ストレスとひきこもりの関係
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ストレスとひきこもりの関係

2020年09月26日(土)2:42 AM

 

 

 

そもそもストレスとはいったいどのようなものなのでしょうか?ここでストレスという概念について少し見て行くことにしましょう。生体に与えられるさまざまな有害刺激によって引き起こされた、生理的・心理的なひずみのことをストレス反応といい、このストレス反応を引き起こす外部からの刺激をストレッサーといいます。

 

 

ストレスとは、ストレス反応とストレッサーの両方を包括した概念ですが、便宜上その両方のどちらをも指す意味で使われています。私たちにとってストレスになるもの(ストレッサー)には大きく分けて、人生に何度も遭遇しないような、配偶者の死や離婚、失業といった「ライフ・イベント」と日常生活のなかで経験される些細なストレス、「デイリー・ストレス」の二つがあります。

 

 

愛する人の死などの重大な出来事が、私たちに大きなストレスを与えることはあきらかです。アメリカの精神科医であるT・HホームズとR・H・レイは、生活上の重大な出来事(ストレスフル・ライフ・イベント)によって私たちの生活様式が変化し、新たな環境に再適応するまでの労力が心身に悪影響を及ぼすという考えから、「社会的再適応定評定尺度」を作成して、個人のストレスレベルを測定しようとしました。

 

 

それぞれのライフ・イベントには重大さに応じて数値(LCU=Life Change Units  Value)がつけられ、過去1年間のLCUの合計が一定の基準を超えると、心身に何らかの疾患が現れる可能性が高まることが報告されています。

 

 

愛情や依存の対象を、その死や別離によって失うなどの、「対象喪失」のライフ・イベントは、もっとも重大なストレスを作り出すものと位置づけられています。

 

 

対象喪失とは、簡単に言えば愛する対象を失うことを意味しますが、その対象の種類によって大きく三つに分けられます。一つ目は、近親者の死や恋人との別れといった人物を対象とした喪失の場合です。

 

 

二つ目は、転居や転勤、転校、進学や昇進などで、自分が慣れ親しんでいた環境が失われてしまう場合です。三つ目は、自分自身、つまり自己を失ってしまう体験で、例えば、自分自身を見失ってしまったり(自己喪失)、自己を一体化させていた理想や思想、あるいは国家や宗教といったものを失ってしまう場合です。

 

 

通常、近親者の死や環境の変化などのライフ・イベントは誰もが体験するものですが、人生の中で頻繁に遭遇するようなものではありません。また、それらの対象喪失から回復するためには、その後の人生において代理の対象を獲得するなどの作業によって、心の傷を癒していくことができます。

 

 

しかし、自分自身がいったい何者なのか、自分の人生にはどのような意味があるのか、自分がこの世に存在している意義とはどのようなものなのかなどがわからなくなってしまうような「自己喪失」においては、代理の対象を自分の外部もしくは内部に見出す作業は容易ではありません。

 

 

また、私たちが一番関心を持っている対象が自分自身であるだけに、自己喪失というライフ・イベントは深刻なストレスをもたらし、私たちの心身に重大な悪影響を及ぼすものと考えられます。

 

 

次に、私たちが日々の暮らしの中で経験する些細なストレスである「デイリー・ストレス」についてはどうでしょうか?アメリカの心理学者R・S・ラザルスは、ライフ・イベントのような重大なストレスに対して、デイリー・ストレスであっても長期にわたって繰り返されていくうちに大きなストレスになりうると主張しています。

 

 

そもそも人によってストレスへの耐性には大きな違いが見られます。心理学者のE・N・アーロンはその著書「ささいなことにもすぐに動揺してしまうあなたへ。」(講談社刊)のなかで、「HSP(敏感すぎる人)」という新しい概念を提唱しています。

 

 

アーロンによれば、同じ刺激に対しても、どれくらい神経システムが高ぶるかは個々人によって違いがあり、「ネズミ、ネコ、イヌ、ウマ、サル、そして人類と、どの高等動物にもこの差異が見られる」とし、「どの種についても、刺激に対してより敏感に反応するものの比率はだいたい同じで、全体の15から20%である」ということです。

 

 

敏感すぎる人(=HSP)は、周りの人の気分や感情に大きく左右されやすく、内向的で、慎重かつ良心的であり、直感的、創造的であるとアーロンは語っています。

 

 

これらの素因は、神経症になりやすい人の性格特性とかなり符合するものです。また、精神障害(主に統合失調症)のメカニズムを説明するモデルに「ストレスー脆弱性」モデルというものがあります。

 

 

これは、統合失調症の患者は生物学的に脆弱であり、ストレスに有効に対処できないために症状を発現するのだという理論ですが、HSPがストレスに弱く精神疾患にかかりやすいという概念とかなり近似しているようです。

 

 

HSPのようなストレスに敏感な人たちは、自分の神経を摩耗してしまう対人関係からはひきこもりがちになる傾向があります。彼らは、ストレスに満ちた世の中で生き残っていくことはできないと厭世的に考えてしまいがちです。

 

 

ただでさえ、内向的でコミュニケーション・スキルの低下している彼らが、何らかのライフ・イベントや慢性的なデイリー・ストレスによって深く傷ついてしまったとしたら、回避性パーソナリティ障害や対人恐怖といった神経症や、パーソナリティ障害、心的外傷を負ってひきこもりの世界に入り込んでしまったとしても、なんら不思議はないといえるでしょう。

 

 

現代は過酷な競争社会であり、とかくタフであることが要求される世の中ですが、敏感さが必要な局面も多々あるはずです。アーロンはHSPの特別な資質として、「慎重さ、正確さ、速さ、小さな違いを見つけることなどが必要とされる仕事が得意」「より右脳的であり、論理的、直線的というよりは、創造的、統合的なアプローチをとる」などを挙げ、現に彼らの中には芸術に秀でていたり、独特のセンスや感受性、アイディアを持ったクリエイティブな人々が多いことを指摘しています。



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