ひきこもりの支援者の役割
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ひきこもりの支援者の役割

2020年09月07日(月)8:18 PM

 

 

 

ひきこもりの支援者の役割とは何か

 

 

ひきこもりの人は、多かれ少なかれ滞在期と社会参加期との間の準滞在期のなかで揺れ動く存在です。ひきこもりの人を取り巻く環境の外圧と個人の内圧によって、振り子のように揺れ動くなかで自己を形成していく曖昧性の過程を、いわばよしとすることが大切です。

 

 

その意味で、この揺れ動く準滞在期の歩みのほうが他の時期と比較して長い道のりであるとすれば、ひきこもりの人の苦労を分かち合い、その揺れ動きのなかから歩みを作り出す支援がとても重要となります。

 

 

このことを踏まえたうえで、支援者はひきこもりの人に対して、どのように関わればいいのかを述べてみたいと思います。

 

 

ひきこもりの人は、経験や自信のなさ、消極性などといったさまざまな不安感情にさらされています。そして、一歩踏み出せない自己の不調を彼らは自分自身の内部に原因があると思い込み、自己責任として仕方がないと自分を責め立てる心があり、それらが彼らの行動に抑制をかけさせ、苦しめています。

 

 

こうしたひきこもりの人を苦しめている社会に、ひとつの変革を起こさせ、これまで失ってきたひきこもりの人の経験や自信をどのように回復し、一人ひとりの力を育んでいくかという動きがひきこもり支援ではとても重要となります。

 

 

しかし、ひきこもりの人は社会に対して意見表明する機会が少なかったために、今までのひきこもり支援が本人の思いにかなうものであったかは再考しなければなりません。

 

 

特にひきこもり支援は、支援する側やその親たちの意向や考えが、どこかで優先されてしまうところがあったことは否定できません。少なくとも山本耕平氏が「親の運動については、児童福祉の課題では保護者運動は必要であるが、ひきこもる若者はすでに成人した大人である。精神障害者や発達障害者がいることは承知しているが、当事者が行うべき運動を保護者として親が代替する必要性があるのでしょうか」と指摘するように、支援そのものがひきこもりの人不在のまま進められるものではありません。

 

 

また代弁する親の発言が、必ずしも本人の発言と完全一致するものではないとすれば、親が先頭に立ってあたかもひきこもりの人の発言であるかのように、ひきこもり支援運動を進めるものではないことを理解する必要があると思います。

 

 

その意味でひきこもり支援は、ひきこもりの人が主体者として自らの課題を自分のものとして捉え、同じ悩みをもつ仲間たちとの関係性のなかで、支援者や親たちと協同しながら進める支援でなくてはならないのです。

 

 

では、このような関係性のなかで示される専門職である支援者の役割とは何でしょうか。支援者もまた現代の社会のなかで悩む一人の人間であり、支援する側も支援される側と対等な立場で考える存在です。

 

 

まして支援者とは完全なる人間とはいえず、人間はそもそも不完全な存在です。支援する側も支援される側からどこかで支えられている、そういった実感があるからこそ、支援する側として支援を続けることができる営みを作る力になっているといえるのではないでしょうか。

 

 

そして、支援する側の営みとは、決して「私が支援したからあなたはこのように変化した」とはならないものです。もし、支援する側が関わったことによって支援される側が変化したとすれば、それは逆に大変恐ろしい存在になりはしないでしょうか。

 

 

一人の人間を変えるなど、支援者一人にできるはずがありません。支援される側がもし変化していることがあるとすれば、それはひきこもりの人のなかに、本来潜在していた力そのものが、支え支えられる相互の関係性のなかで、必然的に開花されていったと理解されるべきものではないでしょうか。

 

 

このように考えていくと、専門職の支援者としての役割とは、どのようなものであるかが見えてこないでしょうか。学校にも行っていない、働いてもいない、教育訓練も受けていない、そのような無業の若者たちのことを現代ではニートと呼んでいます。

 

 

ひきこもりも働いていないという点において言えば、広義のニートとみられることが多いです。ニートという用語が急速に社会に広がるにつれ、ニートにさせないマニュアル本が数多く出版されるようになりました。

 

 

こうしたニートは、わが国ではそのカテゴリーに失業者を含まない意味において、世間からは非常に厳しい視線や言動によるニートバッシングを浴びています。

 

 

そしてひきこもりもまた、ニートと同じような状態に置かれている人達という意味で、「怠け」などのさまざまな誹謗中傷を浴びています。こうした社会側からくる価値観への盾になる必要があります。

 

 

社会的に不利な立場に置かれた若者達であることを伝え、ひきこもりの人が「なぜこんなに生きにくいのか」「どうして前に進めないのか」を同じ時代を生きる仲間として共に考えていきましょうと働きかけていくことが、いわば専門職である支援者としての役割ではないでしょうか。

 

 

そうでなければ、ひきこもりの人は安心して社会に出てこれないのではないでしょうか。改めて専門性をもった支援者である自覚を社会的に問い続けるならば、こうした社会側からのいわれなき言動、強硬な価値への防波堤となり、安心した地域を作り出す実践であることを強調しておきたいと思います。



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