ひきこもりとさまざまな精神疾患
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ひきこもりとさまざまな精神疾患

2020年10月04日(日)6:17 AM

 

 

 

人はなぜひきこもりになってしまうのでしょうか?一口にひきこもりといってもその中には、パーソナリティ障害や神経症、PTSDなどさまざまなタイプの精神疾患が混在しています(ひきこもりの人が全員、精神疾患なわけではありません)。

 

 

一見すると、それぞれは異なるタイプの精神疾患であり、その発症の要因もまちまちであると思われるかもしれませんが、ここで一つ注目すべき事実があります。

 

 

その事実とは、多くのひきこもりの人に共通する心の病があるということです。中でもパーソナリティ障害や神経症などの精神疾患は、それがひきこもりの人の人格部分に深く絡んで起こる病気であると考えられており、「病的なナルシシズム」といわれています。

 

 

多くのひきこもりの人々に共通する特徴として、「万能感」「誇大感」といったものが挙げられます。これらは傍から見てわかるほど、ひきこもり本人の言動に現れる場合もあれば、表面的に全く現れていなくても、本人の心の中に隠されて育まれている場合もあります。

 

 

この万能感や誇大感こそ、病的なナルシシズムの産物です。万能感や誇大感は、ある程度までは誰にでも認められる感覚です。しかし、それが病的なレベルに達してしまうと、「自分だけが偉い」「誰もが自分を崇拝すべきである」「自分はみんなの賞賛を受けるべき存在である」といった現実離れした誇大妄想を抱くようになってしまいます。

 

 

一般的な語法では、ナルシシストとは自分以外の人間にはまったく関心がなく、愛情が自分にだけ向かっている人のことを言います。

 

 

自己中心的で、世界は自分を中心に回っていると思い込んでいるような人たちです。もともと人間は、誰もがある程度はナルシシストなのです。

 

 

誰でも自分のことが一番可愛いですし、自分に一番関心が向かってしまうのは当たり前です。しかし、だからといって「自分がこの世で一番偉い」とか「誰もが自分を尊敬するべきだ」とか「自分はこの世で特別な存在である」などとは通常思いません。

 

 

この違いこそ、健常者と病的なナルシストを分ける分水嶺になります。病的なナルシシストたちは、あまりにも誇大的で万能的な自己イメージを作ってしまいます。

 

 

そのため、時として尊大で横柄な態度をとったりします。しかし、現実には、思考の中の自己イメージと実際の自分自身とはまったく違います。

 

 

周りの人達は彼らのことを「この世で一番偉い」とか「誰もが尊敬すべき人だ」とは思っていないのです。つまり、現実の彼ら自身と思考の中の自己イメージには大きなギャップがあるわけで、彼らがまたときとして、非常に意気消沈し、抑うつ状態になり、自信を喪失してしまうのは、理想と現実の狭間にとらわれて苦悩しているからです。

 

 

自己愛性パーソナリティ障害のある男性は、病的なナルシシズムを持っているために、ある時は尊大な態度をとったり、有名人と自分を同一視していましたが、その一方で、この誇大した自己イメージと本来の自分が一致していないと感じるときに、自信を喪失して抑うつ状態に陥っていました。

 

 

誇大した自己イメージを持った彼らが、尊大な態度で対人場面に臨めば、相手は彼のことを疎ましく感じ、良好な関係を構築することが難しくなるのは当然です。

 

 

そのうち相手は、彼に振る舞いの修正を迫るか、離れていってしまうでしょう。そうして、彼は徐々に人との関係を失っていって孤立してしまいます。

 

 

逆に、誇大した自己イメージを持ちながらも、自信を喪失した状態で対人場面に臨んだ場合、他人の評価に敏感で傷つきやすい彼らは、自己イメージに傷がつかないように外界とのあいだにバリアを張り巡らせるか、または対人関係から撤退してひきこもることを選択するでしょう。

 

 

回避性パーソナリティ障害の人や、対人恐怖の人が人間関係を避けるようになるのは、まさにこの理由によるものです。彼らの誇大された自己イメージは、対人場面においてもっと賞賛され、尊敬され、友好的で、誰にでも愛されるように振る舞う完璧な人物であるようにと要求してきます。

 

 

このような非現実的な要求は当然かなえられようがありません。そして、この高すぎる自己イメージによる要求のために彼らは苦しめられるのです。

 

 

病的なナルシスト達が妄想の世界を好むようになるのは、自分が誰からも称賛されずに認められない現実世界からの逃避といえます。

 

 

しかし、厳しい現実から逃避して自分を慰めるためには、さらに大きな誇大妄想が必要になります。そうなれば現実はますます受け入れがたいものになっていきます。

 

 

こうして彼らはジレンマに陥り、身動きが取れなくなってしまうのです。人は、周囲の人たちに受け入れられないという状況が続くと、自らその感情を凍らせてしまいます。

 

 

このように、病的なナルシシズムは、誇大感や自信喪失といった自己評価の揺らぎや、それに伴う対象への評価の揺らぎ、また抑うつ感や感情の喪失などさまざまな病理を生み出し、ひいては対人場面からのひきこもりをもたらす元凶なのです。

 

 

 



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