26歳男性のひきこもり体験
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26歳男性のひきこもり体験

2020年04月26日(日)3:59 PM





ここでは関東自立就労支援センターに相談に訪れた男性のひきこもりの体験について、男性の許可を得て書いてみたいと思います。




Aさん(26歳)




ひきこもりはじめたのは、高校を卒業してからです。もっともそのころの僕にはひきこもりという自覚はなく、ただ単に高卒後進学も就職もしていない状態だと思っていました。




高校生の頃は進学するつもりでいたのですが、心身症の状態が思わしくなく、また高3のころから徐々にやる気が失われ、結局大学の入試には行きませんでした。




「ひきこもり」というのを自覚したのは、いつのことかはっきり覚えていませんが、これは母親が僕のところに持ち込んだ言葉です。僕の状態を心配した母親は、不登校やひきこもりの子どもを支援する機関のところに行って、カウンセリングを受け始めました。




僕は「ひきこもる」ようになってからだんだん朝起きるのが遅くなり、ついには昼夜が逆転しました。夕方の6時頃になって起床したときの虚しさは今でも覚えています。




今はもうやめましたが、僕はいつからか1日100ページずつ本を読もうと決め、何年かそれを続けていました。本を読むには、夜のほうが集中できるので、それで夜起きて昼間は寝ることになるのだろうと僕は思っていました。




しかし、妄想はまったく違ったことを僕に吹き込みました。妄想の中で、仏教大生Bが大学の心理学の先生の言葉を借りて言うのです。「本を読んでいるから寝られないというのは、おまえがつくった口実だ。お前には悪霊がとりついているんだ。




それで夜になったら悪霊があまえのところに降りてくるんだ。それが怖くてお前は寝られないのだ」と。この「悪霊」等の妄想はほんとうにつらいものでしたが、今は措きます。




話をもとに戻しますと、朝起きるのがつらくて、後にカウンセリングの先生が僕の妄想のため紹介してくれた精神科へも、なかなか行けませんでした。精神科もそうですが、現在籍を置く通信制の大学のスクーリングやテストの日は、今でもつらい思いをしています。




ひきこもりながら僕は、ともすれば無為のうちに流れていく時間を、とにかく充実させたいと考えました。もっとはっきりいうと、大学に行っているやつらに負けたくないと思いました。それで読書を1日100ページと決めて、それに取りかかりました。




今から思えば、もしかしたらそれらの日々は、そんなに充実していなかったかもしれません。それは読んでいる本が、ほとんど小説に偏っていたからです。




哲学書を読み始めたのは20歳のころからで・・・・・これにも妄想が深くかかわっているのですが・・・・それから自分でも論文を書くようになりました。




それまで将来のことなど何も考えていなかったし、考えられなかったのが、ここにきて、やっと文芸評論家になりたいと漠然と思うようになりました。このことを、僕がずっと通っているカウンセリングの先生に話すと、やんわりたしなめられ、今では自分でもあきらめています。




僕は父親を嫌っていたし、今でも関係を疎遠にしています。何かきっかけになるものがあったというよりも、たとえば、小さい頃常套句のように、「おまえなんかいらん。出て行け」と父が言っていたのを思い出せるし、そのようなものの積み重ねで彼のことが嫌いになっていったのだと思います。




この、父親を嫌うということが、僕のひきこもりにバイアスをかけました。潔癖症になって外に出るのがいっそう辛くなってしまったのです。はじめは父親がさわったものを汚いと思うようになり、それからだんだんと潔癖症の対象が不特定多数の他人にも及んでいきました。




今ではほとんど、自分以外の人の触ったものはすべて汚いと思うようになっています。カウンセリングの先生に出会ったのは16歳のときですから、もう10年も診てもらっていることになります。




最初、先生に対する反発心は大きいものでした。ただしゃべるだけで薬を使わないのでは、治るわけがないと思ったし、先生が京大卒というのは、学歴社会からはじきだされた僕にとって嫉妬の対象となりました。




それと同時に、先生から多大な恩恵を受けているのに、僕は先生に報いることができないということにも苦しみました。僕は他人に嫉妬しやすいたちで、優れたものと劣ったもの、そして優れたものに嫉妬する劣ったもの、というテーマの文学を好んで読んでいました。




夏目漱石「彼岸過迄」、同じく「こころ」、中勘助「堤婆達多」、太宰治「駈込み訴え」、ミルトン「失楽園」、トルストイ「光あるうちに光の中を歩め」などです。




最後に、ひきこもりから脱するためには、次のことが必要だと思います。まず、心身症と潔癖症が治ること、それから僕の適性に合った仕事が見つかり、それに対する能力を得ることです。



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TEL
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活動内容
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