思春期の子育て相談~父親を避けるようになった息子~
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思春期の子育て相談~父親を避けるようになった息子~

2020年07月29日(水)3:27 午後

 

 

Q父親はとても育児に積極的な人です。母親に任せきりにするのではなく、常に子どもに関心を寄せてきました。子どもも母親以上に父親を信頼していたように見受けられていました。ところがその父親を、子どもが避けるようになったのです。今までと接し方をかえたわけではないのにと、父親も戸惑い気味です。何か親に隠し事でもあるのかとの心配もついしてしまいます。

 

 

A一般的に言われている「親離れ」という現象がこのケースです。中学2年から3年の頃になると、子どもたちの中に自我が芽生えてきます。自分自身で生き方や考え方のプロセスを模索しているのですから、当然そこには他者とのぶつかりあいが出てきます。それまでは親や先生の言うことがすべてでした。親がこうしなさいと言えば、何の疑いもなく、全面的に信用して従っていました。

 

 

それは大人の側からすれば、とても素直に見えるものでしょう。しかしこれは素直というものとはまた別のものです。自分で判断することができない、何をしてよいのかが分からないために、ただ親の言うことを聞くしか術がないのです。無防備で信じるしかないのです。ところが思春期に入って自我が芽生えてくると、大人の言葉を鵜呑みにすることに抵抗を感じ始めるのです。

 

 

父親の考え方は本当に正しいのだろうか、母親はああ言っているけど、わたしは違うと思う、そういった疑問がわいてくるものです。そんな時期に、相変わらず押しつけがましいことを親が言えば、子どもが反発するのは当然のことでしょう。情熱も謙虚さを忘れると押しの強さになります。特に父親はえてして、「決めつけるような」物言いをする傾向があります。「そんなことをしていては一人前にはなれないぞ」「その考え方は絶対に間違っている」などです。あくまでも父親が全面的に正しいという前提で子どもに話をしてしまいます。

 

 

この決めつけが子どもの心に反発を抱かせ、自我の確立の妨げになっていくのです。世の中にはいろんな考え方や価値観があります。もちろん、それぞれの人がいろんな考え方をもっているからこそ、世の中は面白いとも言えます。では、自分はどういう価値観を形成していくのか、どんな考え方が自分には合っているのか、それを探しているのがこの時期なのです。Aという考え方がよいと思ってやってみたけれど、なかなかうまくいかなかった。では次にBという考え方で行動してみよう。

 

 

子どもたちは迷ったり失敗したりしながら、自分なりの価値観を作っていくのです。なのに「Aが正しいんだ」と父親に押しつけられると、なぜ正しいのかがわからないままに生きていくことになります。言い換えれば、自分というものがないままに生きていかなければならないのです。これはとても危険なことですし、本当の自信も生まれてはきません。第一、親が言う「一人前」とはどういうことなのでしょう。生き方に正解や間違いがあるのでしょうか。

 

 

それは結局、親が生きてきた一つの経験則でしかありません。例えば、高度経済成長時代の価値観と、現代の価値観がピッタリと一致するとは到底思えません。これからの時代を生きていくのは子どもたち本人です。子どもたち自身が考えなければ人生は乗り越えていけないでしょう。子どもたちは必ず父親の意見を聞きたがるものです。それは父親が社会と直接つながっているからです。父親という窓を通して社会を見て、自分の考え方を修正しようとします。そのプロセスをよく見つめてあげてください。

 

 

子どもが何かを聞いてくれば、「お父さんはこう思うよ」とヒントを出してあげましょう。それはあくまでもヒントであって、答えを出してはいけません。答えを押しつけるのではなく、考える時間を十分にあたえることが大切です。会社と家庭を混同してしまうことは避けましょう。おそらく会社の中では、部下に対して決めつけた言い方をしているのでしょう。「君のやり方ではダメだ。俺の方法でやってみろ」と。それに対して多くの部下は「はい」と素直に従うでしょう。

 

 

しかしそれは、会社という組織の中だから通用することなのです。たいてい部下は上司に従いますから。それは会社のルールであり、またルールがないと会社はうまく機能しないものです。しかし会社のルールを家庭に持ち込んではいけません。子どもたちは父親の部下ではないし、妻は秘書ではありません。まるで部下を叱るように子どもや妻を叱る父親がいますが、これほどの勘違いはありません。「うちの食卓は、お父さんがいるとたちまち会議室になってしまうんです」と言った男の子がいました。

 

 

楽しいはずの食卓を、どうして会議室にしてしまうのでしょうか。こうなれば子どもが父親を避けるのも当然のことです。子どもは父親の声を聞きたがっています。父親が迷ったり失敗したときの話を聞きたいのです。答えを求めているのではありません。答えにたどり着けるようなヒントを求めているのです。楽しいはずの食卓を、いつのまにか会議室にしていないか考えてみましょう。子どもを部下といっしょにしていないか考えてみましょう。そしてお父さんが中学生の頃、同じように父親をけむたく思ったときのことを思い出してみましょう。



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