引きこもりの解決とは何か?
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引きこもりの解決とは何か?

2020年10月17日(土)3:22 PM

 

 

 

ここでは、引きこもりの解決とは何かということを一緒に考えてみたいと思います。多くの識者は、引きこもりの人が社会参加し、就労すれば世間一般から自立した人として賞賛されると考えています。

 

 

本当に引きこもりの解決とはそういうことなのでしょうか?そして、引きこもりの人たちが高年齢化する傾向のなかで、支援の解決をこれからどのように考えていけばいいのでしょうか。

 

 

引きこもりの克服であるとか、引きこもりからの脱出という表現は、引きこもり本人からすれば何かしらの違和感があるようです。人と関係性をもって働きさえすれば、すべて引きこもりは完全に解決するのか、という長年の問いに対して整理がつき始めたのは近年のことです。

 

 

長年引きこもりだった若者たちが、社会に出て就労の場に参加していくケースが少しずつではありますが兆しとして見え始めてきた時、引きこもりの経験者であるAさんから次のようなことを聞かされたのがその発端です。

 

 

「私は今でも引きこもりです。外出もできるようになり、仕事にも就いています。しかし私の心のなかには、今でも引きこもり感情がどこかにあって、エレベーターに乗る時でも今でも一人だけ乗ってボタンを押して行きたいという気持ちになります。この人見知りをする性格は、一生涯変えられないと思います」とAさんは言いました。

 

 

さらに続けてAさんは次のように述べました。「たとえ引きこもりの人が社会に出て就労したとしても、自分に納得がいかないとすぐに離職してしまうでしょう。それでは結局は自立したことにはならず、挫折感だけが残るのではないでしょうか」と。

 

 

これは、見せかけの自立では本当の自立とはならないことを意味しています。また引きこもり感情はどの人間にもある心の動きであり、誰でも辛くなると引きこもりたいと思いたくなります。その感情を変えるというよりは、どこまで自分は自分で良いということをあるがままに受け入れられるようになるかなのです。

 

 

そしてさらに続けて引きこもりの経験者であるAさんは、次のように語りました。「でも、引きこもり感情が今でも私の中にあっても、こうして働き続けることができるのは、私が仕事などで辛いことがあっても総体的に楽しいという感覚がどこかにあるからです」と。

 

 

4割が辛いことがあっても、6割は楽しいと思えるかどうかであるといいます。そうした6割の自立でよし、とする感覚がもてるかどうかなのです。引きこもりの経験者であるAさんは、仕事の合間を縫って今でも引きこもりの当事者会の活動に参画し続けています。

 

 

別の引きこもりの経験者達も語っていましたが、こうした引きこもり支援は引きこもりの人だけでなく、過去に経験をして今働いている人達にも必要であるということです。むしろ仕事が軌道に乗るまでの道のりには幾多の試練がありますから、支援としての役割は仕事をしていない時以上に必要であることは以前にもこのブログで説明しました。

 

 

ですが、真面目な引きこもりの人が6割の自立で妥協できるようになるには、それ相応の時間と経験が必要でしょう。また、総体的に6割の楽しさをこの競争社会の中でどのように作り出せるかは難しい課題が残ります。

 

 

そしてこのAさんから先ごろ次のようなメールを受け取りました。「今の仕事は土日も関係なく、休日出勤や超過出勤が多い職場です。労働者の権利として、あらかじめ予定があれば、希望を出して休むことはできます。

 

 

ただ、私の今の状態では人と会って楽しく話しをしたり、人前で何かを語る状況ではありません。私が引きこもりになったのは1990年代のことです。引きこもりから進学して就職しましたが、30年後に迎えた新たな苦しみです。この苦しみの経験を含めて、また人前で話せる日が来ることができればと思っています」

 

 

私たちは、就職してから十数年を経過したAさんのことを引きこもりから回復した立派な社会人の引きこもり経験者として見て、それに続く引きこもりの人の何か手本と捉えてきたところがあったかもしれません。

 

 

しかし、Aさんのなかには、新たな苦しみをもって働いていることを気づかされます。Aさんのなかではまだ引きこもりは終わっていないのかもしれません。また、Aさんは次のようなことを私たちに語ってくれたことを思い出します。

 

 

「今後、引きこもりの当事者会を自分でもし立ち上げることがあるとしたら、おそらく引きこもりに特化したものにしないでしょう。働いている人達も悩みを出せる場を作るかもしれません」

 

 

まさしく、これまで引きこもりを支援することを目的にしてブログで書き進めてきたわけですが、最終的な到達点は今日の状況は引きこもりも今労働している若者も同じ悩みに立たされているという共通項なのです。

 

 

改めて今日の若者たちが置かれている状況と、働き方を含めた生き方が問われていると言えるでしょう。そうした苦悩のなかにあっても一つの希望の兆しを見つけるために私達支援者が引きこもりの人たちの拠り所として地道に活動していると言えます。

 

 

それは、競争社会がこうした現状である以上、それに対抗し得る支援活動を避けて通ることは、この先後々後悔するのではないかと思っているからです。その意味で私たちは、未来に悔いを残さないために活動をし続けていると言えます。

 

 

これまでの引きこもりの人たち一人ひとりの歩みを振り返るならば、多くの引きこもりの人は人生の歩みで苦労をしてきていると感じます。その苦労とは、みんなと同じように進まない自己であり、他者よりも劣っていると思う自己、そして不安が幾重にも重なって方向性が定まらない自己など、その苦労が絶えません。

 

 

しかし、近年引きこもりの経験者がこうした生きにくさや苦労を分かち合い、ともに活動する実践として自ら社会的に起業していく姿も多く見られるようになったことは一つの希望です。

 

 

周囲の評価にとらわれずに、新しい価値に基づく生き方を模索する引きこもりの人が登場し始めていることに注目していく必要があります。どんな生き方であれ、社会参加する楽しさを経験したい引きこもりの人を私たちは応援し、自己達成感や自己充実感を味わえるような生き方が求められなくてはなりません。

 

 

引きこもりの解決とは、社会側からすれば、確かに就労自立でしょう。しかし、引きこもりの当事者側からすれば、それは多少とも異なるという視点をもちます。

 

 

引きこもり支援を早急に解決しようとすると、親子は悪循環の渦の中に入り込むことはよくあることです。引きこもりの人は、どこかで現状を打開したい、みんなと同じようになりたいという思いがあります。

 

 

しかし、長年の引きこもり経験からの挫折や心の傷によってすっかり自信を喪失しています。自己達成感や自己充実感を育み、失われた自信をどのように回復していくのか、そこには、人間がもつ引きこもり感情を全否定するのではなく、またそれを捨て去ることが解決ではありません。

 

 

自立とは揺れ動くプロセスととらえ、引きこもり感情がたとえあったとしても、引きこもりの人が主体的にこれまでの経験を生かし、それを宝として育つことを認めていくことに他なりません。

 

 

そうした揺れ動きのある引きこもりの人の苦労を分かち合い、ともに活き希望を見出す引きこもり支援が今、問われているといえるでしょう。



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