ひきこもりの悪循環と家庭内暴力
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ひきこもりの悪循環と家庭内暴力

2020年03月17日(火)11:08 AM




「ひきこもりの第一の悪循環」





ひきこもりの第一の悪循環は「叱咤激励する親と家族からひきこもる本人」というパターンです。





親は本人の「自信喪失」「怒り」「抑うつ」といったネガティブな感情に合わせるのが苦手で、このため本人の「家を出ていきたいけど、出て行けない」という気持ちに対しても、わかってはいるものの十分に焦点を当てられずにいます。





できないダメな子を叱咤激励する親、親にはわかってもらえずさらに自信を失う子、という固定した関係になってしまいます。このパターンが、多くの場合引きこもりの最初の姿になります。





この循環を維持するには、当然パワーが必要になります。この場合、家族の側のエネルギーレベルが高く、ひきこもり本人の側は受け身で、エネルギーレベルの低い状態になっています。





この第一の悪循環は、本人が親に「分かってもらえない」ところで自信喪失してさらにひきこもってしまうパターンです。しかし、この「分かってもらえない」というところでイライラをため、限界にまで達してしまうと爆発し、子から親への脅し、威嚇、暴言、暴力などとなって、第二の悪循環へと移っていくことになります。





「ひきこもりの第二の悪循環」





いらいらの爆発が一度や二度で終わらないで何度も繰り返されると、親子の間での力関係がいつの間にか逆転してしまいます。親に対して「お前の育て方が悪かったからこうなった」「どう責任を取るつもりだ」といった脅し、威嚇、暴言といった他罰的な言動が続きます。





これに対して親は、「子供がこうなったのは私の責任」「私が何とかしなければ」といった自罰的、自責的な対応となります。これが第二のひきこもりの悪循環のパターンです。





この本人から親に向かう他罰的なメッセージは大きなエネルギーを持っていますが、親から本人へ向けてのエネルギーは、弱々しくむしろそのエネルギーは自分を責める方に費やされています。





力関係の不均衡から暴力が懸念されますが、ここでの暴力は第一の悪循環の場合のような爆発的なものというより、恒常的、慢性的な暴力となります。こうなってくると、現状を変えることが非常に難しくなってきます。





「家庭内暴力」





実際に家庭内での暴力行為があったときには、親が最初から黙って見ているということはあまりありません。そういう時には、とにかく子供を制止しようとします。





たいがいの親御さんは、そういうことにチャレンジしているはずです。この時、「お前、このことをどう思ってるんだ」「そこにすわりなさい」と言って抑え込むという親優位の力関係が保たれていることもあります。しかし、そう言う親に向かって、「うるせえなテメエ」「黙れ」と言いかえしてくるようになるとそれまでの力関係が崩れてきます。





時には、何も言わずにつかみかかってきたり、蹴とばしたりしてくることもあります。子供がこのくらいの年齢になると親とそう体格は変わらないし、むしろ超えてしまっている子供もいます。





こうした理屈が通じない混乱した状況の中で、親が子供に負けてなるものかと力を込めると、どちらかが必ずけがをします。親子関係は、いつか逆転するものであり、親はいつか負けてしまいます。いや、親は負けなくてはいけないものなのです。





たとえ親の方が肉体的に強かったとしても、ぎりぎりのところでは親はやはり親であり、子供と命をかけて争うことはしません。争う中では、親はどこかで手加減をしてしまうものです。そうすると結局、けがをするのは親の方ということになります。ですから暴力に対しては、何よりもそれを回避するための工夫が重要です。





「ひきこもりの第三の悪循環」





これがさらに続くと、硬直化した関係の中で不安定でバランスの悪い、それでいてなかなか崩れない奇妙に安定した状態となります。





そこには、一方に傷つきやすさを抱えながら「問題に向きあいたくない」本人がいて、もう一方には本人の「傷つきやすさ」をわかりすぎている親がいるという構図があります。





親は自らがかかわることで子供が傷つくの恐れ、ついかかわりを手控えてしまうことで、家族関係が硬直化していきます。これが、ひきこもりの第3の悪循環のパターンであり、互いに向かうエネルギーの流れはともに弱々しく、全体としての動きが乏しくなります。このような状態になってくると、現状を変えることがいっそう難しくなってしまいます。





「ぎりぎりの選択」





わが子の家庭内暴力に、親の力で何とか対処しようとしてきたある父親がこう語っていました。





「・・・・・・母親への暴力、悪態のつき放題で、今度は私(父親)にも向かってくるようになりました。私も、ここで負けてはいけないと立ち向かっているんですが、なにせもう子供は私の背丈を超えてしまって・・・・・・。





それでも私はたとえいくらかやられるようになっても、子供の前に立ちはだかる覚悟ですけど・・・・・。この間なんか、息子と話していると息子がいきなりリビングの大きな座卓を頭の上まで持ち上げましてね。





驚きましたね。あんな重いもの、よく持ち上げることができるなって。それをぶつけられたら、大怪我してしまいますね。命も危ないかもしれません。





でも私も、やるならやれという気持ちで覚悟しましたよ、その時はね。結果的には、私には当たりませんでしたが・・・・・。部屋の中はめちゃくちゃでした。





でも、娘(妹)にまで暴力をふるうようになりましてね・・・・・。私はいくらやられても構わない、でも、理屈の善し悪しは別にして、これ以上頑張ってやっていくと我慢を重ねる親の方の感情も抑え切れなくなって、それまでとは別の意味で大変なことをやってしまうようなそんな不安を感じることがあって、それからは、もう息子に手を出せなくなりました・・・・・・」





この父親は「それまでとは別の意味で大変なこと」については、あえて言葉にしませんでした。ひょっとして、もし万が一にも父親として愛する家族のために自分をおさえきれない時がきたとしたら、たとえばわが子を手にかけてしまうといった不幸を恐れていたのかもしれません。





「とりあえず今はそっとしておこう」という家族の選択に対して異論があるかもしれません。でもそれは、決して安易な選択ではありません。いろいろな思いの入り交じった、当事者にしかできないぎりぎりのところでの選択なのです。



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