対人恐怖とひきこもり
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対人恐怖とひきこもり

2020年06月12日(金)11:18 AM

ひきこもりの人は、集団の論理で動き、善悪に関心がなく、人間らしい感情に乏しい人間を怖がる傾向があります。良心のない人間が集団の論理で動くと、何をするのかわからない危険があります。ひきこもりの人が他人を怖がる理由はそこにあります。何を考えているのか分からない人間のウラに隠された「人間の不気味さ」を怖がるのです。

 

太宰治は次のように書いています。「自分は怒っている人間の顔に、獅子よりも鰐(ワニ)よりも竜よりも、もっとおそろしい動物の本性を見るのです。ふだんは、その本性をかくしているようですけれども、何かの機会に、たとえば、牛が草原でおっとりした形で寝ていて、突如、尻尾でピシッと腹の虻(あぶ)を打ち殺すみたいに、不意に人間のおそろしい正体を、怒りに依って暴露する様子を見て、自分はいつも髪の逆立つほどの戦慄を覚え、この本性もまた人間が生きて行く資格の一つなのかも知れないと思えば、ほとんど自分に絶望を感じるのでした。(『人間失格』新潮文庫版)

 

太宰治は、今で言うひきこもりだったといっていいでしょう。子どもの頃から親を怖がり、誰にも本音を言わず、周りを笑わせる表人格を作ってその場しのぎをして、表面的な人間関係だけで生きてきました。太宰治が恐れたのは、何を考えているのかわからない人たちでした。そんな太宰は、人間関係に絶望して自殺しました。ひきこもりは感情表現豊かな外国人を怖がらない傾向があります。

 

ある24歳の女性のひきこもりの人はアメリカに行くと、ひきこもりの症状が消えます。彼女の話では、アメリカ人が感情表現を当たり前にするので、自分も本音を言えるようになるそうです。心から自分の思いを吐き出すことができたとき、人を恐れる気持ちが消えるのです。また、わたしの知り合いに、ひきこもりを取材しているジャーナリストがいます。

 

彼はひきこもり数名とフィリピンやタイを旅行したことがあります。彼の話によると、ひきこもりの若者は感情表現豊かなアジア人の間に入ると対人恐怖が消える場合があるそうです。フィリピンに旅行したひきこもりの若者は緊張感がなくなり、一人で自転車に乗ってマニラ市内に遊びに出かけたそうです。また、別の若者はタイに行くと対人恐怖が消えたそうです。しかし、そんなひきこもりの若者も日本に戻ると再び対人恐怖が戻ってしまうのです。

 

ひきこもりの人たちは、表人格で生きていて、本当は何を考えているのかわからない日本人を怖がっているのではないかと思うことがあります。対人恐怖は「対日本人恐怖」の可能性があります。

 

日本にいると気づかないでしょうが、わたしの友人が住んでいるカリフォルニアでは、日本を脱出した若い日本人たちがたくさんいます。彼らは学生だったり、仕事をしたりしていますが、共通するのは「日本はどこかおかしい」という認識です。これからの時代、こうした若者たちが「新しい日本」を作っていくのではないかと思うときがあります。



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