ひきこもりの昼夜逆転と家庭内暴力
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ひきこもりの昼夜逆転と家庭内暴力

2020年06月18日(木)11:16 AM

みなさんの多くが、昼夜逆転を体験したことがあるのではないでしょうか。夏休みなどの長い休暇のあいだ、なにもせずにいると徐々に夜眠るのが遅くなり、朝方に寝て、昼ころに起きるという生活になったことがあるのではないでしょうか。このように、とくに何もせずに家にいると、自然に昼夜逆転の生活になっていきます。したがって、ひきこもりの人が昼夜外出もあまりせずに、テレビ、読書、ゲームなどをして日中過ごしていると、多くの人と同じようにしだいに昼夜逆転になっていきます。

 

多くの人は昼夜逆転になっていても、休みが明けて学校や会社に戻って、再び昼間は緊張した状態で過ごすようになると、夜は疲れて体もリラックスしてよく眠れるようになるというのが一般的です。しかし、ひきこもりの人は緊張状態に置かれることが彼らにとっては非常な苦痛を伴うために、日中外出することはほとんどありません。その結果、彼らのほとんどは昼夜逆転へと至っていくのです。さらに、ひきこもりの人にとって、ひきこもっていることが不本意であり、世界からとり残されていくような不安を感じているために、ふつうの人が日中は活動をしているという現実を受け入れがたく、なにもせずにその現実を目のあたりにし続けることはできないのです。

 

このような心理的要因によっても、ひきこもりの人の昼夜逆転は助長されていると考えられます。ひきこもりの人のほとんどが昼夜逆転になっており、明け方に就寝して、昼ころに起床するという生活になっています。


 

 

ひきこもりの家庭内暴力について


 

 

家庭内暴力はひきこもりの人の約半数に見られ、かなり高率であることが確認されています。ただ、家庭内に見られる暴力行為が家庭外で見られることはまずありません。彼らの現状は彼らにとって容認できないし、つらい体験を日々しているので満たされないフラストレーションがたまっていて、それが家族、特に母親に向かって家庭内暴力になっていると考えられます。しかし、外の世界は彼らにとっては脅威に満ちているので、外の世界に向かって暴力が出現することは原理的にありえないわけです。ここで家庭内暴力の典型的なケースを紹介したいと思います。

 

A君は、現在25歳の男性です。高校卒業後、地元のスーパーに勤務しましたが、上司に叱責されたことをきっかけに朝起きられなくなり、仕事にたびたび遅刻するようになりました。度重なる遅刻に再び上司に注意され、それ以後、仕事に行くことができなくなり、1年半ほどで退職しました。現在まで約6年間自宅にひきこもっています。23歳のときに、半年ほど地元のクリニックで心理士によるカウンセリングを受けていましたが、現在、本人は通院しておらず、両親が関東自立就労支援センターに週1回来られ、ときどきはひきこもりの親の会に出席しています。

 

クリニックでカウンセリングを受けていたときは、定期的にカウンセリングに行っていて、1回1時間の面接を受けていました。面接では、自分自身の将来の不安、両親の育て方のこと、社会に出られない焦りなどを話していました。自分と同じようなひきこもりの人と話してみたいという希望も持っていましたが、最後はこんな面接を受けていても何も変わらない、時間の無駄だといって面接は中断してしまいました。中断後、1年間クリニックには行っていません。カウンセリングを受けている期間にも、焦燥感が非常に強く、クリニックの診察室でも常に緊張感を漂わせていたようです。

 

自宅では毎日ではないもののお風呂の床を蹴飛ばしたり大声をあげたり、食器棚のガラスをすべて割ったり、気に入らない食事をすべてゴミ箱に投げ捨てたりなどの行動が目立ちました。そして、ある日、包丁を持って母親に切りつけようとして、止めに入った父親を殴り倒し、家に立てこもることがありました。家族は警察に通報しましたが、警官は来たものの様子を見てくださいということで、A君がそれ以上暴れなかったため、結局警察はすぐに帰り、両親は親戚の家に泊まることになりました。

 

その後の1ヶ月くらいは少し落ち着いていましたが、再びイライラして大声をあげたり、両親に早く死ねと手紙を書いたり、あいかわらず食器やドアやふすまを壊したり、自分の欲しいものを無理やり親に買いに行かせ、意にそぐわないとその品物を捨てたりなどの行為が続いています。よく母親を殴るため、母親は実家に1ヶ月ほど避難していました。その間は再び落ち着いていましたが、また暴力が始まり、同じ状態が現在まで繰り返されています。

 

A君のようなケースが、典型的なひきこもりの人の家庭内暴力と考えられます。自宅で器物を破壊し、大声をあげ、両親に暴力を振るい、母親を自分の意のままに使おうとします。しかし、ひきこもりの人の暴力が外の世界の人に及ぶことはありません。彼らは悲しみを抱えたまま、暴力という手段を行使してしまうのです。A君もそうですが、ひきこもりの人は幼少時にはおとなしくて手がかからず、反抗期さえもない人が多く、親としてはそんな子供がひきこもりになって、さらに家庭内暴力にまで発展したことに嘆き悲しみ、ただぼうぜんとするだけのことも多く見られます。しかし、これではなんの前進もないし、ひきこもり本人や家族にとって将来への展望も得られません。ですから、このような慢性的な暴力行為がおこなわれるようになったら、家族だけで何とかしようとはせず、信頼できる親戚等の第三者に協力を依頼しましょう。



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