ひきこもりの定義の再考
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ひきこもりの定義の再考

2020年08月26日(水)2:22 PM

 

 

 

ひきこもりがあらゆる人たちに起こりえる現象となっている今日、ひきこもりをどうとらえるかにあたっては、これまでのひきこもりの定義を今一度再考することが求められているのではないかと考えています。

 

 

ひきこもりの定義については厚生労働省の「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」によって示されています。それによれば、ひきこもりとは「さまざまな要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6か月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念である」と定義づけられ、さまざまな要因の結果として起こりえる「関係性の課題」としてとらえられています。

 

 

ここで述べられる「さまざまな要因」とは、生来からもっている発達上の課題など生物的レベルの要因、不安、緊張、囚われなどの個々人の心理的レベルの要因、家庭や学校、地域社会環境などの社会レベルの要因を指しており、個人と環境との要因が複雑に絡み合ってひきこもりが起こっていると理解されています。

 

 

しかし、多くのひきこもりの人たちが語るように、ひきこもりの人が他者との関係性以前に徹底した自分殺しという自己否定、自己排除があり、それが自分と他者との関係性を苦しめています。

 

 

受け入れることのできない自己のなかで苦しむ彼らに、すぐに他者を受け入れるには無理があると思われます。ひきこもりの人は、完全に人との接触がない関係性の課題かといえば、実際はインターネットやコンビニなどのさまざまな場面で人との接触が保たれていることが多いし、ひとけのない時間帯であれば外出もそれなりにできます。

 

 

他人と会おうと思えば会うことができると語るひきこもりの人も多くいます。そのため「自分自身がひきこもりの定義に示す領域に入るのか」と疑問を抱くグレーゾーンの若者たちもかなり存在します。

 

 

ひきこもりは、こうした外在的な関係性だけではとらえきれない、心の内面的な関係性にも着目した課題であることはおさえておかなければならないと思います。

 

 

また、定義にかかわるもう一つの課題として理解したいことは、不登校が定義上年間30日以上であるのに対し、ひきこもりが半年以上と位置づけられている点です。

 

 

ここに示される期間内は「休息」「充電」の期間として社会的に許容される範囲として理解されるべきものなのか、その確固たる納得がいく科学的根拠は示されていません。

 

 

本来、ひきこもりかどうかは主体者であるひきこもり当事者が判断するもので、「休息」「充電」期間というものも千差万別であるべきですが、このようなひきこもりであるか否かよりも、これまで見てきたように「いつひきこもりになるかもしれない恐れ」を抱く若者が多いことに気づきます。

 

 

つまり、現時点の労働者の中に「ひきこもり不安感情」がかなり存在するということです。「ひきこもれる人はまだいい。自分にはそれすらできないから苦しい」とする感情は、現代の社会病理を示唆しています。

 

 

今日のひきこもり支援とはまさに、こうしたひきこもりというカテゴリーにとらわれない、ひきこもり支援を通して現代を生きる若者全体を視野に入れた支援のありようを考えていかなければならないことを意味します。

 

 

さらに、定義では「ひきこもりは原則として統合失調症のひきこもり状態とは一線を画した非精神病性の現象とするが、実際には確定診断がなされる前の統合失調症が含まれる可能性は低くないことに留意すべきである」と述べられています。

 

 

さまざまな問題が発生し、それが継続した場合、それに対して作用する要因やその影響力も時間経過にともなって変化するとすれば、実際ひきこもった当初は非精神疾患であったとしても時系列的な変化のなかで精神疾患が二次的な障害として発症することは多くありえます。

 

 

また、精神科医の青木省三氏が指摘するように「病気か否かわからないグレーゾーンといわれる人たちが、通院という行為を続けていくうちに、しだいに精神科の病人らしくなっていくのである」とすれば非精神疾患のひきこもりと精神疾患のひきこもりを区別して議論する意味はあまりないといえます。



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