対人関係が苦手なひきこもり男性の事例~アスペルガー症候群~
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対人関係が苦手なひきこもり男性の事例~アスペルガー症候群~

2020年03月30日(月)9:08 AM





事例  状況や場面の読みが苦手で、対人関係を苦痛に感じるEさん(男性・32歳)




1  ケースの概要





Eさんは、出生や乳幼児期において特に問題なく育ち、保育園でも問題なく過ごしていました(とはいうものの、Eさんと高齢の母親からの情報では、発達状況の詳細について知るのは難しかった)。





小学校・中学校も健康状態は良好で、休むことなく登校していました。ですが、義務教育時代の思い出をEさんに尋ねても「特に何もない」と言うだけで、印象的だった過去の体験が何もないようでした。





またEさんは、勉強も友人関係も「普通だった」とは言うものの、「今でも友達とは何なのかよくわからない」と淡々と話していました。





Eさんは工業高校に入学し、受け身的で親密につき合う友人はいなかったものの、それ以外には特段問題なく、成績も中位で「普通」に卒業しました。





高校卒業後は、数年間製造業に従事しました。部下をもつ立場になると、新入社員に教えることが苦手であること、会社での人間関係がよくわからないという理由で退職してしまいました。





その後、1年ほどは就職せず、ときどき家業を手伝いながら在宅生活を続けていました。





しかし、高齢の両親に説得され、しぶしぶ隣町の会社(製造業)に再就職しますが、「仕事がつまらない」という理由で2年後に再び退職してしまいました。





その後、Eさんは「今までの仕事内容が合っていなかったのではないか」と考え、飲食業や土建業や保険外交員など、数々の仕事に就きましたが、新入社員に仕事を教えるのが苦痛ということで自己退職を繰り返しました。





その後、「職場での人間関係がわからない」「一対一で話している時はいいのだが、大勢で話すと混乱してしまう」「いろいろ考えているのだが、その場に合った処理ができない」などと思い悩み、在宅でひきこもる生活が続いていました。





「なぜこうなってしまったのか知りたい」「自分の人生の先が描けない」「自分の仕事選びに間違いがあるのでは」などと考えているとき、インターネットの情報から関東自立就労支援センターのことを知り、職業選択と対人関係について相談するために自ら来所しました。





2  相談経過





相談当初は人当たりがよく、饒舌な印象でしたがしばらく会話を進めていくと字義通りの理解や遊びのないおしゃべりが目立ってきました。





たとえば、人間関係についてのhow to本を読み、「和気あいあい」とやるのがよいとアドバイスが書いてあると、和気あいあいとはどうすることなのかと真剣に悩んでしまいます。





また、「本に書いてある通りにしなければ」と深刻に悩んでいるEさんに向かって、「ほどほどに読んで、適当に受け入れるのがよいのでは」とアドバイスすると、「ほどほどというのはどうすればいいのですか」と質問してくるといった具合でした。





後日、受診したところ、医師からアスペルガー症候群と診断されました。





Eさんは学齢期において特に問題を起こすことはありませんでしたが、さまざまな場面で自分の行動に対して相手がどう反応するかを想像できなかったり、事態の筋書きやなりゆきが読めないため、独特な考え方をもち、時として常識を欠いた行動が増えてきたりして職業生活を継続していくのが困難になってしまったと考えられました。





Eさんは話し好きで読書家であったので、本や映画の話題を中心とした面接を行いました。





Eさんとわたしとで同じ本や映画を見ておいて、面接場面ではそれらのあらすじや登場人物の心情について話し合いました。





また、面接場面で生じているわたしの気持ちについても、曖昧にせずになるべく言語で表現していくことを試みました。





半年経過すると、Eさんからチャットのおもしろさ(パソコンのネット上でやりとりが文字化されるコミュニケーションで人々の出入りがEさんにとってはわかりやすく、また、Eさんも時々参加できるので楽しいとのこと)について語られ、Eさんの新たな趣味になりそうでした。





それからしばらくして、Eさんは「趣味を続けるにもお金が必要ですね」と言うようになり、アルバイトを始めることを決めました。





現在はほぼ正規職員と同じような勤務体制に適応しています。「頭のごちゃごちゃがすっきりするので」という希望で、面接は継続中です。





就労後の面接では、職場での休憩時間とアフターファイブの過ごし方などについて、具体的な対応をいっしょに考えていくことを行っています。



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団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
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理事:
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理事:
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住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
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活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援