子どものストレスと吃音症
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子どものストレスと吃音症

2020年04月05日(日)10:47 AM

吃音症は、ストレスが関連している症状です。この症状が出ると、同じ言葉を繰り返したり、口ごもったり、ためらったりします。





吃音症は子どもの約5%に発生する障害だとも言われています。心の混乱がそのまま表現の戸惑いになって現れることが多く、誰にでも起こりうる症状だととらえたほうがいいと思います。





子どもは全般的に自己表現が未熟なこともあり、ちょっとした失敗に対して過剰に反応されたり、叱責されたりすると、突然に吃音が起きることがあります。





また、発症初期は本人も気づかないことが多く、周囲が注意することでかえって自覚が生まれ、その結果吃音に意識して緊張が強まってしまうことがあります。





つまり、吃音の原因は本人にあるだけではなく、周囲の対応にも問題があることがあります。S君のケースです。彼の父親は中学の数学教師でした。S君の性格はどちらかというと、おとなしくて口数の少ないタイプです。





小学5年生の算数の時間、クラスの担任が一人ひとりにテストを返却しました。S君は答案用紙をすぐに隠すようにカバンの中へ片づけようとしました。





「どうだった?」後ろに座っていた男の子が声をかけました。「うん、あんまり・・・・・」口ごもるようにS君は言いました。すると、その男の子は、素早くS君の手からテスト用紙を取り上げてしまいました。「嘘つくなよ。できているじゃないか。さすが、お父さんが先生だといいな」





そのねたみとも嫌味ともとれる一言は、まるで電波に乗るようにクラス中に伝わっていきました。「チ、チ、チチチ、チガウヨ」S君なりの照れ隠しが裏目に出てしまったのです。





「僕はそんな人間じゃないよ、と心の中で繰り返したんだ。それを声にしようとしたら、体がこわばって、息が止まってのどが固くなる感じがした」とS君は言います。





吃音は、みんなに自分の気持ちを正確に伝えることができないという不安が引き起こしたものでした。S君は”教師の子ども”という目で見られることに重圧を感じていました。また、彼は以前から自分が「男なのに、野球、サッカー、ゲームなどに興味がない」ことにもコンプレックスを抱いていました。





算数のテストの点数をあばかれてしまったように、今度は”オカマ”呼ばわりされてしまうのではないか、という恐れも併せ持つことになってしまったのです。





その不安が吃音という症状であらわれたのです。彼は、家庭でも吃音の症状が出るようになりました。「オーカーァサン」と語音を不自然に引っ張ると、母親にとがめられました。





「・・・・・セ・・・・ンーセィ」と言い出しに力を入れると、担任に話し方の”指導”を受けました。友だちからも「おかしい」と言われて、からかわれました。





そのため、S君は小学6年まで学校を休みがちになってしまいました。吃音症状が出た子どもに対して注意だけしか与えないと、会話への緊張が強くなり、ますます会話がスムーズにできなくなります。





周囲の大人は注意せずに子どもの話をゆっくり聞いてあげる姿勢をとるべきです。S君の場合には、心の中にいくつかのコンプレックスを抱えていました。その原因に目を向ける必要がありました。そして、彼の心の緊張を解いてあげる努力が必要でした。






幸いなことに、S君が6年になるとそのときの担任は、「無理して言葉を出さなくてもいいよ。まず自分で自分に言い聞かせるようにしてごらん」と温かく励ましました。






そして、S君が抱いている仲間はずれの”孤独感”にも気づいて、彼の思いを聞いてあげました。そうした担任の言動に、S君の会話への不安や緊張感も徐々にやわらいでいきました。





S君の心の焦り、戸惑い、失望感がそのまま語音の反復、引き延ばし、一時の途絶えとなってあらわれていたのです。心の戸惑いは、言葉の戸惑いになるのです。心が「どもる」と、口も「どもる」のです。





思春期には精神科的疾患があらわれることもある





心身症は心の歪みが原因で身体的な疾患があらわれる症状でしたが、人は重いストレスによってさらに精神的に追い込まれると、精神科的疾患があらわれることがあります。





とくに思春期の子どもたちは、心身の成長が著しく、精神的に非常に不安定であるため、精神的、あるいは対人関係で孤独と不安を抱えることが多いものです。





以前ですと、うつ病は大人の病気だと思われていましたが、最近では子どもたちの間でも、うつ病と診断されるケースが珍しくなくなってきています。





わたしが今まで数多くの相談に乗ってきた”ひきこもり”や”不登校”の子どもたちの中にも、精神科を訪問し、「不安神経症」「強迫性障害」などの診断をされているケースがありました。





ただ、ここで注意してほしいことがあります。”不登校”はもちろん”ひきこもり”は病気ではないということです。たしかに”ひきこもり”のなかには医療の支えを必要としている子どもたちもいますが、それはすべてのケースではありません。





子どもが大声を出したり、パニックを起こして暴れる姿を見ると、どの親も自分の子どもでありながら、その言動が信じられなくなってしまいます。





そのため、親は”原因”を性急に求めます。医師に対して「どんな病気なのですか?」と迫ります。これは親たちが、病名がわかれば治療や回復の見込みが出てくると思い込みたいというのが理由です。





たしかに抑圧された不登校、ひきこもり状態が高じて、”病気”になる場合があります。また、”病気”が原因で、不登校、ひきこもりになることもあります。





ただ、深刻なひきこもりであっても、”薬”だけでは解決しません。また、”病気”だと安易に決めつけると、子どもに人間不信を生み、不登校やひきこもりをエスカレートさせてしまうことがあります。





精神的な孤独や不安で追い込まれた子どもたちの中には、”医療を必要とする子”と”医療を必要としない子”がいます。「おぼれる者は藁をもつかむ」状況にある家庭にあえて苦言を呈するようですが、医療やカウンセリングに理想を求めてはいけないということだと思います。





わたしは、人間関係で傷ついた心は、必ず深い愛情と理解に支えられた人間関係で癒され、解かれていくものだと思っています。ですから、周囲の大人たちがそれぞれの立場で適切な援助を与えることが大切なのだと思います。



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