ひきこもり状態の長期化が社会復帰を阻む
ホーム > ひきこもり状態の長期化が社会復帰を阻む

ひきこもり状態の長期化が社会復帰を阻む

2020年04月30日(木)6:34 PM

ひきこもりで特に問題になるのは、小中学校からの不登校・長期ひきこもりのケースです。




小中学校の不登校から10年以上経過したケースは珍しくなく、社会的訓練が極めて少ないまま長期間放置されてきた人の場合(親や家庭教師等によって教育が施された場合意外)、社会的な常識が極端に低いという特徴があります。




火事などの災害や犯罪や死の怖さすら解することができないケースから、栄養障害から脳萎縮を併発して、「善悪を判断する能力」「責任能力」を失ったと想定されるケースまであります。




社会性の発達が停滞し、他人との交流が偏って不自然な場合に、アスペルガー障害などの広汎性発達障害として診断されることがあります。




しかし、プログラムによる教育によって、社会常識が育ち、脳器質の障害ではなく、社会的剥奪によるものであったと、後でわかることもあります。器質性と社会的剥奪を問わず、児童期の発達障害が成人後に、パーソナリティ障害と診断されていることも少なくありません。




では、小中学校の不登校から10年、20年と長期化したひきこもりの人たちには、どのように対処すればよいのでしょうか。多くの親には、自らの手でまた家庭教師によって教育する余裕はなかったといえます。基本的な社会性が身についていないことでNPOが対応できない場合には、公的機関や病院などのがんばりが必要となります。




小学4年生から10年ひきこもって器物損壊を繰り返し、ついには灯油をまいて、かけつけた保健師らによって保護された青年は、当初は危険性の認識や善悪の判断、死という観念がなく、発達障害を疑われました。




しかし社会参加プログラムによって劇的な変化・発達を示し、退院後は各種セミナーに参加し、アルバイトもしています。この青年のケースでは、基本的に彼の「人なつっこい」性格が救いとなりました。




また授業での場面恐怖から22年ひきこもった35歳の青年は、家族との会話もなく唯一パソコンだけを友としていました。支援者によって救出された当初は、発語障害のほかに発達障害が疑われましたが、入院中に会話が可能になりました。




プログラムを受けて退院した現在は、高卒認定コースに通っています。この青年は、純粋でひたむきな性格であり、心理検査では発達障害を認めませんでした。




小中学校からのひきこもりケースにとって、開放病棟を中心とした社会参加プログラムはたいへんよい社会参加訓練の場になるといえます。現状では、行政、NPO、医療ともに「手のつけやすい、軽いほうから扱う」段階にとどまっています。




ひきこもりの親の会では、当事者の平均ひきこもり期間が2015年の段階で10年を超えるようになりました。東京都のアンケートでも、ひきこもりの最大階層が30代後半に移行したことが示されています。




ひきこもりを抱える親たちは、さらに厳しい状況に置かれているのです。人権尊重を重視する精神保健福祉法では、精神科入院や隔離・拘束について厳しい基準を課していますが、重篤な精神疾患も扱ってきた精神医療には基本的に対応能力があります。




法の精神を遵守し、また過剰な自己防衛になることなく、必要な医療を施す責務が関係者にはあるといえるでしょう。NPOを活用することは大切ですが、より重篤なケース、精神病の疑いのあるケースを扱うには無理があり、無理を承知で対応してしまうと人権侵害・生命侵害を招く場合も生じます。




現段階では、精神保健福祉センター、保健所などを核とした医療、NPO、親の会などの緊密な連携が不可欠といえます。一方で、専門性を高めたひきこもり専門の支援センターを作る必要があるという意見もあります。




人生を川の流れに例えると、ひきこもりは脇の淀みに入り込んで、自力では元の流れに戻れないでいる状態です。関東自立就労支援センターの社会参加プログラムでは、仲間作り、個人能力の開花、就労したくなる条件作りを目指しています。




ひきこもり生活の中では、本人は人格のごく一面しか見せることができませんが、ひきこもり状態から脱して社会参加の動機づけに成功した場合には、驚くほどの変貌を見せる若者が多いことがわかります。




ひきこもりの若者にも、「人生の流れ」に乗っかる力は十分にあるのです。それは、本質的に年齢や期間の長さの問題ではなく、社会の側が逃げ腰にならないで、いかに有効な取り組みを創意工夫していくかの問題なのです。



メニュー

過去の記事

団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援