コミュニケーション不全に陥っているひきこもり
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コミュニケーション不全に陥っているひきこもり

2020年09月17日(木)5:15 PM

 

 

 

厚生労働省は、ひきこもりのガイドラインを作成するにあたって、社会的ひきこもりを内因性精神疾患以外であり、6ヶ月以上にわたって自宅にひきこもり、学校や仕事など社会的な活動に参加しない状態が続いているケースとしています。

 

 

同省による定義では、近年になって増加傾向にあり、注目を集めているひきこもりと、内因性精神疾患による、以前から存在していたひきこもりとを区別しています。

 

 

この定義は、精神科医やカウンセラーなどがかねてから提示していたもので、現代病ともいえるひきこもりに対応していくうえで、妥当なものであると言えるでしょう。

 

 

2001年5月における厚生労働省のガイドライン作成によって、今まで専門家の間でも見解が分かれていたひきこもりという言葉の定義論争に一応の決着がついたようで、これは大変意義のあることです。

 

 

しかし、ここで明示されたひきこもりの定義が、あまりにも安易にひきこもりというものを決めつけてしまい、それによって誤った認識や対応が汎用されていくことへの懸念も指摘されています。

 

 

6ヶ月以上自宅にひきこもり、社会参加しない状態に当てはまれば、ひきこもりをすべて同じ枠の中におさめてしまうというのでは、あまりにも乱暴と言わざるをえません。

 

 

というのも、いまだに誤解している方が多いのですが、ひきこもりとは病気の名称ではありません。けっして医学的な診断名ではなく、単なる状態を指した言葉なのです。

 

 

そのため、同じひきこもりの状態であっても、その原因となる疾患はまったく異なるというケースが多々考えられるのです。ひきこもりをしている人の数だけ、その背景や実態もさまざまです。

 

 

これらを詳細かつ正確に把握してはじめて、同省の明示した定義が生きてくると言えるのではないでしょうか。何の理由もなく、ひきこもりになる人はいません。

 

 

ひきこもりは本人の訴える症状によって、いくつかのカテゴリーに分類することができます。ひきこもりという仮面をかぶっているため、傍目にみんな同じような状態にあるように見えますが、それぞれ異なった心の闇を抱えているのです。

 

 

ひきこもりを理解していくためには、まずこのことを明確に把握しなければなりません。そういう意味で、ひきこもりは風邪に例えることができるかもしれません。

 

 

ひとくくりに風邪といっても、鼻水、鼻づまりや喉の痛み、頭痛、腹痛、発熱などさまざまな症状があります。同様に、ひきこもりにも、彼らの一人ひとりがそれぞれの症状、例えば、人とコミュニケーションを取ることができない、他人の視線が気になって外出ができない、無気力になり抑うつ状態になる、不安感や焦燥感に襲われるなどを訴えています。

 

 

つまり、一部の人々が誤解しているように、彼らがひきこもっていること自体が病気であるというわけではなく、むしろ心の病を患っている結果としてひきこもっているといったほうが正しいでしょう。

 

 

さて、一般的に言われているひきこもりという現象を知るために、ここではもう少し詳しく同省が定義しているひきこもりの全体像を見ていこうと思います。

 

 

社会参加をしていないということは、アルバイトを含む仕事を一切せず、また学校などにも通っていないということになります。そのような状態が6ヶ月以上続き、自宅にこもっていれば、皆一様にひきこもりということになります。

 

 

なお、6ヶ月間という期間を一応の目安とするのは、それ以上、ひきこもりの状態が続けば長期化する恐れがあるからです。この定義によれば、かねてから関連が報告されている、不登校や登校拒否の状態にあって自宅にこもっている子供たちも、ひきこもりの範疇に入ることになります。

 

 

しかし、学校へは行かないで、一方では友達とは遊び回っているようなケースであれば、それは自宅にこもっていることにはならないのでひきこもりではありません。

 

 

また、今は就職難の時代ですので、会社でリストラの対象になったり、会社を辞めざるをえなくなったりして、新たな就職先がなかなか見つからず、気づいてみれば何もせずに6ヶ月以上過ごしていたというケースも見られます。

 

 

これも個々に事情が異なるため判別がつけにくいのですが、やはりひきこもりとはいえないでしょう。なぜならこのケースの場合は、機会さえ与えられればいつでも社会復帰することができ、また心の病を抱えているわけでもないからです。

 

 

ひきこもり状態にある人たちは、心に何らかの病を抱えている場合が多く、自らの意思では社会参加することができないため、深刻なコミュニケーション不全の状態にあるとも言えます。

 

 

長期間、ひきこもり状態にある彼らは、それが本人が望んだものであろうとなかろうと、コミュニケーションにおいて何らかの疾患があります。自宅でひきこもり状態にある場合は、家族以外(時に家族も含めて)の他者との対話が失われてしまうのは明らかです。

 

 

人とコミュニケーションをとるにはそれなりのスキル(技術)が必要ですが、それらのスキルは、通常私たちが育っていく過程において自然と身についていくものです。

 

 

しかし、ひきこもりになってしまう人たちは、何らかの理由からコミュニケーションのスキルを十分に身につけることができなかったか、あるいは他者との関係において食い違いをきたすようなスキルを身につけてしまったか、自ら放棄してしまったかのいずれかではないでしょうか。

 

 

ひきこもりにも軽度のものから重度のものまで程度に差はありますが、表面上共通していることは、コミュニケーションの欠陥です。軽度のひきこもりであれば、家族や親しい友人との会話ができても、それ以外の人とはコミュニケーションが取れなかったりします。

 

 

重度のひきこもりでは、外で人と顔を合わせることはおろか、家族との会話すら困難であるというケースも多々見られます。つまり、6ヶ月以上自宅にひきこもり、社会参加しない状態であるという定義だけでひきこもりの全体像を把握するのではなく、コミュニケーション不全に陥っているかどうか、他者と対話する関係が喪失しているかどうかという観点から、ひきこもりを把握するほうがむしろ適切であり、わかりやすいのではないでしょうか。



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