ひきこもりの家庭内暴力への対処法
ホーム > ひきこもりの家庭内暴力への対処法

ひきこもりの家庭内暴力への対処法

2020年10月09日(金)3:43 AM

 

 

 

ひきこもりの人の主要な問題行動の中で、もっとも頻繁に見受けられるのが、家庭内暴力です。厚生労働省が発表した全国調査によると、五人に一人の割合で家族への暴力が見られたようです。

 

 

家庭内暴力は、ひきこもりとしての病理というよりも、親子関係の病理といえ、その原因については二つほど考えられます。一つは、親子間での双方向的なコミュニケーションがないために、子供側に葛藤が生まれ、それが激しい怒りにまで上りつめてしまう場合です。

 

 

家庭内暴力の矛先はほとんどの場合母親に向けられますが、これは「母親にだけは自分の気持ちをわかってもらいたいのに、わかってもらえない」という甘えの気持ちからです。ひきこもり状態にある人は、基本的に人として未成熟である場合が多く、家庭内暴力を振るうということは、特に母親に依存する気持ちが強く、人として自立できていない状態であると言えます。

 

 

もう一つは、自分自身に対する怒りの矛先を親に向けてしまう場合です。「自分はいったい毎日何をしているんだろう」「働くこともできない自分はダメな人間だ」といった自分を不甲斐なく思う怒りの矛先が、自分よりも体力的に弱い存在である母親に向けられてしまうわけです。

 

 

「こんな人間に育てたのはお前のせいだ!」という親の養育方法への不満を理由に暴力や暴言を吐くひきこもりの人はとても多く、このような彼らの訴えを親が否定したり聞き入れなかった場合には、さらに暴力がエスカレートしてしまうというコミュニケーションパターンが見られます。

 

 

それでは、家庭内暴力への対処法ですが、私が扱った事例の中に興味深いものが二つありますので、まずそれらをご紹介しましょう。一つ目のケースでは、父親が息子の暴力に対して徹底的に立ち向かった事例です。結局、最終的には息子が腕の骨を折り、入院するという結末が待っていました。

 

 

息子いわく「あの時にはもう暴力はやめようと思った」ということでしたが、父親の一貫した態度が暴力の歯止めになったというまれな事例です。二つ目のケースでは、これとはまったく逆に、カウンセラーのアドバイスによって何でも好きなようにやらせてあげるというものでした。

 

 

私がひきこもりの人の自宅を実際に訪問した時は、家の壁という壁には、ひきこもりの子供による殴る蹴るで作られた穴が無数に空いていました。あまりの暴力の酷さに、家族は別に家を借りていました。このひきこもりの当事者は、たまに会う家族に対して敬語を使うように強制し、親は「はい」「いいえ」などと従っていました。

 

 

結果的に、ひきこもりの本人は、「もうやりたいことはすべてやりつくして退屈で仕方がない」という心境に至り、暴力もなおって家族と同居できるようになりました。この事例は優れたカウンセラーのもとで、両親がひたすら耐え、本人がすべてのわだかまりを出し尽くしたことによって、良い結果に結びついた事例であると言えるでしょう。

 

 

以上の例は、表面的には両極端に見えるかもしれません。前者の場合は、まず問題行動の禁止を約束し、守らなければ徹底的に立ち向かう態度を崩しませんでした。後者の場合は、本人の心の溝が埋まるまで、自由に行動させてとことん付き合いました。

 

 

しかし、ともに最終的には親と子供の双方向的なコミュニケーションの実現を目指しているわけで、根本は共通していると考えられます。家庭内暴力をひきこもりの人にやめさせるための基本的な対処法としては、まず相手の言い分をしっかりと聞いてあげることです。

 

 

その上で、暴力などの問題行動をやめてもらうという約束を交わします。そして、その約束を守らなかった場合は、親は安全な場所へ避難してひきこもり、本人と物理的に距離を置くという対応をしていかなければならないでしょう。

 

 

問題がエスカレートする前に、第三者にサポートを求めるということも重要ですが、「もしも約束を破ったら、他者にサポートを求める」ということを、事前に本人に知らせておくことが大切であると考えます。

 

 

というのも、ひきこもり本人は、自分が親に暴力を振るっていることを他人に知られること、他人に自分達の問題に関わられることを非常に嫌います。彼らは自分が日々行なっていることが世間一般的な倫理観に反しているということを十分承知しているのです。

 

 

それゆえに、第三者に介入され、自分の失敗を知られることは恥ずかしいことであり、親が他人に話したことを知れば一時的に暴力が悪化することも考えられます。

 

 

ひきこもり本人と親がまったく話し合うこともなく、何の前触れもなく親独断の要請で医療・保健機関や警察などが介入してくれば、当然のことながら当人は、「親に捨てられた」「親に裏切られた」と、心理的なショックを受けるはずです。

 

 

場合によっては、その後の親子関係が修復不可能なまでに悪化してしまうことも考えられます。そのためにも、事前にお互いを理解するために話し合い、「お前が約束を破ったから、親としては第三者にサポートを求めるしかなかった」ということを強調する必要がありますし、そして、「親は子供の従属物ではないこと」「親にも自分自身の人生を生きる権利があること」を本人に伝えることが重要です。

 

 

 



メニュー

過去の記事

団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援