ひきこもりの段階
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ひきこもりの段階

2020年08月19日(水)7:27 PM

 

 

 

「ひきこもり」を長期化させないためには、早い段階で適切な対応をとることが必要となります。また、長期化しつつあるときにも、対処の仕方によって、回復の時期は変わってきます。

 

 

ひきこもりの状態・対応の仕方は、ひきこもりの段階によって異なります。ですから、子供が現在、どの段階にあるのかを見極めることが大切です。

 

 

ひきこもりの段階は、以下の四つに分けられます。

 

 

1.前兆~前駆期

 

 

2.進行期

 

 

3.混乱期

 

 

4.回復期

 

 

 

 

ひきこもりの前兆~前駆期

 

 

 

 

目に見える特徴としては、以下のような状態が見られます。

 

 

①学習面で集中できなくなる

 

 

②忘れ物が多くなる

 

 

③遅刻が多くなる

 

 

このときの子供の心理状態は以下のようなものです。

 

 

④理由なく何となくイライラする

 

 

⑤明確な原因もないのに気分が沈みがちになる

 

 

⑥「おっくう」だったり「かったるい」感じが抜けない

 

 

⑦「ぼんやり」することが多くなる

 

 

⑧理由がはっきりしない「不安感」がある

 

 

⑨他人との間に気分的なズレを感じる

 

 

⑩寝つきが悪くなり、長時間眠っても寝た感じがしない

 

 

以上の10項目のうち、6つ以上当てはまる場合は注意を要します。日ごろから教師や親が、子供の状態に注意していれば、この時期のこうした症状を早期発見できるでしょう。

 

 

前兆~前駆期には、子供の変化を早期発見し、気持ちを十分に受け止め、辛さや苦しさを理解してあげることにより、しだいに症状がなくなっていきます。

 

 

この状態の子供へ、カウンセリング上、わたしがとるテクニックは、子供が心を開くまで待つということです。子供が心を開かないのは、カウンセラーに信頼感がもてない、あるいは自分の気持ちが整理できないでいるからです。

 

 

それを無理に心を開かせようとすると、子供の心は逆に閉じてしまいます。さらには、そのことにより、子供の心を知らない間に傷つけてしまって、対人不信感を植え付けてしまうことにもなりかねません。日ごろからの子供とかかわり、子供が話し出すのを待つゆとりが大切です。

 

 

 

 

ひきこもりの進行期

 

 

 

 

進行期は、不登校が始まり、親と子供が不登校を受け入れ、落ち着くまでの期間を指します。この時期の目に見える特徴としては、以下のものがあげられます。

 

 

①対人不安・不信、恐怖、対自不安、不信による身体症状

 

 

②両親、教師からの「登校刺激」による孤立感の増大、時として家庭内暴力

 

 

③生活リズムが不安定になり、時間のズレが起こり始め、昼夜逆転の生活

 

 

④外出したがらなくなり、家でのひきこもり生活が中心となる

 

 

この時の子供の心理状態は以下のようなものです。

 

 

①学校に行けそうで行けない

 

 

②体調が思わしくない

 

 

③学校のことは考えたくないのに、学校のことが気になって仕方がない

 

 

④毎日が憂鬱だ

 

 

ひきこもりの進行期は、本人や家族にとって一番苦しい時期になります。子供は自分の気持ちに戸惑います。学校に行けそうなのに行けない、体調がなぜか思わしくない、学校のことを考えたくないのに、気になって仕方がない、毎日が憂鬱に過ぎていく・・・・・。

 

 

親もまた、この時期の子供を、どう理解すればよいのか対応に苦しみます。なぜ、私の子は学校に行けないのだろうか、単に怠けているだけなのではないか、心の病気ではないか、このままではこの子の未来はないのではないか・・・・・。

 

 

子供の変化に戸惑う親は、自分の不安を打ち消すために、「登校刺激」をしがちです。しかし、強い登校刺激は親子関係を悪化させ、子供を追い詰めていくだけです。

 

 

特に、普段子供とあまりかかわりを持たない父親の登校刺激は、子供の家庭内暴力を招くこともありえます。また、無理やり暴力によって登校させたりすると、親子の信頼関係に亀裂が入るだけでなく、神経症や摂食障害を引き起こしかねません。

 

 

加えて、登校刺激をしても子供が動かないからといって、「学校に行かないなら働け」と刺激するのもよくありません。進行期における親の対応の仕方、周りの環境や理解の度合いによって、心理的不安の「浅い」「深い」が変わってきます。

 

 

そして、その差が不登校問題解決までの時間の長さを決します。この時期、「前駆期」の症状を持ち、体調不良を伴っている場合は、「登校刺激」よりも「受容」が大切です。

 

 

子供の気持ちを傾聴する「受容」を十分に行うことにより、心の重さ、悩みや不安感を深めないようにしましょう。

 

 

 

 

ひきこもりの混乱期

 

 

 

 

「進行期」に登校刺激を繰り返すうちに、やがて、登校刺激は効果がないばかりか、子供の状態を悪化させるばかりだということがわかってきます。

 

 

そうすると、親や教師の登校刺激はおさまり、子供の生活は、学校に行かないということを除いて安定してきます。しかし、よく見ると情緒的に不安定であったり、少しずつ生活リズムがずれてきたりしています。この時期が、ひきこもりの「混乱期」です。

 

 

混乱期は、ひきこもりの生活が中心で、目に見える変化は乏しいのが特徴です。しかし、心理的には少しずつ変化しています。その変化の過程において、四つの柱があり、子供は親に対して一つずつ柱の確認を図っていきます。

 

 

一つの柱の確認を図るごとに自分の心を安定させ、次の柱に移ります。Aの柱からBの柱へ、そしてCの柱、となりますが、時にはCからAへと戻ったり、と繰り返しながら四つの柱の確認を終え、「回復期」に入ります。

 

 

ここで、四つの柱とは何かを確認し、それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

 

混乱期に子供が親に求める四つの柱

 

 

A.すべてを満たし、心を受け止めてくれる母親像

 

 

B.母親の家庭内の精神的立場の確立

 

 

C.母親のもつ穏やかな社会性

 

 

D.父親の大きな愛

 

 

 

Aの柱~すべてを満たし、心を受け止めてくれる母親像

 

 

 

混乱期の一段階目として、すべてを満たし、心を受け止めてくれる母親像を求めて退行現象を起こす時期があります。退行現象は、ひきこもりを伴う不登校の子供たちの90%以上に見られ、また、学校に行っている子供のなかにも、目立たないように退行を起こしている子供もいます。

 

 

 

Bの柱~母親の家庭内での精神的立場の確立

 

 

 

混乱期の一段階目「退行現象」が徐々になくなっても、母親との共生関係は続きます。そのため、母親の家庭内での精神的な位置や立場により、安定と不安定の差が出てきて、それが不登校の長期化の原因になります。

 

 

母親が家庭内での精神的立場を確立することで、共生関係にある子供も同じように精神的立場を確立していく、これが混乱期の二段階目にあたります。

 

 

母親の家庭内での立場からくる心理的状態は、直接子供の心に大きな影響を及ぼします。母親が姑に家族の実権を握られ、夫も妻の「嫁としての気持ち」がわからずに姑の味方をしていると、母親の立場はないとともに心理的にも自由になれません。

 

 

子供はそんな母親に張り付き、共生関係にあるため、当然伸び伸びできませんし、心の居場所を確保できません。そうなると、自分を守ってくれる母親に対して密着が強くなり、ひきこもりが長くなります。

 

 

核家族の場合でも、父親が支配的で経済的実権を握り、「誰のおかげで生活できるのだ」という態度だと、母親は委縮してしまい、同じような結果になります。

 

 

反対に、母親が強く、父親が権威がなく尊敬されていないときは、子供の心は自由になりすぎ、「怠学傾向の不登校」に変化していきます。この場合、再登校は難しいのですが、ひきこもりにはならず、いずれは社会適応していきます。

 

 

家族機能が混乱の原因で、不登校・ひきこもりになったケースは、家族機能が正常に働かなければ長期化します。ですから、混乱期の二段階目の「母親の家庭内での精神的立場の確立」は、姑と夫の協力があってこそ、成立させることができます。

 

 

家族機能の混乱を抱えている場合には、家族療法も含めたカウンセリングを行うことで、その回復を図る必要があります。

 

 

 

Cの柱~母親のもつ緩やかな社会性の受容と意識化

 

 

 

家族機能にそれほど大きな問題がなければ、Bの柱はすぐにクリアできます。次の段階として、母親自身の持つ緩やかな社会性を、子供が受容し意識化するということが必要になります。

 

 

混乱期の二段階目までを経て、自分自身や家族といった内の問題をクリアした子供たちが次に求めるのは、社会という外の世界を受け入れることです。混乱期の三段階目において、一番信頼できる共生関係のある母親を通して、この準備を行っていきます。

 

 

 

Dの柱~父親の大きな愛

 

 

 

母親の人間性を確認して安定した子供は、混乱期の最後の段階として「母親からの精神的分離と父親の愛情の確認」に移っていきます。この時期の子供は、母親から与えられた父親の情報をもとに、父親に近づいていきます。

 

 

子供なりのスタンスで、母親がくれるのとは違う愛情、父親独自のものの見方や考え方を確かめようとしているのです。子供が父親を求めてきた時に、父親の態度として大切なのは、主導権を子供にとらせ、子供が確認をとりやすい受容的な気持ちで対応することです。

 

 

決して、子供を諭したり、感情的に行動を規制したり強要したりしてはいけません。子供は、父親に自分の意志や気持ちを尊重されることによって、自主性や自発性を身につけていきます。

 

 

こうして、自主性や自発性が育っていくと自分自身を取り戻し、外に出ようという心的エネルギーが湧き上がってきます。子供の父親に対する確認は、母親に対するそれとは異なり、大きな愛に包まれていますが、包容されているかということです。

 

 

感覚や細かい感情の食い違いがあっても子供は気にしません。父親が優しく見守ってくれているという確認が終わったときには、混乱期の四つの柱を乗り越えています。

 

 

混乱期の四つの柱を見てきましたが、四つの柱の確認は、両親の愛情の確認であるとともに、子供の「不安」の解消でもあります。混乱期の「不安」は抽象的な不安です。

 

 

それらのもとは、愛・信頼・不信・傷心などが考えられますが、一人ひとり違いがあって理解しにくいため、対応も難しいでしょう。ですから、この時期の親の対応の基本は「脱判断・脱結論」です。

 

 

親が自分の判断や結論で勝手に対応すると必ず失敗します。何か決めるときには、子供にどうしたいのか、気持ちを聞いたり判断を任せたほうがよい結果を生みます。

 

 

 

ひきこもりの回復期

 

 

 

回復期には、混乱期には抽象的であった「不安」が、具体的な不安へと変化します。具体的な不安は私たちが普段感じる「不安」と質的に変わりがないため対応はしやすいのですが、まだ残っている劣等感などの感情にも配慮した対応が望まれます。

 

 

対応を間違えると、回復期から混乱期に戻ってしまうということもあります。回復期の子供の不安には、具体的に以下のようなものがあります。

 

 

 

回復期の子供の不安の例

 

 

 

①もう一年も勉強していないから、英語や数学がわからなくなっている。どうしようか?

 

 

②体力が落ちてしまい、すぐに疲れてしまう。どうしよう?

 

 

③生活時間がもとに戻らない。どうしたら戻るのか?

 

 

④アルバイトをしようと思うが、どうやって探せばよいのだろうか?

 

 

回復期の子供は以上のような具体的不安をもつと同時に、依然残っている劣等感から以下のような特徴が見られます。

 

 

 

回復期の子供に見られる特徴

 

 

 

①ひきこもりの生活が長かったことによる体験や経験の不足を早く取り戻そうという焦りがあり、背伸びした動きや無理な行動をする

 

 

②心の奥底に残る「劣等感」を他人に見つけられないように、過剰適応をして自己防衛する

 

 

③気の弱さや自信のなさを「自己万能感」により自己暗示をかけ、カバーしようとするため、プライドが高く見える

 

 

これらの特徴は、一見ひきこもりが治ったように見えますが、子供たちはまだ完全に回復したわけではありません。覚えておいていただきたいのは、このような行動の根底にあるのが「劣等感」であるということです。

 

 

子供はこのような行動をとることによって、「否定的な自分」から「肯定的な自分」へと自分自身を変えようとしています。ですからこの時期の子供に対しては「肯定的な自分」を実現できるように、否定より肯定を、批判より認めることを心がけることが大切です。

 

 

子供たちの根底にある劣等感を刺激しないように配慮した対応が望まれます。なお、「過剰適応」や「自己万能感」は、気持ちを自由に話せる雰囲気や関係を保っておくことにより、やがて自分に自信がもてるようになれば、自然となくなっていきます。

 

 

回復期は、家から外へと向かう時期、外の世界の確認時期でもあります。長い間ひきこもっていた子供が、外に出ていき、外の世界を確認し、心理的登校ラインに達するまでの手順を、最も多いケースで見ていきましょう。

 

 

 

回復期における家から外へ、そして登校ラインに達するまで

 

 

 

①目的の異なる人が大勢集まるところ(駅のターミナルビル・繁華街など)に行き、誰も自分のことなどに気をとられていないことで安心する。特別視される存在ではないことによる安心感の獲得。(不特定多数の人の中に出て自己確認)

 

 

②自分と趣味・興味の共通する人が大勢集まるところ(Jリーグ・プロ野球・コンサートなど)に行き、観衆の皆と同一行動をとることにより、大勢の人との一体感の確認。感覚や感情の動きに他人と同一感があることで安心する。(不特定多数の人の中で同一行動の確認)

 

 

③同世代で安心できる人間関係や場所に行き、自分の考え・感情・気持ちを伝え、他人の反応を見てみる。人間関係の消極的交流による関係性の確認。(同世代との消極的行動)

 

 

④③の確認を通して、しだいに自信をつけていく。そして、同世代との積極的行動が増えていく。心理的登校ラインをこの時点で超える。(同世代の積極的活動・人間関係のスキルや距離感の獲得)

 

 

以上のことを通して、子供たちの意識は、陰性感情の強い観念的な世界から、体験・経験的な世界へ変化していきます。このときの子供の内面の成長を見ていくと以下のようになります。

 

 

 

回復期の子供の内面の成長

 

 

 

①対人不安・不信の減少

 

 

②対自不安・不信の減少

 

 

③「観念的」な判断から、「経験・体験的」な判断力へ

 

 

④自分自身の価値観の弾力化

 

 

⑤自己達成感による自己嫌悪感の世界(内的ストレス=自分で作るストレス)からの脱却

 

 

この時期、一番大切なことは、子供の自主性・自発性を育てることです。そのためには、まだまだ自信がもてずに不安の強い状態の子供の黒子になって、支えなければなりません。

 

 

そのためには子供が何をやりたいのか、どうしたいのか、聞き出すことから始めなければなりません。それは高校・大学・予備校・適応教室・フリースクールなどかもしれませんが、コンサート・映画・イベントなどなのかもしれません。

 

 

その次に、子供の要求に応じた、資料集めや情報収集する方法を子供に伝えます。それができる子ならば子供がやれますが、親の全面的な支援がないと動けない子供もいますので、お子さんの状態に合わせた対応や援助をしてあげましょう。

 

 

子供は集めた資料・情報・パンフレットなどを見て、いろいろと検討に入ります。この状態の子供たちは、アンビバレンツな感情があるため、なかなか結論がでません。

 

 

しかし、そんな時、結論がでるまで親は辛抱強く待つことが大切です。親や他人に頼らずに、自分で判断する力がこんな時にできてくるのです。結論が出ると子供は、実際に見学に行こうとします。

 

 

子供の状態によって、一人で行けたり、親に一緒に行ってほしいと言う場合があります。そんなときは、子供の気持ちに添って対応してあげてください。

 

 

外出して帰ってきたら、親のほうから「どうだった」と聞かずに、子供が話すまで待ちましょう。話を始めたら、傾聴の気持ちが大切です。判断を求められた時、親としての意見を言いましょう。

 

 

大切なことは、お母さん(お父さん)は「こう思うな」ということを付け加えましょう。決して、こう考えるべきだという強制はしないでください。

 

 

反社会的な犯罪行為以外は見守ることが大切です。また、経時的に不可能な場合は「出してあげたいけれども、今の家の経済事情では無理だわ、ごめん」と断ることも大切です。

 

 

 

 

 

 



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