ひきこもりの問題とは何か?
ホーム > ひきこもりの問題とは何か?

ひきこもりの問題とは何か?

2020年09月12日(土)3:54 PM

 

 

 

ひきこもりにおけるもっとも重要な問題として、他者と対話する関係の喪失がありますが、彼らの中には、他者と対話をしたくてもできない場合もあれば、自らの意思であえて他者と対話する関係を絶ってしまっている場合もあります。

 

 

また一定の期間だけ、自分の孤独世界をもちたいといった漠然とした思いから、自分の殻に閉じこもっている場合もあります。したがって、ひきこもり状態にある人たちすべてが、コミュニケーションに致命的な問題があり、サポートする必要があるわけではないのです。

 

 

このような人たちのなかには、一定期間自分の内面と向き合った後、自力で立ち直り、ひきこもり状態から脱却していく人も少なくありません。しかし、たとえこのような場合であっても、ひきこもり状態にある人たちすべてが、さまざまな事情のもとにひきこもっていることを忘れてはいけません。

 

 

厚生労働省が発表した社会的ひきこもりの調査報告によれば、ひきこもり状態にある人々に見られる主な問題行動には、昼夜逆転、食行動異常、被害的言動、社会参加の欠如のほかに、深刻な家庭内暴力、自傷行為まで、さまざまなものが見受けられます。

 

 

親などに対する暴力も、ひきこもりの約7割が大人であることを考えれば、やはり異常な行動であるといわざるをえないです。たしかに、年齢が上がるにつれて、家庭内暴力などのアクティブな問題行動は減少していく傾向にあるようですが、それでも20歳以上の成人による家庭内暴力は男性で16.8%、女性で9.8%あり、決して少ないとはいえません。

 

 

これらの問題行動やコミュニケーション不全といった事柄から、私たちは近年に増加している青少年犯罪を、どうしても想起してしまうかもしれません。

 

 

しかし、多くの専門家が、「ひきこもりの状態にある人々には、まず犯罪性は見受けられない」と言うように、「ひきこもりの状態にいる人々は、みんな危険な要注意人物である」という何の根拠もない偏見は、払拭しなければならないと思います。

 

 

実際に彼らの多くは、礼儀正しく律儀であり、社会的規範や常識を持った人達であることが多いのです。では、そんな常識をもった彼らが、なぜ問題行動を起こしてしまうのでしょう。

 

 

ともすれば表面的な世間体を重んじてしまう彼らの倫理観・道徳観こそが、かえって自らひきこもらざるをえない状況に追い込んでいるともいえるのです。

 

 

彼らは「自己規範」とも言うべき自分の言動を律する規範を、自身の中に持っています。その自己規範は、世間一般に浸透している倫理観や社会的規範を彼らなりに感じ取り、自身の中に取り入れていったものです。

 

 

ひきこもりの人々が、他人の目を非常に気にするのはこのためで、「自分は世間の他の人達と同じようにちゃんと振る舞えているだろうか」「自分だけおかしな振る舞いをしていないだろうか」などと、厳しい自己規範によって彼ら自身がいつも縛られているからです。

 

 

そして、自分自身が自己規範の設定した基準を満たしていないと判断すれば、自分を厳しく罰して自己嫌悪に陥ってしまいます。その結果、彼らは自信を喪失し、「自分は外の世界に出ていく資格がない」と結論を下してひきこもりになってしまうのです。

 

 

このように、彼らは自らが生み出した非常に厳格な自己規範に基づいて行動しているため、社会的な犯罪とは縁遠い存在だと言えます。彼らには犯罪性が感じられないのもそのためです。

 

 

外では世間体を重んじている彼らですが、自分の家は外界と一線を画している空間であり、世間体を気にする必要がありません。彼らが家で暴力を振るうのは、決して外でおとなしく振る舞っていることに対する反動というわけではありません。

 

 

ただ、彼らにとって家とは、自由に感情を表すことができる、自分自身を解放できる場所だということになるのです。他者とのコミュニケーションは、感情を抑圧してばかりいては決してうまくいきません。

 

 

適度に感情を表し、自分自身を相手にわかってもらわなければならないのです。ところが、ひきこもり状態にある彼らは世間体を重視するあまり、外では自分自身を抑圧してしまいます。

 

 

そんな彼らがコミュニケーション不全に陥ることは当然とも言えます。ここでは、ひきこもりの問題行動の中で最も懸念すべき「社会参加ができない」という点、すなわち「他者と対話する関係を構築できない」「適切なコミュニケーションを取ることができない」という問題について検討したいと思います。

 

 

社会からひきこもる事によって彼らが逃れようとしているのは、言うまでもなく社会そのものです。社会の中には、仕事や学校などの他に、他者そのものの存在や他者との接触、また人間関係を構築し維持していくことも含まれます。

 

 

それらは社会参加とか社会活動といった言葉で表されます。人は、自分自身に確固とした自信がなければ、なかなか他者と深い関係を構築することはできません。

 

 

自分という世界が脆弱であると、他者との接触によってその世界は容易に崩れてしまうのです。「自分は一体何のために生まれてきたんだろう」「こんなダメな自分なんて、この世に生まれてこなければよかったんだ」ひきこもりの人の多くは、自分自身が生きていることに意義を見出せなくなっていることを嘆いています。

 

 

自分がこの世に存在しているということを肯定的に捉えられなくなった人たちは、なかなか他者との良好な関係を構築できるものではありません。

 

 

誰でも気分が落ち込んでいるときは、他人とのコミュニケーションに及び腰になってしまいますが、それが一時的なものではなく、永続的で、根本的に自尊心が低下しているような状態では、コミュニケーションはおろか、人間関係を含めた社会そのものから退却したくなるものです。

 

 



メニュー

過去の記事

団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援