ひきこもって自分を作る
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ひきこもって自分を作る

2020年03月27日(金)10:38 AM


ひきこもって内省した結果、親の育て方が悪かったから自分はこうなったと親に贖罪を求めて家庭内暴力をふるうことがよくあります。





彼らの苦悩は、親に合わせて生きてきたとかいうがままにさせられてきたというように、主体的に生きることができなかったという内容であることが多いです。





当然のように、彼らは自分がこうなったすべての原因は親にあるという考えにいたります。一部はそうなのかもしれません。しかしこれらが親に暴力をふるってまで求めているのは、「自分たちがしてきたことをきちんとわかってほしい」ということです。





では、親がそれを理解するとどうなるのでしょうか。親に育て方のまずかった部分について理解してもらい、心からわびてもらえると、一応気持ちの整理がつくのではないかと子供たちは考えます。





しかし通常事態はうまくいきません。まずは親が自分たちの非のある部分を理解して認めるということが、なかなか容易でないために、しばしば「親に分からせる」ことにとらわれそれが目的になってしまいます。





またもし親が認めたとしても、子供は心もとないために次には「こんな自分にしたのは親なのだから、責任を取って何とかしろ」と、親に人生の取り戻しを要求するということも起こってきます。ここから先、自分が自分を作っていくしかないということは怖いので、いつまでも受け身的に被害者として親に何とかしてもらおうとするのです。





また、すまなかったと思う親が、不憫さから子供の人生を親が何とかしなければと動きまわると、事態はますます見当違いの方向に流れて行きます。





ここに出口なき迷路が出来上がってしまいます。ちなみに親に分かってもらうということは、それによって自分なりに納得し、親をあきらめ親から巣立ち、自分なりに生きていこうとする腹くくりをするためということであり、だからといってそこからすぐに主体的になれるわけではありません。





こう考えていくと、静かなひきこもりも家庭内暴力を伴うひきこもりも、社会の中で生きていくための「主体としての自分が見えない」という点で、同じ問題を抱えています。





その主体としての自分自身を再発見し、あわせて自分の人との関係の癖を見直して、社会との関係の取り方を調整していくことが、子供が社会に出ていく過渡期の重要な内的作業だと私は考えています。





しかし、本人も周囲の親もそのことを明確に自覚しているわけではないので、ひきこもった後に何をしたらよいのかかわからずただ時間ばかりが過ぎていくのではないでしょうか。





社会の成熟の過程で





現代人は心のバランスがとりにくくなっています。その心の揺れを私は社会の変化とそれに連動して生じる、人々の心のありようとの相互作用という視点からとらえています。それは、社会の変化が個々人の生き方に影響を及ぼし、それがまた社会の側を変えさせてという連鎖が起こっているというごく自然な考えです。





現代は社会の枠組みが緩み、職業や生き方をはじめ様々なことを自由に選択できるように変化しています。外側が変われば、おのずから人々の内的な世界も変わっていきます。





このような社会の変化に引っ張られるように、私たちは自分の内的世界をより深く見えていく方向へと誘われています。これまで人々は、自分自身を押し込めて外側の枠に合わせ、社会がこうしろというからとか、人はこうするものだから、というような外側にある基準に合わせながら人生を設計しがちだったのに対して、現代ではもっと自分の感覚や考え方を基準にしてどう生きるかという方向に大きく軌道が修正されつつあります。





このことは自分はどうしたいか、ということを個々人がきちんと考え、つかんでいなければ生きていくことのできないような時代に入ってきたということです。言葉を換えれば、個々人が内的な充実を追求していかないと、とても生きられないような時代が現代であるといってもよいでしょう。





確かにひきこもりやニートの増加は社会全体とすれば困った事態です。私はこのような現象を、これでよいと肯定的にとらえているわけではありません。





しかし時代の変化を無視してこれまでの価値観だけに照らして「まずいこと」だととらえ、従来型の社会の枠組みに子供たちを合わせていこうとしても、解決は無理でしょう。





子供たちもまた、社会に自分をどうあわせるかということしか考えず、ひたすら「もとのレールに戻ること」のみを出口であると考えていくだけではやはり方向違いの模索になります。





私は現代人の心の迷いを、社会が成熟していく過程で必然的に起こっている現象であると理解しています。心のバランスをとるということは、自分の外側と内側との間で揺れる自分をどうコントロールしていくかという問題です。





こう考えていくと、現代の若者たちの心の迷いの象徴ともいえる「社会的引きこもり」という現象は、社会の変化と人のありようとの間のズレを何とか調整して自分らしく生きようとするために、しっかりと悩み考える模索の時間を作り出そうとする無意識的な働きであるとも考えられます。





今、私たち大人に必要なのは、従来の枠組みや価値観から離れ、別の視点から検討するという姿勢でありそこで初めて彼らへの援助の本質が見えてくるのではないでしょうか。



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