精神障害とひきこもり~統合失調症・アパシー・回避性パーソナリティ障害~
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精神障害とひきこもり~統合失調症・アパシー・回避性パーソナリティ障害~

2020年08月13日(木)4:27 PM

 

 

以前、このブログで、「ひきこもりは思春期不安に云々」と述べましたが、統合失調症や躁うつ病も、多くはこの時期に発病します。ひきこもりからこれらの精神障害になる場合もありますが、少数であり、むしろ人間関係拒否としての心理的なひきこもりが大多数です。

 

 

精神障害とは早期発見・早期対応が望ましいものです。そこで個々のケースが心理的なひきこもりか否かの見極めが、まず必要になります。そして、どのようにそれを行うかが大切なポイントでしょう。

 

 

統合失調症との線引きを行う場合は幻覚・幻聴・妄想を伴う急性型、よりも穏やかに進行する破瓜型との区別が重要です。この破瓜型は知らない間に症状が現れてくる潜在性のもので、多くは思春期に発病します。

 

 

症状としては、気分の変化が激しい、理由なくニヤニヤしたり叫んだりする、服装がだんだんだらしなくなる、思考内容が奇怪で不統一、などがあげられます。

 

 

このような症状が見られる場合は早めに、信頼できる精神科医を尋ねることをお勧めします。次に、統合失調症とはどのようなものか、一般的な定義を見てみましょう。

 

 

アメリカの精神医学会作成「精神障害の診断と分類のための手引き」による定義

 

 

〇感情の平板化

 

 

〇著しい社会的孤立またはひきこもり

 

 

〇年齢不相応な社会的未発達

 

 

〇機能の顕著な障害

 

 

〇身辺の清潔とみだしなみの顕著な障害

 

 

〇会話の貧困および内容の貧困

 

 

〇自発性・興味・気力の著しい欠如

 

 

ここで問題なのが、長期間のひきこもりの子供は、上記の定義にほとんど当てはまる場合が非常に多い、ということです。たとえば判断の目安として「妄想」をあてはめてみましょう。

 

 

彼らも時々妄想感に悩まされるのですが、そんな時に、「自分は統合失調症なのでは」と思い込んでしまうケースがよくあります。本人すら疑わしく思っている状態です。

 

 

これを親や周囲がどう判断するか、「推して知るべし」と言えるでしょう。これは私見ですが、統合失調症との見極めには二つのポイントがあります。一つは「ほかの症状がないか」です。

 

 

先の例でいうと「妄想」以外に幻覚や幻聴があるかどうかということです。同時に複数の症状が顕著な場合は、早めに専門医に相談すべきでしょう。

 

 

もう一つは「共感できるか」です。その人がどうしてそのような妄想を抱いたのか、話の道筋や展開・因果関係などが本人の過去の体験と照らし合わせてみて、心情に共感できる箇所が多ければ問題は少ないでしょう。

 

 

統合失調症であれば、「妄想」は本人の過去の体験と何らのつながりもなく一つ一つの話が唐突で、関連性が希薄なものだからです。そのためどうしてそのような気持ちになるのか、共感できないことが多いのです。

 

 

さらに対応していくなかでいろいろなことを共有化でき、情緒的な交流が進められる場合は、統合失調症よりも心理的なひきこもりの可能性が高いと考えられるでしょう。

 

 

ひきこもりの人が経験する症状、あるいはそれに対する診断としてつきやすいものは統合失調症だけではありません。神経症を含め、さまざまなものがあります。ここでは比較的発生しやすいものを二つほど紹介します。

 

 

 

アパシー(退却神経症)

 

 

 

これが最近増加しているタイプです。一見したところ、ごく普通に生活しているのですが、「学校へ行く・仕事をするといった本業をしない」のが主な特徴です。

 

 

従来は大学生相当年齢の男子が中心でしたが、最近は低年齢化傾向にあり、中学生くらいまでこの症状が進んでいます。彼らは一般的なイメージの「ひきこもり」には見えません。

 

 

家の中だけの生活ではなく、自分のやりたい遊びなどを、外出して自由にすることができます。人間関係も表面的であれば、普通に築くことができます。

 

 

しかし、それが複雑になったり、責任が生じると退却してしまうのです。たとえば、アルバイトとして仕事をします。その仕事ぶりを認められ、社員や責任者にならないかと声をかけられたとします。

 

 

すると、そこでアルバイト自体を辞めてしまいます。これを幾度も繰り返すというのが典型といえます。アパシーの心理や行動を以下にまとめてみました。

 

 

〇無気力・無関心・無感動。目標や進路などアイデンティティーの不確定からくる「生きがい」の喪失感。

 

 

〇不安・焦り・抑うつ・苦悶・後悔などの葛藤や苦痛感が薄い。そのため自分から治療やカウンセリングを受けることを望むことがないので長期化する。

 

 

〇対人関係に敏感。叱られたり、拒まれたりするとひどく傷つく。これを避けるために確実に受け入れられる場所以外には、無意識のうちに近づかなくなる。

 

 

〇激しい行動としての暴力や自殺企図などはない。

 

 

〇長期にわたり同じ状態が続く。大きな変化が見られなくなり、問題点がますます見えなくなる。

 

 

 

回避性パーソナリティ障害

 

 

 

心因性の精神障害です。さまざまな回避行動をとり、なかなか社会適応ができないタイプです。先に参照したアメリカの精神障害の診断と分類の手引きの診断基準を引用してみましょう。

 

 

社会的制止・不適切感および否定的評価に対する過敏性の広範な様式、成人期早期に始まり、種々の症状で明らかになります。以下のうち4項目以上該当します。

 

 

〇批判・否認、または拒絶に対する恐怖のために、重要な対人接触のある職業的活動を避ける。

 

 

〇「好かれている」と確信できなければ、人との関係をもとうとしない。

 

 

〇「恥をかかされる」または「馬鹿にされる」ことを極度に恐れるので、親密な関係でも遠慮を示す。

 

 

〇社会的状況では、批判されること・拒絶されることに心がとらわれる。

 

 

〇不適切感のため、新しい対人関係状況で制止が起こる。

 

 

〇自分は社会的に不適切で、長所がない、他人より劣っていると思い込む。

 

 

〇恥ずかしいことになるかもしれない、という理由から、個人的な危険をおかすことや新しい活動に取り組むことに、異常に消極的。

 

 

ご存じのとおり、アメリカは、積極的に自己主張をしないと、否定されたり自分の存在感が不透明になってしまう社会です。ですからこの診断基準をそのまま日本人に当てはめてみると、大多数の人がいくつかの項目にひっかかるかもしれません。

 

 

ひきこもりの人はなおさらです。そこで、ひきこもりを回避性パーソナリティ障害と診断し、プログラム通りの治療を行う、この有効性についてははなはだしく疑問に感じます。

 

 

ひきこもりかどうかの判別は、ほかの病気のような生理学や病理学調査ではなく、診断基準による場合は判断が難しいのです。ひきこもりを考える場合には、日本人としての国民性、あるいは単一民族として長く島国に暮らしてきたことによる民族性、これらをも加味して考慮すべきでしょう。

 

 

ひきこもり・不登校は本人や家族にとっても大変な問題です。同時に、今や大きな社会問題として認識しなくてはなりません。

 

 

 



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