不登校からの回復事例
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不登校からの回復事例

2020年08月24日(月)8:18 PM

 

 

 

不登校問題の回復では、だんだん学校に近づくなどのかたちで、小刻みに登校行動を強める働きかけが多いです。そのようなときにも、セルフ・コントロールを育むことを意識するならば、基本的に本人を認め、褒め、その一つひとつの乗り越えを、どのように成功体験だと感じさせるのかが重要です。

 

 

事例  

 

 

A君の登校しぶりは、中学二年生のときからでした。いくぶん肥満気味で口下手でした。勉強も運動も苦手で、仲間との関係も希薄でした。

 

 

A君の不登校は三年から本格化し、わたしがかかわったときには、二か月ほど経過していました。友達と会うのが怖くなっていて、友達が下校した時刻以降は外出したくない・・・・・・とのことでした。

 

 

母親自身も口下手でした。わが子にどのように接したらよいのかがあまりわからず、体調不良を訴えると学校を休ませはするものの、病院に連れていくのでもなく、ただおろおろとしていました。

 

 

わたしは本人の好むマンガを聞き出し、そのマンガを大きな画用紙に模写して、自宅を訪問しました。そして、「一度に学校に行くのは大変だよね。学校に一気に行かなくてもいいから、だんだん学校に近づくのってどうかなあ?難しいかなあ?」と提案しました。

 

 

最初の週は、「アパートの階段の下まで」、次の週は「アパートの敷地の外に出るまで」・・・・・という具合に、一週間刻みで、次に到達する場所までのステップを定めました。

 

 

新しいステップに進むときに、わたしは家庭訪問し、母親と一緒にこれらの課題をこなしました。これは、二日目以降に、母親が本人と課題をスムーズにこなせるようにと配慮したことでもありました。

 

 

わたしの持参した大きな画用紙に描いたマンガは、玄関に貼り付けました。そして、その日の課題が済むごとに、一色だけの色を母親と一緒に塗るようにしました。

 

 

一週間連続で課題ができると、新しいマンガを描いてわたしが持参しました。すべての色が塗られたマンガは、A君のものになるからです。

 

 

途中で、先に進めず停滞したことが数日あったものの、校門までの登校は、この関りで順調に展開していきました。校門から先は、担任が出迎えてくれ、別室登校に導くまでこの関りは継続されました。

 

 

教室に入った後は、ほめること、認めることがA君にとって必要という事例理解を担任が十分に了解して関わりました。

 

 

わたしが関わってから二か月ほどで、A君は順調な登校になっていきました。このマンガへの色塗りの作業は、母親が子供の登校に向けてがんばる姿を傍らで認め、ほめる機会を与えやすくすることを意図したものです。

 

 

このかたちにすれば、自然に「よくできたね」という言葉は出やすくなります。口下手の母親なので、仮にうまく言葉で表現できなくても、この作業がその意味をもちます。

 

 

母親は、子供と一緒にマンガに塗る色を決定して、色を塗りました。この色塗りには、四、五分の時間がかかります。この時間を共有するだけで、その日の課題をこなしたことの確認になります。

 

 

そして、一週間の努力が、新しいマンガの絵の獲得という、新たな希望を生み出すのです。

 

 

 

治療の発想と教育の発想

 

 

 

以前にここで、学校への復帰や、社会に出ていくまでに時間が必要な場合では、「せっかく不登校になったのだから」と考える必要性を強調しました。

 

 

今回述べたセルフ・コントロールも、不登校の期間の中で、育んでおきたいのです。これは、「治療」ではなく、「教育」の発想です。

 

 

「治療」は、元の元気な状態に戻すことです。治療では、原則、元の状態、原点に復すればよいのです。大人の不適応の問題ならば、元の状態に戻ることを意識すればよいのです。

 

 

たとえば、大人の職場拒否ならば、職場に復帰し、社会生活を営むことだけを目指せばよいのです。しかし、子供の心理的な問題では、教育の発想が必要になります。

 

 

これは、不登校の問題に限らず、子供に関わる場合に原則として必要になる発想です。なぜなら、子供とは、発達の途上の存在だからです。

 

 

マイナスから原点に復するまでの期間に、同世代の子供たちも成長を続けます。復帰していく場が同世代の場であるなら、そこは原点とは違う一歩進んだ世界です。

 

 

また、発達途上であるからこそ、先々を見通して、その子供の年齢段階に必要と思われる体験を与える必要も出てきます。

 

 

たとえば、生活空間を広げることや学力の保障なども、それぞれの年齢段階で体験しておいたほうがよいでしょう。その体験が、先々の人生で役立つ対人関係の能力や、知識や思考力などを獲得させるからです。

 

 

それゆえに、子供の問題では、さらにプラスとなるものを積み上げる教育の発想が求められるのです。



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