いじめ体験~中学三年女子生徒のケース~
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いじめ体験~中学三年女子生徒のケース~

2020年05月16日(土)11:15 AM

いじめについて何かを語ったり、書いたりすることは気がすすみません。遺書を残して自殺した子供たちがいるという事実が、何か言うことをためらわせます。




しかし一方で、たとえ全体に言及できなくても、わたしが実際に知ったことの中から書いておかなくてはならないことがあるようにも思います。




『自分がいじめられているのはすごく恥ずかしいことで、絶対に親に知られたくないと思っていました。そして、自分がいじめられている情けない子だとは思われたくなかったです。




でも一方で、心のどこかでは誰かに助けてほしい、わかってもらいたいと思っていたと思います。




苦しくなればなるほど、絶対負けたくない気持ちになっていきました。学校を休んでしまえば負けだと思って、絶対に学校は休みませんでした。




それが唯一の抵抗でした。』これは中学時代にいじめにあったことのある大学生が、あるきっかけでその時の気持ちを振り返って文章にしたものの一部です。




『七~八年も経っているのに、今でも夢に見ることがある』こんな書き出しで始まる息の詰まるような文章です。でも彼は自殺はしませんでした。強かったのかもしれませんし、死なずにすんだ理由がほかにあったのかもしれません。




相談に乗りながら、気持ちがどんどん滅入ってくるのを抑えきれませんでした。中学三年生のS子さんは、学校に行ったり行かなかったりを繰り返している女の子でした。




あまりこの頃は見かけない、りんごのように赤いほっぺたをして、無表情な細い目でいじめの状況を淡々と話します。




「たまに学校へ行くと、帰り道に男子の悪い子たちが待ち伏せしています。雨が降っているときには、泥や石をいっぱいわたしにぶつけてきます。




傘で防いでも、カバンも制服もどろどろになってしまいます。でもわたしは一切無視します。何も言ってやらないし、泣いたりもしません。バカなガキなんか相手にしてやりません。




家に着くと家族に見つからないように、裏口に回って泥を拭きます。親にも先生にも絶対に言いません。そもそも言ってもらいたくありません。あと半年もすれば卒業なのだから・・・・」




なぜそんなに誰も頼りにしないのと聞いてみたくなりました。でも同時に、何となく分からないこともないと思っていました。S子さんが級友たちに与えているであろう印象も想像がつきました。彼女をかばう気になりにくいのです。




彼女自身もそのことに気づいていました。完全に悪循環です。人との付き合いにおいて、印象という表面的要素はバカにできません。




S子さんの無表情な愛想のなさが、心理的ないじめや悪質な攻撃を増幅させているだろうなと思いました。間違えないでほしいのですが、彼女の側にも問題があったなどと言っているのではありません。




このような現実が作り上げられてしまっていると思ったのです。S子さんは面接に何度も来ました。




でも心を開いている感じがしたわけではありません。彼女の、あと半年の辛抱だから何もしてほしくないという主張をのんで、不登校の相談としてわたしはただ話を聞き続けただけでした。




しかしその話の内容は、独断的で、被害者の立場からの悪意に満ちたものでした。思わず、そんな受け止めかたをしたら、それが態度に表れて余計にやられるんじゃないか?と言いたくなったことも少なくありません。




でもいじめられている人の、そういう心の中の悪循環を批判してもしかたありません。この時に考えていたのは、S子さんの今までの固定的悪循環にわたしが入り込むことで、何かが少しは違ってくるかもしれないという期待でした。




結局わたしは、家族への積極的な働きかけもしませんでした。S子さんがそれを望んでいませんでしたし、両親の言動に対しても彼女の中に被害者意識があったからです。




卒業までの半年間にはいろいろなことがありました。でも、高校に進学してからのS子さんのがんばりを聞くと、わたしとの面接が何がしかの意味を持ったのかとも思いました。



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