手のかからない子どもがひきこもり・ニートになる
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手のかからない子どもがひきこもり・ニートになる

2020年05月12日(火)5:32 AM

関東自立就労支援センターに相談に来る親御さんがよく言うせりふに「昔はこの子は手がかからない良い子だった」という言葉があります。




ひきこもり事例の両親から話を聞いていると、しばしばこの常套句に出くわします。この種の表現は、たとえが悪いかもしれませんが、何かの事件の犯人の近隣住民が、インタビュー場面で口にする「とてもそんなことをするような人には見えなかった」といった言葉と同程度には紋切り型です。




子育ては常に物語性を帯びています。ここで言う「よい子」とは、しばしば「記憶の中の良い子」イメージです。




記憶はしばしば事後的に加工され、はなはだしきは捏造されます。成功者の母親は、しばしば過去の問題について語るでしょう。




「昔はさんざん苦労させられたけれど、今は立派になって・・・・」と。ここには成長という物語があって主役ははれて養育に成功あいた母親です。




ならば逆の場合もあるでしょう。現時点での不適応は、常に過去の適応と対比されます。「あんなにいい子だったのに・・・・(今はだめになってしまった)」という悲劇の構造です。




「良い子バイアス」と名づけたいほどの紋切り型が定着したのは、ひとつにはこうした背景があるのではないでしょうか。




加えて、いまや70万人とも100万人ともいわれるひきこもり全体に、こうした「良い子」→ひきこもりのモデルが該当するわけでもありません。




問題の規模はもはや若年ホームレスや不登校などと同様に、社会的排除とよぶべき規模にいたっていて、「良い子」の問題はありうるとしてもその一部にすぎないことは確認しておきましょう。




しかしだからといってひきこもり臨床において「良い子」が問題ではない、という意味ではありません。




われわれがイメージする「良い子」、さらに詳しく言えば、「手のかからない良い子」とは、どんなものなのでしょうか。




すぐに浮かぶイメージは、おとなしく従順で、それほど自己主張せず、勉強などやるべきことは大人から言われる前に進んでこなし、家事なども積極的に手伝う、というあたりでしょうか。




しかし、それだけでは十分とはいえません。良い子の必須条件とは、まず第一に対他的配慮です。「周囲の大人たちが自分をどう見ているのか」を客観的に判断し、大人の期待に先取り的にこたえていくことです。




自分を取り巻く空気の内実を瞬時に察知するだけのアンテナを鋭敏にはたらかせることです。そうした身振りが半自動的に身についてしまっていることです。




「自分に許される振る舞い」の範囲は、周囲の思惑よりも少しマージンを多めにとることになるでしょうから、その子は必要以上に控えめで内省的に見えるでしょう。




いうなれば、この子たちの関心ごとは、ほとんど常に親の願望や欲望に向けられることになるのです。関心ごとであるばかりか、彼らの欲望は、ほとんど親のそれと同一化してしまっていることすらしばしばあります。



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団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
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住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
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メール
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活動内容
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 学習 支援、生活訓練
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・教育相談の実施
・各種資格取得支援