ひきこもりの分類と実態
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ひきこもりの分類と実態

2020年09月18日(金)7:15 PM

 

 

 

最近のマスコミなどにおけるひきこもりの取り上げ方を見ると、報道される内容に明らかな誤りが見受けられることがしばしばあります。それは、すべてのひきこもりを一つの現象としてとらえている点です。

 

 

社会生活に参加せずに、自宅に閉居している人たちすべてをひきこもりとして扱っているということです。しかし、実際に診療所などの相談援助機関を訪れる人たちの診断結果を見てみると、一口にひきこもりと言っても実に多種多様なタイプが混在していることがわかります。

 

 

もちろん、その違いによってひきこもり当事者側の対応も当然変わりますし、問題解決の過程もまったく別のものになります。ひきこもりをその症状から分類してみると、内因性の精神疾患(うつ病や統合失調症など)によるものと、非内因性(心因または外因)によるものに分類することができます。

 

 

「心の病気」のことを精神疾患または精神障害と言いますが、その原因には大別すると、内因、心因、外因の三種類があります。内因とは、病気にかかりやすい資質など、個人の素質的な要因のことを言います。

 

 

統合失調症や躁鬱病などは内因性の精神疾患です。心因とは、環境要因やそれらから来るストレスなどのことを言います。神経症や外傷後ストレス障害(PTSD)などは心因性の精神疾患です。

 

 

外因とは、脳そのものの形態的変化や損傷、脳に作用する物質など、脳機能に影響を与える全身疾患のことを言います。交通事故での頭部外傷による後遺障害などが当てはまります。

 

 

まず、「心の病気」が内因、心因、外因のどの要因から引き起こされているものか、早期の段階で鑑別することが必要となります。今なお治療が困難と言われている統合失調症でさえ、早期であればあるほど完治する可能性が飛躍的に高まります。

 

 

現在増加傾向にあるひきこもりは、心因性の精神疾患が主な原因であると言えるでしょう。つまり、ひきこもりの人たちは、生まれ育つ過程で形成された性格や、環境的な要因や、それらから来るストレスによって引き起こされた、さまざまな心の病気によって、ひきこもりの状態に至っているのです。

 

 

しかし、それに加えて、ひきこもり本人の敏感な性格や几帳面な性格、病気になりやすい資質など、先天的な要因も複雑に絡んでいることが多く、単純に一つのことが原因であると明言することは難しいのです。

 

 

 

内因性精神疾患型のひきこもり

 

 

 

内因性の精神疾患は、先天的な要因が多分に影響しているものです。これらを発症すると、強い抑うつ感や幻覚・妄想に悩まされるようになり、結果的にひきこもりの状態になることがあります。

 

 

極端な例として、一年以上の間入浴もせずに、ずっと自室に閉じこもったまま、寝たきり同然の状態でいたために床ずれが出来てしまい、ほとんど歩けなくなってしまったケースもあります。

 

 

医療機関を訪れるひきこもりの患者や家族からの相談のうち、実に1/3ほどがこの内因性精神疾患型のものです。マスコミで取り上げられるような、社会的な問題を起こしてしまったひきこもりの人たちには、内因性精神疾患を発症しているケースが多く混在していると思われます。

 

 

内因性精神疾患によるひきこもりは、昔から人口に対してある一定の割合で存在するものと考えられていたため、現在急増して注目されているようなひきこもりとは区別するべきでしょう。

 

 

このブログは、最近その増加が社会問題になっているひきこもりについての理解を求めることが目的であるため、内因性精神疾患についての詳細な分析については省略しますが、読者の中にはひきこもり本人やそのご家族の方もいらっしゃると思います。

 

 

その場合、「自分、もしくは子供がひきこもっているのは、内因性精神疾患によるものなのか、それとも非内因性精神疾患によるものなのか」という鑑別は重大な関心事となりますし、その後の対応も異なってきますから、主な内因性精神疾患と、それによって引き起こされるひきこもりについて、その概要を簡単に説明していきたいと思います。

 

 

 

うつ病によるひきこもり

 

 

 

躁鬱病には、気分が憂鬱になるうつ状態か、気分が高揚する躁状態のどちらか一方が現れる単極型と、躁と鬱が交互に現れる双極型の二種類があります。

 

 

躁鬱病のうちのほとんどは、単極型のうつ病です。うつ病はその名の通り、抑うつ状態が周期的に繰り返される病気です。数週間から数ヶ月にわたる病相期にはうつ状態になり、中期的には気分がおさまるというサイクルを繰り返します。

 

 

また、日内変動といって、朝方は気分が落ち込んでいても、夕方になると幾分気分が落ち着いてくるというように、一日の間に気分の変動がある例もあります。

 

 

重度のものになると悲哀感が強くなり、食欲の低下や行動の抑制、興味や自信の喪失などが起こり、強い劣等感に苛まれて、人との接触を避けるようにもなってしまいます。

 

 

そうなると、当然社会生活からの撤退を余儀なくされ、ひきこもり生活に入ってしまうことになります。これら精神的な症状の他に、身体的な症状も起こることがあります。

 

 

肩のこり、背中・腰の痛み、手足の震え、頭痛などが主な症状です。なかには仮面うつ病といって、抑うつ感はないものの、原因不明の身体症状だけを訴えて、内科や外科を受診してしまうケースもあるので注意が必要です。

 

 

内因性の精神疾患といっても、うつ病は持って生まれた素因に加えて、後天的な要素もかなり影響してくるようです。そのため、何らかのきっかけとなるような出来事が確認される場合もあります。

 

 

この点は、神経症における抑うつ状態と似ていますが、抑うつ状態が長引いた結果、うつ病になってしまうケースもあります。また、うつ病は日本人の一割ほどが、生涯のうちに一度はかかるとまで言われているほど、身近な内因性精神疾患でもあります。

 

 

昨今は、経済不況やリストラ、雇用の激減など、将来への展望が開けないために悲観的になって自殺する人が急増し、その数は交通事故で死亡する人数を上回っています。

 

 

自殺する人たちの中には、かなりの割合でうつ病にかかっているにも関わらず、適切な処置をしなかったために、手遅れになってしまったケースも多いのではないでしょうか。

 

 

うつ病はれっきとした病気であり、けっして怠けているだけであったり、気の持ちようといった精神論で片付けられるものではありません。そのため、うつ病患者に、「もっと元気を出して」とか「頑張りなさい」といった励ましは無意味です。

 

 

むしろ、その言葉がかえって彼らを精神的に追い詰めてしまい、自殺に走らせてしまうこともあります。最近の研究で、うつ病患者の脳の中では、神経伝達物質と呼ばれる化学物質の流通が、スムーズにいっていない事などがわかってきています。

 

 

脳そのものに何の異常もなく、器質的にも損傷はないのですが、何らかの理由によって神経伝達物質の流れに異常が生じるという生理学的な異常なのです。

 

 

治療は、薬物療法と休養を中心に行います。最近ではうつ病に効果のある画期的な薬が開発されています。これらは副作用も少なく、劇的な効果を期待できる医薬品です。

 

 

うつ病に関連する病気として最近目立って増加し、新たに懸念されているものに、季節性情緒障害(SAD)と呼ばれるものがあります。これは、毎年秋の終わり頃から冬にかけて気分が落ち込むようになるという、季節性のうつ病のことです。

 

 

一般的なうつ病の症状である不眠や食欲減退などとは反対に、過眠や過食などによって体重が増える傾向がありますが、うつ病と同じように行動の抑制が見られるため、部屋にひきこもってしまうことがあります。

 

 

SADは、日照時間の変化に関係があると考えられています。私たちの脳の視床下部には体内時計と言われる部位があり、そこが光を感知して生体リズムを作っているのですが、夏季よりも日照時間の減少する冬季になるとそのリズムが崩れ、うつ状態になってしまうのです。

 

 

日照時間の短い北欧では、他の国々よりもうつ病の患者が多いと言われていますし、日本でも日本海側や、北海道などの高緯度地域ほど発症率が高いことがわかっています。

 

 

治療法は、うつ病と同じ抗うつ剤の投与の他に、光療法といって人工的に強い光を浴びさせる方法が効果的です。ひきこもりになって自宅に閉居すれば、日光を浴びる機会が少なくなります。

 

 

それがかえって「うつ」に拍車をかけることになってしまうのです。これも「デフレスパイラル」ならぬ「うつスパイラル」といってもいいような事態です。

 

 

また、ひきこもりの人達に特徴的な昼夜逆転の生活スタイルや、職業やライフスタイルの多様化によって、あまり日に当たらない人たちが増えていることも、うつ病患者が増加する一因と言えるでしょう。



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