母親との関係不全と不登校・ひきこもり
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母親との関係不全と不登校・ひきこもり

2020年07月07日(火)4:10 PM

 

 

関東自立就労支援センターに相談に来る人の多くが「母には感情がない」と言います。私の体験では、母親に感情表現がない場合、子供は母親になつけず、親との絆がうまく作れません。具体的な例を見てみましょう。

 

「事例・24歳・男性」

 

核家族の長男。国立大学在学中にひきこもりを始めて、5年間のひきこもり生活を送る。妹は高校2年、不登校はない。父は公務員で、母は専業主婦。

 

本人は、小中高校と成績優秀、学校時代に2~3日の不登校が何度かあったが、大学まで大きな問題はなかった。本人はなぜひきこもるのか自分でもわからなかったが、2年間にわたる面接で、幼児期に母親との感情的なつながりが欠けていたいたことが判明した。

 

感情の乏しい母親は、どこか心を閉ざしており、相談者の男性は幼児期に母親になつけなかった。子供の頃、母親に抱かれたとき、気持ち悪いと感じたことが何度もあった。

 

父親とも疎遠であったため、自分の気持ちを伝える相手がおらず、幼児期に「良い子」になった。しかし、大学の自由な生活で、自分を冷静に見つめるようになり、やがて感情的に消耗してひきこもり始めた。

 

母親の感情の欠落は、「母性の欠落」につながります。外からみると、母親は子供をよく世話もしますが、しかし、子供は感情的なつながりがなく、母親といても安心できずに緊張しています。

 

母親に抱かれたときに「怖かった」と言う相談者がいますが、物理的には母親が存在するけれども、子供が母親になつかなかったケースです。母親になつけない子供は、当然のことですが心理的な孤児になります。以下は、32歳の男性の相談者のコメントです。

 

母の心の奥には固い殻のようなものがあって、母の側ではいつも緊張していた。母はいつも目を見なかった。母に抱かれたときに、体が緊張したのを今でも覚えている。

 

母は確かにそこにいたが、何を考えているのか分からない不気味さがあった。結局、自分は母親が何なのかが分かっていない。母親は子供に何をしてくれるのか、母親といると子供はどんな気持ちになるのか、自分にはまったく分かっていない。自分には母親がいなかったのだ。(32歳・男性)

 

なぜ、母親に感情がないのでしょうか。それには様々な原因があります。愛していない男の子供を産んだために子供を愛せない母親、夫婦関係が冷め切っている、姑、親戚のいじめのなかで心を閉ざしてしまった母親、母親自身が感情マヒした潜在的ひきこもりなど、どれが原因なのかは、なかなか特定できません。

 

よく聞くケースは、最初は感情豊かな母親だったが、コミュニケーションできない夫と暮らすうちに母親が感情マヒするケースです。いずれにせよ、面接や支援の現場では、子供が感情のない母親になつけないケースをよく見かけます。

 

一つはっきりいえるのは、家制度のために個人の感情を否定してきた日本の文化が「感情のない母親」を生み出すことに関係していることです。ひきこもりを理解するには、個人の感情を否定する文化、個人よりも家を大切にする日本の歴史を幅広く見る必要があります。

 

母親が感情を失うような社会状況を改善しない限り、ひきこもりは今後もっと増えていくでしょう。日本文化は個人の感情を否定すると述べましたが、家庭のなかで支配的な立場の祖父母が母親と子供の感情を否定するケースがあります。

 

アタッチメント・トラウマ(親との絆が切れること)は、祖母が孫を独占したり、祖父が孫の将来を勝手に決めたりする伝統的家庭でよく発生します。



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