意味のあるひきこもりと無意味なひきこもり
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意味のあるひきこもりと無意味なひきこもり

2020年09月15日(火)3:25 AM

 

 

 

世間一般には、ひきこもりとはすべからく悪いものであり、強制的にでもその状況を打開させるか、何がしかのサポートをすべきであるという考えがあります。

 

 

確かに、病的なひきこもりであり長期化しているもの、すなわち、重度のひきこもりであれば、それは悪いひきこもりであると言わざるをえないかもしれません。

 

 

しかし、中には一時的に外界から撤退し、自分自身を見つめ直すという、内省的な作業を行うために必要な期間としてのひきこもり状態というものもあります。

 

 

例えば、ひどいいじめにあったり、職場での対人関係で傷つくなど、心的な外傷を負ってしまったり、過度のストレスによって突如として神経症を発症した場合などでも、人は外界との関わりを断ち、ひきこもり状態に陥ってしまうことがあります。

 

 

心の中でさまざまな葛藤が起こっていて、それを整理・修復する作業が必要であったり、あるいはただ不安感がおさまるまで安静が必要であったりというように、一定期間他人や社会といった外の世界から撤退して、ゆっくりと休息することが重要な場合もあります。

 

 

そのような、ひきこもり本人が、今後の人生をさらにたくましく生き抜く上で必要な充電期間として、ひきこもりの時間を必要としているのであれば、家族をはじめ周囲の人々は優しくそれを見守ってあげるという姿勢も時として大切になります。

 

 

この時に無理に社会に出ていくように仕向けるという行為は、その後の人生において悪い影響を及ぼしかねないからです。もちろん充電期間として必要だからといって、ひきこもりのすべてが良いひきこもりということではありません。

 

 

肝心なのは、ひきこもりの期間に本人がどのような内的な作業をして、そのなかで何を見出すことができるかなのです。内的な作業をすべて終えて、ひきこもりの状態から脱却した時にはじめて、そのひきこもりが価値のあるものだったといえるのです。

 

 

軽度のひきこもりであれば、自力で立ち直っていくこともありえますが、その場合でも、周囲の理解やサポートがあればなおのこと、本人の社会復帰への道が開きやすくなるでしょう。

 

 

ただし、たとえはじめのうちは軽度のひきこもりで、短期のうちに回復することが可能なケースであったとしても、ひきこもっている本人に社会復帰したいという明確な意志がなかったり、あるいは社会復帰するタイミングを逃してしまったり、ひきこもり期間の内的な作業において、自分自身の生というものに対する明確な答えが見出せなかったりする場合には、そのひきこもりが長期化してしまうことも十分ありえます。

 

 

そして、ほとんどのひきこもりは長期化してしまうのが現状のようです。厚生労働省が発表したひきこもり調査では、5年以上ひきこもり生活をしている人が30%以上、10年以上でも7.7%いることがわかりました。

 

 

そもそも世間から撤退してひきこもり状態に入るというのは、強く意識して行われるものではありません。彼らは自分自身の身に起こっていることを明確に把握した結果、ひきこもりになっているわけではありません。

 

 

そのため、ほとんどの場合において、「〇か月で社会復帰しよう」「このひきこもりは、自分の内省的な作業のために必要なものである」「ひきこもり期間中にきちんと自分自身を見つめなおしてみよう」などといった目的意識がありませんから、ひきこもり状態がずるずると長引いてしまうことが多いのです。

 

 

 

まだまだ根強いひきこもりへの偏見と誤解

 

 

 

近年の日本において、ひきこもりという現象が急速に注目を浴びるようになってきました。ひきこもりという言葉自体については、マスメディアでも頻繁に取り上げられ、改めて解説する必要もないほど、一般に広く認知されています。

 

 

簡単に言えば、程度に差こそあれ、社会との接触を断ち、自宅にひきこもっていることがひきこもりという状態に対するイメージです。また、全国に数十万人ともいわれる、膨大な数のひきこもり状態にある人々が社会に与える影響を、重く見ている人も多くなってきています。

 

 

現状においてもっとも懸念されているのは、大人のひきこもりが深刻化しているという事態です。2018年、厚生労働省は、全国にある保健所などを対象に行なってきた社会的ひきこもりに関する調査状況を発表しました。

 

 

調査は社会的ひきこもりを6ヶ月以上自宅にひきこもって社会参加しない状態と定義して行われました。その結果、年間に6000件を超える相談が寄せられていたことが明らかになり、しかも、その6割が21歳以上である大人の相談例だったといいます。

 

 

相談事例のうち、不登校を経験したことがある人は4割にものぼり、かねてから言われていた、不登校とひきこもりとの関連性が強い事もうかがえるということです。

 

 

同省では、具体的かつ適切な対応策などを示したガイドラインを作成し、全国の保健所や精神保健福祉センターに配布しました。このように、国の対応がようやく緒についた感がありますが、ひきこもり状態の人々が増え続けているという現状が好転するまでには至っていません。

 

 

また、私たちのひきこもりという現象に対する理解や認識もまだまだ脆弱なままで、ひきこもり状態にある人々に対する、さまざまな偏見や誤った知識などは依然として根強く残っているようです。

 

 

「ひきこもりをしているような人たちは、犯罪を犯す危険性のある人物だ」「親が甘やかしているから、いい年をして何もせずにいられるんだ」「ひきこもり状態にいる人々を、どのようにしてサポートしたらいいのかわからない」

 

 

いまだに私たちの多くはこうした意見を持っているのではないでしょうか。そして、そんな私達と同様に、いま現在ひきこもり状態にある人々自身も、なぜ自分がひきこもりという状態に陥っているのか、またどうすれば現状から脱出し、社会復帰することができるのかという思いにもがいているのではないでしょうか。



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