ひきこもりが問うこれからの生き方
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ひきこもりが問うこれからの生き方

2020年09月11日(金)9:33 PM

 

 

 

近年見られるひきこもりの高年齢化の傾向は、ひきこもる若者たちのこれからの生き方を改めて問い、人生を模索していかなければならないことを意味しています。

 

 

たとえ社会のなかでつまずいても、そこから再び気を取り直して歩き始めることができるリカバリーとエンパワメントは彼らの生き方を支えていくでしょう。

 

 

宮西照夫氏「ひきこもりと大学生・2011年」(学苑社)は、日本の若者はなぜひきこもるのかを次のように述べています。「ひきこもりを生み出す土壌を作ったのは私たちの世代である。その責任は確かにある。しかし、ひきこもりの解決はそんなに難しい複雑なことではないと私は考える。社会での成功者でなくとも、一人旅に出て挫折した時、彼らを温かく迎えてくれる普通の家族と、そして、その旅の途中で立ち止まった時に声をかけてくれる、苦しみを共有できる仲間があればいいのだ」といいます。

 

 

同様なことは、J.コールマンとL.ヘンドリー「青年期の本質・2003年」(ミネルヴァ書房)も次のように述べています。「強調しておかなければならないことは、青年期の移行は必ずしもストレスに満ちた出来事ではないということである。もしサポートが与えられ、また潜在的ストレッサーが重ならないようにうまく調整されていれば、若者は変化に比較的うまく順応するとつねに言えるのである」

 

 

J.コールマンは本文のなかで、青年期の移行と語りますが、例えば、これを成人期への移行や就労への移行などにも置き換えることが可能です。それぞれの移行が、ストレスに満ちたものではなく、適切な支えがあれば社会のなかで共に生きる可能性を見いだすことができる、と考えられるのではないでしょうか。

 

 

そのための支援が、総合的に行われていかなければなりません。ひきこもりの人は、実は多くを望んでいません。宮西照夫氏が指摘するように、他者と同じように社会のなかで働き、暮らし、生きていければいいと思っています。

 

 

この「フツウ」になりたいことを切望し、そうなれないことに彼らは悩んでいます。ひきこもりの解決が実は簡単だとする「フツウ」の人生、「フツウ」の就職、「フツウ」の結婚、「フツウ」の生活といった、ここで語られる「フツウ」とはいったいどのようなものといえるのでしょうか。

 

 

「フツウ」な若者になるために負担となることは、他者から見ると「どうして」と意外に思われることではないでしょうか。無理をすればできる負担となることが周りに把握されず、「できること」と勘違いされて、過度に求められてしまい、結果的に自分が辛くなる傾向があります。

 

 

それを周囲にうまく伝えることができず、相手の何かが自分にとって負担となっていると伝えることで、相手に対して不快にさせてしまう可能性があるように思い、吐き出さずに飲み込んでしまいます。

 

 

そういうのが辛くて、そっとその場を離れていきたい気持ちになってしまいます。私はこれまでに職業を3回変わっています。その理由は、仕事にはそれほど不満はありませんでしたが、自分のキャパシティを少々超えていた実感がありました。

 

 

期待され、マネジメントを過度に求められました。私には「フツウ」にできると上司に思わされ、そして、気がつけば、仕事はどんどん増えていきました。

 

 

これを拒めば、雇用主に不快を与え、職場に居づらくなることを突きつけられます。「フツウ」への苦しみは、そうしたところにもあります。しかし、混沌とした現代社会の今にあっては、「フツウ」ではない生き方も、「フツウ」となる社会になりえるかもしれません。

 

 

「フツウ」ということにそんなにとらわれないで、自分らしく生きていくことも認められても良いのではないでしょうか。ひきこもりの人が働きたいと思っても、履歴の空白や年齢などが気になります。

 

 

本当に大丈夫だろうかと不安を抱くことが多いのです。自分自身に立ち返った場合、一般就労経験よりもボランティアやNPOでの仕事歴の方が長かったりします。こうした事実は、周囲のひきこもりの経験者を見てもそのようです。

 

 

であるとするならば、こうしたNPOのような働き方が、仕事になることができれば良いという思いは大きいです。どんな小さなことでも、人の役に立つことは、その人のニーズに応えるだけではなく、自己の達成感と自信、希望をつくり出す立派な労働です。

 

 

これからの時代は、ひきこもりの経験があってもなくても、社会では履歴の空白などは、思っている以上に大きなハードルにはならなくなるでしょう。

 

 

むしろひきこもりの人自身の、心のなかに作られる壁が就労にとっての大きなハードルになることはあるかもしれません。職場は大きく変化しています。

 

 

学歴や学校歴が強調された時代は、終焉を迎える時が来るでしょうか。これからは、何を学んできたかという学習歴が問われる時代にならなければいけないと思います。

 

 

まだ、採用にあたっては、履歴の空白などが見られることはあります。しかし、それによってたとえ不採用になったからといって、落ち込む必要はありません。

 

 

不採用にする会社は、ひきこもりや自分に理解のない会社として見切りをつけることが必要です。必ずどこかに自分に理解のある職場・仕事の選択肢があることを信じることも重要です。

 

 

ゆるい社会参加を中間的労働と呼びますが、この中間的労働は、2014年から本格化した生活困窮者自立支援法のなかでも注目されている新たな働き方です。

 

 

実践領域としてもまだ日が浅く、これからのフィールドですが、ひきこもりの人がこれまで失ってきた自信をこうした中間的労働を通して体験を積み重ねるなかで力を紡ぎ、自分のやりたい自己の発見と、意欲を高められる実践活動に期待が寄せられています。

 

 

 



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