいわゆる心身症などにもストレスが大きく関与しています。引きこもりの増加の背景には、近年の著しい社会変化によって引き起こされたさまざまなストレスの存在が見られることは間違いないでしょう。



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