ひきこもりの事例~回避性パーソナリティ障害の33歳の女性~
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ひきこもりの事例~回避性パーソナリティ障害の33歳の女性~

2020年09月20日(日)4:53 AM

 

 

 

「回避性パーソナリティ障害」のひきこもりのケーススタディ

 

 

W子さん・33歳・女性のケース

 

 

W子さんは、十年以上も自宅に閉居しているひきこもりの専業主婦です。第三者から見れば、たいへん容姿の整った女性ですが、彼女は自分には何一つ魅力がないという強い思い込みがあり、自分に自信が持てず、常に自己批判的です。

 

 

「自分は他人よりも劣っている」「自分は人付き合いが下手だ」「あの人は私のことを嫌っている」「誰からも嫌われたくない」W子さんは、対人場面においてもいつも声が小さく、申し訳なさそうにうつむいていて、積極的に他人とコミュニケーションを取ることができません。

 

 

そして、そのことで本人も深く悩んでいます。また、回避性パーソナリティ障害の人によく見受けられるように、W子さんも他人が発したちょっとした言葉の中に、自分に対する悪意を見出してしまう傾向があります。

 

 

そのため、普通の人では傷つかないような言葉にも敏感に反応してしまって傷ついてしまうのです。相手に嫌われたくない、自分が傷つけないという意識が強すぎるため、自分から他人との接触を避けるような行動をしてしまい、それによってかえって、相手に不信感を与え、人を遠ざける結果になってしまうことがあるようです。

 

 

さらに、常に不安と緊張を感じているために、一人でいることができずに常に誰かと電話で話していたり、何回もたいして意味のないメールを送信したり、何をするにも他人に依存してしまう傾向があります。

 

 

W子さんもカウンセラーに対して、「友達にコンサートに誘われたのですが、行ったほうがいいでしょうか?」「何か趣味を始めようと思うのですが、何をやったらいいでしょうか?」「ひきこもってばかりいないで、何かスポーツをやりたいと思っていますが、何をやったらいいと思いますか?」などという質問を繰り返していたそうです。

 

 

一般の人ならば、自分一人で決められるようなことでも、いちいち他人から指示や助言をされないと決めることができないのです。そんな彼女も結婚して少し精神的に安定しました。

 

 

いつもそばに自分の精神的な支えになる人がいてくれるようになったからでしょう。ところが、安定していたのも結婚生活の最初のうちだけでした。

 

 

しだいに不安感や緊張感が強まり、ひきこもるようになると、ロープで首吊りやリストカット(手首切り)などの自傷行為や、睡眠薬を多量に服用するなどの自殺未遂を繰り返すようになりました。

 

 

「自分のような人間はいつか見捨てられるのではないか」そんな思いがいつもW子さんの頭から離れず、どうしようもない孤独感や不安感に襲われてしまうのです。

 

 

回避性パーソナリティ障害の人たちに共通する特徴として、DSMーIV(アメリカ精神医学会の作成した診断基準)には次のように書かれています。

 

 

社会的制止、不適切感、および否定的評価に対する過敏性の広範な様式で、成人期早期に始まり、さまざまな状況で明らかになる。以下のうち、四つ(またはそれ以上)で示される。

 

 

①批判、否認、または拒絶に対する恐怖のために、重要な対人接触のある職業的活動を避ける。

 

 

②好かれていると確信できなければ、人と関係を持ちたいと思わない。

 

 

③恥をかかされること、または馬鹿にされることを恐れるあまり、親密な関係の中でも遠慮を示す。

 

 

④社会的な状況では、批判されること、または拒絶されることに心がとらわれている。

 

 

⑤不適切感のために、新しい対人関係の状況で制止が起こる。

 

 

⑥自分は社会的に不適切である、人間として長所がない、または他人よりも劣っていると思っている。

 

 

⑦恥ずかしいことになるかもしれないという理由で、個人的な危険を冒すこと、または何か新しい活動に取りかかることに、異常なほど引っ込み思案である。

 

 

回避性パーソナリティ障害の人も、対人場面において尻込みしがちで非社交的に見えるため、分裂病質パーソナリティ障害にどこか似たような印象を受けるかもしれませんが、基本的に「人嫌い」ではありません。

 

 

それどころか、彼らは人との交流が最大の関心ごとであり、積極的に人と付き合いたいと考えているからこそ、かえって自分の良いところだけを見せようとしたり、他人に否定的な印象を与えてしまわないようにと、あれこれ考えて気後れしてしまうのです。

 

 

W子さんもそうですが、一般的にこのタイプは自己評価が低く、自分に自信を持てないでいます。何らかの劣等感を持っている場合も少なくありません。

 

 

にもかかわらず、理想的な自己イメージをあまりにも高いところに定めています。その理想的な自己と現実の自己のギャップがあまりにも大きすぎるために、対人場面において積極的に自分を出せず、自分で自分の首を絞めているような状態に苦しんでいるのです。

 

 

また、どうしても限定された少ない友人に依存するようになってしまうので、依存性パーソナリティ障害の様式を呈する場合もよくあります。

 

 

 



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