家族を威嚇する高校生とペット
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家族を威嚇する高校生とペット

2020年05月18日(月)9:45 AM

A君は普段、家族を威嚇している高校一年生の少年です。中でも母親は、おびえていると言っても過言ではありません。初回面接のこの日、A君は家族に同行しませんでした。「俺は行かないからな!」と言って外出してしまったそうです。




そんないきさつで、両親と弟の三人と面接をしている最中のことです。A君から相談所に電話がかかってきました。いつもは面接中に電話を取り次いだりしません。しかしこの場合は、欠席した本人からなので出ました。




すると、遅くなったけれども近くまで来ているから今から行くと言うのです。面接なんか行かないと言ったものの、自分のことがどんなふうに話されているのか気になってやって来たのだと思いました。そこで家族に、「今から行くから待っててくれとA君からの伝言です」と伝えました。




そのとたん、母親がうろたえ始めました。新たにもう一脚椅子を持ってきて、「彼が来たらどこに座らせますか?この椅子を置いてください」と言いますと、母親は椅子を持ってバタバタ、ソワソワし始めました。




そして、「隣に座ると叩かれるし、向かいに座ると睨まれるし・・・・」と少しパニック状態になってしまいました。今から現れるわが子に対する母親の振る舞いとは思えず、少しわたしも心配になってきました。




やがてA君が現れました。態度はまったく母親の言ったとおり、高圧的で命令口調のものでした。「ボケボケするな!」「しっかりしろ!」「いらんことを言うな!」



この様子から、家庭内での様子が手に取るようにわかりました。父親は軽い身体障害と持病のある人で、母親のうろたえや訴えに、いやそうな表情で反応するだけでした。




初期数回の面接は、彼が来たり来なかったりで、その都度こんなふうに雰囲気はころころ変わりました。A君は痩せ型の背の高い少年でした。成績のほうはあまりよくなかったので、受験の結果、第三志望の高校に入学しました。




高校入学後、強くなりたいと思って、自分の意思で空手部に所属しました。しかしそこでは上級生だけでなく、同級生からもいじめにあっていたようです。




上手に避ければと思うのですが、むしろ自らそういうところに追い込まれていっているようでした。何度目かの面接でのことです。母親が、「Aが犬を拾ってきて、飼いはじめたんです!」と嬉しそうに話し始めました。




いつもの話しぶりとの違いにわたしは面食らいました。「突然拾ってきて、家で飼うといって自分の部屋に置いているんです。でもあの子が学校へ行っている昼間、部屋に閉じ込めておくのもかわいそうだし、鳴くので出してやるんです。




家族が増えるといいですねえ。エースという名前をつけて、よく世話をしています。はじめはあの子が生き物の世話なんかするのかなと思いましたが、口に似合わず可愛がっています」と、まるで孫でも出来たようなはしゃぎぶりです。




犬の世話についての具体的な話の様子から、A君と母親のコミュニケーションがずいぶん良くなっている感じがしました。さらにA君のことでいいなあと思ったことがあるので、ペットとは関係ないのですが、書いておきたいことがあります。




三ヶ月ほど後のことです。母親が、「高校野球はお好きですか?」と聞いてきたことがあります。突然なんだろうと思いました。この母親と高校野球、意外な組み合わせでした。聞いてみると話はこうでした。




A君が甲子園球場の売店にアルバイトに行っているのです。真夏のアルプススタンドで、かち割り氷や飲み物を抱えた息子ががんばっている様子が、ひょっとして一瞬でもテレビ画面に映るのではないかと思って、一日中高校野球の中継を見ているというのです。




甲子園に出場して活躍する息子の応援に駆けつける親もたくさんいるでしょう。しかしこういう甲子園もあるのだなあと思うと、ちょっと胸が熱くなりました。ペットに話を戻します。新しいメンバーの加入によってチーム全体が影響を受けるのは、スポーツではよく見られる現象です。




昨年まで成績がふるわなかった球団が一人の新加入者によって大きく変わって優勝争いをする、プロ野球やJリーグ等ではよくありそうなことです。このようなことは、家族にも同様のことが起こります。ペットではありませんが、子供が生まれるのがいちばん顕著な変化要因でしょう。




もっともその変化は振り返ったときに初めて気がつくことで、そんなことを期待して子供を産んだりするわけではありません。こうは書きましたが、関係の転換を期待して子供を産んだと語る母親に会ったこともあります。




特に意識せずに飼いはじめた動物が、やがてはなくてはならない家族の一員になっていきます。ですから死んだり病気になったときにはたいへんです。犬や猫は好きだけれども死んだ時がたまらないから、二度と飼わないと言う人もいます。




家畜は利用目的があって飼育されますが、ペットはそうではないといいます。しかしここで述べた家族とペットのことを考えると、本当はかなり大きな精神的意味を担って、家族に迎えられている面があるように思います。



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