ひきこもりの「空間的特徴」と期間について
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ひきこもりの「空間的特徴」と期間について

2020年06月29日(月)1:33 PM

どこからどの程度、空間的にひきこもるのかについては、ひきこもりの数だけ異なっています。したがって、ひきこもりすべてに共通するものはありません。しかし、ひきこもり独特の、あるいはひきこもりに特有だと思われるひきこもりの空間的特徴は見出せると考えられます。

 

まず、ひきこもりのひきこもった状態と、統合失調症の「自閉」との相違が、ひきこもりの状態を最も端的に説明していると考えられるので、その相違について述べたいと思います。統合失調症の自閉はすべての対人関係からの撤退であり、自らの病的世界に浸っています。

 

そして、統合失調症の当事者の対人関係は必ず本人の病的世界を通して築かれており、しかもその世界は本人にとってとてもつらい世界であるために、病的世界にひきこもっているほうが、本人は安住できるのです。

 

たとえ、親しい人、親や兄弟などでさえも本人にとっては本人の世界を脅かす存在になっていて、そのためにすべての対人関係から撤退してしまうのです。それに対して、ひきこもり状態はあくまでも限定的です。ただ限定的とはいっても、その状態は各人で異なっています。

 

完全に社会から撤退して家族のみと対話をする人、家族とさえも対話がない人、それでもインターネットだけは参加している人、インターネットでもただ読んでいるだけの人、チャットにも参加している人、ある程度の社会参加をする人、たとえば、ひきこもっていても、あるケースではインターネットので知り合った仲間のオフ会に出席し、また別のケースでは、釣り仲間の集まりには出かけていました。

 

このように違いはあるものの、彼らの限定的な対人関係において、統合失調症のような病的な世界は介在していません。統合失調症の人が「世界が自分自身にとって脅威である」と感じているのに対して、ひきこもりの人は「どうして自分がこのような状態になってしまったのかわからない」という感じを抱いています。

 

もっとも多いひきこもりの空間は家族のみとの対人関係を持ち、インターネットのひきこもりのサイトを読み、チャットには参加せず、外出は本屋と自分が食べたいものを買いに、夜中にコンビ二に出かけるだけというのが典型的なひきこもりのパターンだと考えられます。

 

ひきこもりの人にとって外の世界は、「自分が理解されない場所」であると感じていて、「世界が自分に追いついてこない」と解釈していることさえあります。

 

ひきこもりのひきこもる期間については、いまだ統計的な数字は出ていません。というのも、ひきこもりという概念が報告されるようになったのは1995年以降のことが多く、まだ、ひきこもりの長期予後は出ていません。わたし自身はおおむね6ヶ月以上、自宅にひきこもっていればひきこもりということができると考えています。

 

ここで6ヶ月としたのは、わたしが関わったひきこもりの人たちの多くが、ひきこもりが6ヶ月を超えたあたりから、自分はこのまま一生ひきこもって外に出られなくなるのではないかという危惧を抱くようになっているからです。

 

6ヶ月以内にはこのような心配は漠然としたままのことが多いと思われるため、いちおう6ヶ月が一つの目安と考えています。また、どれくらいの期間ひきこもるかについては、多くのひきこもりの人が3年以上引きこもっています。

 

長年、ひきこもりやニート等の支援をしてきたわたしの感覚としては、3年から少なくとも5年以内にはひきこもりからの脱出を図るべきであると考えています。

 

その理由としては、以前ならば十年一昔といったように、一つのサイクルが10年単位であったのが、現代の価値観が流動的な時代では、五年が一つのめどであり、五年を超えると社会の価値観が変化して、社会への適応がより困難になると考えられるからです。

 

わたしが関わったひきこもりの人も、すべて三年から五年以内にアルバイトをはじめたり、専門学校へ入学したりしています。ただ、現在すでに五年を超えてひきこもっている人もあわてる必要はありません。

 

家族、医師、心理士、ソーシャルワーカーとの共同作業によって、今の自分を徐々に変えていけばいいのです。すぐには変わらないかもしれませんが、必ず生活に変化は訪れます。問題を一人で解決しようとせずに、周囲の信頼できる人たちに少しずつでいいから自分の問題を相談してみましょう。

 

一人で考えているよりもきっといいアイデアが浮かぶはずです。もちろん、若いうちにひきこもりから脱出できることにこしたことはないのですが、三十代あるいは四十代になったとしても、あきらめる必要はまったくありません。

 

確かに自分が若い頃に思い描いていた生活を達成することは難しいかもしれませんが、少なくとも自分の生活を楽しむ余裕が生まれるまでになることは可能です。

 

ひきこもりのつらさ、不自由さを克服して、ふつうの人には経験することができないひきこもりの体験を生かして、ひきこもりの自分とは異なる「自由な自分自身」に生まれ変われるのです。



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